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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

露出感染1

 全ての始まりは、学生の頃出会った露出狂だった。

 ある日、塾に行っていて帰りが夜遅くになった時があった。もちろん犯罪に巻き込まれないように自分としては注意していたつもりだった。なるべく明るい道を通っていたつもりだし、人が多そうな道を選んでいた。
 けれど、家に着くまでにはどうしても少し人通りの少ない道を歩かなければいけなくて、そこだけが心配だった。けど、そこは明るいから大丈夫だと思っていた。
 それが、間違いだった。
 あの人が前から歩いてきた時、私はすぐに違和感に気付いた。そのときの季節は夏だったのに、その人は暑そうなコートを着ていたからだ。極普通の茶色いコート。丈は膝くらいまであって、そのデザインを見た私はますます奇妙な印象を抱いた。なぜなら、その人が来ていたのは男物のコートだったからだ。アンバランスにもほどがあるコーディネートだった。
 いまから思えばあからさまに不審な姿で、本来ならそんな人を見た瞬間逃げなければならないレベルだ。
 とはいえ、その当時の私は夜道や不審者が危険といっても、それが具体的にどういう存在のことをいうのかわかっていなかった。だから、その人についても変だなとは思ってもそれがイコールで不審者だとは思わなかった。
 その人と私との距離が縮まる。その人は前髪を不摂生と思えるほど伸ばしていて、顔はよく見えなかった。
 すれ違う寸前、その髪の奥からその人の目が私を見たのがわかった。
「お嬢ちゃん」
 柔らかな声音の女の人だった。
 呼びかけられた私は、つい立ち止まってしまった。いまでこそなんて危険な行為なんだと思うけど、その時はまだそこまで危機意識がしっかりしていなかった。
「なに?」
 だから、相手に対してそう答えてしまった。
 相手は口元だけでふっと笑うと、一歩、こちらとの距離を詰めてきた。
「わたしの、からだを、みてほしいの」
 そういってコートの前をがばりと開いたその人は、コートの下に何も身につけていなかった。街灯に照らされた肌色が目に眩しい。
 当時私は滅多に他の人の裸なんて目にすることはなかった環境にあった。学校の行事で旅行するようなものも、全て悪天候だとかで中止になっていたし、家族と一緒に入るような歳でもなかった。
 だから、突然人の裸を目にして、私の思考は完全に止まった。
「どう?」
 その人はそんな私に対してそう問いかけてきた。私は完全に思考停止状態で、何を言えばいいのか全くわからない。
「……え? ええ? ど、どう……?」
 私はホントにどう答えたらいいのかわからなかった。
 その女の人は私が混乱していて、悲鳴をあげないと理解したのか、悠々と距離を詰めてくる。その分だけその人の身体がよく見えるようになって、私は戸惑いを強めるばかりだった。
「わたしのからだ……キレイかしら?」
 そういえば、「わたし綺麗?」って問いかけてくる女の人がいるとかいう都市伝説があったなぁ、とか思っていた。つまり私の頭は現実逃避してしまっていたのだ。
 私はそんな状態で、とりあえず汚いとは思わなかったので頷いた。同じ性別のはずなのに、何か自分のそれとは違うものをその人の身体からは感じていた。
 それはいまから思えば大人の色香というものだったのかもしれない。
 その私の反応を見たその人は、にこやかに笑うと、そっとコートを脱ぎ落してしまい、それを簡単に畳んでしまう。つまり隠すものが一切なくなって、その人の全てが私の前に晒されていた。
 あっけに取られている間に、その女の人は私の胸にそのコートを押しつけるようにしてきた。
「ありがと。これは、お礼よ」
 思わず受け取ってしまって、私が立ち直る前にその女の人は私に背を向け、その場からさっさと歩き去ってしまった。素っ裸で、みようによっては間抜けな姿だったはずなのに、妙にその時の女性の姿は格好よく見えた。
 そして、私の元にはその女の人が着ていたコートだけが残ったのだ。

 始まりは、そんな出会いからだった。


~続く~


この作品はピクシブの方で頂いたメッセージから着想を得ています。
リクエスト……という扱いになるのかもしれませんが、果たしてその望みに応えられているのか……疑問ですw
[ 2013/07/01 21:49 ] 小説・短編 露出感染 | TB(0) | CM(0)

露出感染2

 そして、私はいまとあるビルの屋上に来ていた。
 吹き付けてくる風は強く、暑い空気を一蹴してくれる。それが火照った身体には心地よかった。私はマスクを取り外し、新鮮な空気を吸い込む。息が熱くて、湿り気を帯びたそれはあっという間に屋上の風に吹き散らされた。マスクを大事にポケットに入れる。この暑くなってきた時期に、やっぱりコートは暑すぎた。いくらそれ以外に何も身につけていないとはいえ、コート一枚だけでも十分暑くなる。
 私はその時、そのコート以外に何も身につけていなかった。
 なんでそんな状態になったのかといえば、なんでだろう。正直自分でもあまりわからない内にこうなってしまったというのが正しい気がする。
 私は顔を隠す為にかけていたサングラスも外して、コートのポケットに入れる。いまさらだけど、よくこんないかにも怪しげな状態でビルの中に入れたものだ。一応飲食店のフロアもあるから外部から人が入ることもあるだろうけど、入り口に警備員は立っていた。呼び止められていたら確実にアウトだったけど……スルーしてもらえた。
 コートの袖口や裾から入ってくる空気に身体を撫でられ、その異様な気持ちよさに身体を震えさせた。
 決して寒いわけではないのに、震える指先を駆使して、なんとかコートのボタンを外し始める。
 私は自分がこうなってしまった原因のことを思い返していた。
 そもそも、このコートから全ては始まったのだった。


 幼いあの日、女性の露出狂に遭遇して、コートを渡されてしまった私だったけど、それからすぐには何もしなかった。コートは処分に困って、家族には内緒でこっそり部屋に持ち込み、クローゼットの奥に詰め込んでいた。
 けれど、それから時々見てしまったあの人のことが脳裏によぎることになってしまった。たとえばあの人と同じ年代の女の先生を見た時。服の下にはあの人と同じような身体があるのかと思うとドキドキした。先生を見ていて顔が赤くなっていたのか、風邪なのかと心配されたこともあった。あの道を行くときはもちろん思い出さずにはいられなかったし、お風呂に入るために裸になる時も思い出した。脱衣所で裸になるのは当たり前だけど、あの人は普通にその辺の路上で裸になっていた。その上、唯一彼女が持っていた着る者も私に渡してしまっていて、あのあとどうやって帰ったのか子供ながらに心配したものだ。
 あの人のことをことあるごとに思い出していた私は、いずれは忘れてしまうと思っていたけど、ぜんぜんそんなことはなく、むしろ時間が経つに連れ、あの時見たその人の記憶は徐々に全く関係ないところでも再生されるようになってしまった。
 たとえば何気なくリビングのソファに座ったとき。あの人ならこうやってくつろぐ時も裸なんだろうかと思った。薄暗い路地を通りかかった時、あの人はこういうところで裸になっているんだろうかと感じた。薄着ファッションという言葉を見かけて、あの人なら裸がファッションだから究極の薄着ファッションかなと思った。
 そんな風にところ構わずあの人のことを思い返すようになってから、その想像の姿がその人ではなく、自分のものになるのにはそう時間はかからなかった。
 なにせ裸を見たといっても少しの間だけだったし、あのときの記憶自体は時間が経つに連れて徐々に薄れて行っていた。
 だから、一番想像しやすい自分自身の身体で想像するようになるのは必然だった。
 ここで裸になったら、から始まって、皆に見られたら、見られざるをえない状況になったら、どんな気持ちになるか。そんな脳内シミュレートだけを続ける日々だった。そしたらなぜか男の子にも告白されることがあった。なんでも大人っぽいとかなんとか言われたけど、別に誰かとつき合いたいわけではなかったので全部断った。
 そうしているうちに、私はあの時あの人からもらったコートを引っ張り出すようになっていた。


~続く~
[ 2013/07/02 22:51 ] 小説・短編 露出感染 | TB(0) | CM(0)

露出感染3

 それを引っ張り出した時にはずいぶん時間が経っていたから、残り香も何も残っていない。ただの男物のコートという感じだった。けれどそれを引っ張り出して、改めて眺めてみた瞬間、あの時の衝撃が戻ってきた。まるでそれを身につけたあの人が目の前にいるように。コートの前がぱっと開かれて露わになった綺麗な肢体がはっきりと脳裏によぎった。
 私はそのコートをとりあえず椅子の背もたれにかけて、自分が着ていた部屋着を脱いでいった。どうしてそうしたのかはわからない。私は自然とそんな行動を取っていた。ショーツもブラジャーも脱ぎ捨てて、全裸で立つ。自分の部屋で裸になることなんて普通はない。下着姿まではあるけど、それにしたってすぐに服を着てしまう。裸のまま、部屋の中でじっとしているなんて経験はなかった。ほんの少しみじろぎするだけで自分が全裸でいることを深く自覚させられて、つらいというか、変な気分にさせられる。
 私はそっと手を伸ばして、壊れ物でも扱うような気分であのコートを手に取った。ずっしりと重く感じられる。
 それを広げて、その袖に腕を通していく。素肌に直接すこしざらついたコートの裏地が触れて、ぞくぞくする快感が膨れ上がる。背中にそれが達すると、それはさらに強まった。背中が大きく開いたドレスでも着ない限り、この場所の肌に直接上着が触れることはない。ゆえに、そこに本来上着であるはずのコートの布地が直接触れる感覚は、私にとって未知のものだった。その未知の感覚は当然その先も続く。
 腰、胸、お腹、お尻。
 あらゆるところに未知の感覚は生じ続け、私はコートを着るというただそれだけのことでおかしな気分になってしまっていた。
(うわ、ぁ……これ……やばいよ……)
 コートの前を留めて見ると、それは本当にまずい感覚だった。裸の身体をすっぽりと包み込まれている安心感というべきか、なんとも表現しがたい感覚が全身を包み込んでいる。軽く身をよじると胸の先端がコートに刺激されて甘い快感を膨らませる。そこだけではなく、全身を撫で回されているような感覚があった。
(ふっ……う……っ……へんな、こえ、でちゃ……ぅっ)
 不自然に身体を跳ねさせながら、私は部屋の中を軽く歩いてみた。室内、それも自分尾部屋だというのに、まるで雲の上を歩いているような、そんな不思議な感覚が私を包み込んでいた。
(これ……すご……っ)
 当時、私はまだ自慰というものをきちんとやったことがなかった。けれど、そのときの気持ちよさは自慰のそれ以上に強烈で、気持ちよかったことは覚えている。そのせいで私の中でオナニーは露出のことだと自然と認識してしまい、危うく女友達の中で知らず知らずの内に変態をカミングアウトしてしまうところだった。さすがに自覚してからはそんなことを周りにいうつもりもなくなっていたけど。
 ともあれ、コートを初めて着てみた私にとって、そのときの快感はすさまじいものだった。部屋の中でこれなのだから果たしてこの状態で外に出たらどうなるのだろうと何気なく想像をした。
 もちろんすぐに外に飛び出していくなんてことは出来るはずもなく、その日は想像だけで初めてのオナニーを自然と行ってしまった。


 そしてそれから。
 私は徐々に露出の魅力にとりつかれていった。最初はノーブラノーパンから始まって、自然と露出度の高いタンクトップやキャミソールを好んで身につけるようになって、オナニーをするときは必ずベランダなどの外に出てやるようになっていった。
 そして、ある夏の日、田舎のバス停で人もバスも中々来ないバスを待っていた時のこと。
 蒸し暑さに耐えかねて着ていたワンピースを脱ぎ、外で全裸になってしまったのだった。その時はノーブラかつノーパンだったので、本当に一枚脱げば裸になってしまった。
 その時の開放感は、なんとも表現しがたい。ただ、新しい扉が開いたような、そんな心地よさを感じるばかりだった。


~続く~
[ 2013/07/03 20:00 ] 小説・短編 露出感染 | TB(0) | CM(0)

露出感染4

 一度外で裸になってしまえば、理性が歯止めをかけられなくなるのは必然だった。
 私はいつもどこでなら裸になれるか、一番気持ちよくなれそうかということを考えるようになった。ちょっとした死角があればそこで裸になった時のことを考える。
 本当に裸になれるか、裸になったとして、どれくらい楽しめそうか、そんなことばかり考えていた。正直このままじゃいけない、と考えないわけじゃなかったけど、それ以上に露出の魅力にとりつかれた私は、露出がしたくて堪らないのだった。
 いろんな場所で露出に挑戦した。人通りの少ない路地では、あの人を思い返してしまったし、公園では裸のまま色んな遊具で遊んでみたりした。自転車で全裸サイクリングをしたこともある。あれは開放感がダントツだった。そんな感じで私は露出を続けていた。
 奇跡的に人に見つかることはなかった。ギリギリで遭遇しかけたことはあるけど、はっきり見られたことはない。それがついていることなのか、それでないのかはまた別の話になるけど、とにかく私はたまたま人に見つかることもないまま、徐々に行為をエスカレートさせていっていた。
 そして、衝動に促されるまま、ついに私はそのビルにコート一枚でやってきてしまったのだった。
 どうしてここで露出をしようかと考えたかについては、色々と事情はあるのだけど、やっぱり私がいける中でもっとも高かったから、ということが大きかった。どうせなら一番開放感の感じられるところで、というわけだ。
 実際はそのビルの対面にもう少し大きなマンションなんかもあったりするのだけど、さすがにそこはセキュリティが厳しくて入り込めなかった。マンションだと屋上を風さしていることも多く、そういう意味でもあきらめるしかなかった。
 私は風の吹き付ける屋上で、前を開いたコートをはためかせながら、全身で風を感じて心地よい快感に身を浸していた。
 そしていよいよ、私はコートを脱ぎ始めた。そんなに手こずることはない。すでに簿tんは外しているのだから、あとはもう袖から腕を抜くだけだ。
 肩を滑らせ、一度肘の辺りで落とすのを留める。外気に晒される背中と肩がはっきり感じられるようになった。
 そして、最後は一思いにばっさりと服を脱ぎ落とした。
 この外で全裸になる瞬間の感覚は何度やっても色あせることがない。私がはまってしまうのも、仕方ないと想う。
 私は全裸のまま、少し屋上を歩いた。


~続く~
[ 2013/07/04 20:00 ] 小説・短編 露出感染 | TB(0) | CM(0)

露出感染5

 屋上は遮るものが何もなくて、その風の通り抜け具合は半端なものじゃない。
 それは裏路地などの少し閉鎖された空間と比べても当たり前の真実で、その開放感と心地よさにはただひたすら気持ちよさだけがある。
 興奮に体を震わせながら私は屋上のフェンスに両手をかけてみた。転落防止は大事だと思うけど、これのせいで若干視界が悪い。風の通り抜けに支障はないからまだいいけど、いつかはもっと開放感のある場所で露出したいものだった。
 私は屋上から見える道路を眺める。何事もないかのように、あくせく人々が歩いていて、少し見上げた先にこんな裸の女の子がいることなんて気づいていないようだった。ちょっとだけ見上げればそれが見えるのに、なんて損をしているのだろう。
「……私を、見て」
 ぽつりと呟く。もちろん声は下まで届かない。
「私……変態の露出狂なの……っ」
 大きく足を開いて秘部を強調しながら、少しだけ大きな声で呟いてみる。どくんどくんと心臓が大きく高鳴った。じわりと熱があそこからわき上がって全身を駆けめぐる。
「……だれかっ、私を見てっ!」
 かなり大きな声で叫ぶ。誰にも届かないのはわかっている。だけどこんな開けた空の下、どうしようもない変態発言をしてしまっているという事実に、私の興奮はどうしようもなく高まってしまうのだ。
「はー、はー、はー……」
 心臓の鼓動が高まりすぎてうるさい。大きく脚と腕を広げているせいで、風があそこや脇の下を撫でていく。こそばゆい。ぞわぞわと快感が頭まで駆けめぐって体が震える。
「っ……!」
 ひときわ強い風が体を打ち、まるで全身をなで回されているような快感に浸された。
「うあっ、あああああああっ」
 生じる快感が強すぎて、私は体を細かく痙攣させる。思わずしゃがみ込んで、自分で自分の体を抱きしめながら悶絶した。その抱きしめるという行為で、ますます自分が裸であることを強く意識してしまい、頭の奥がびりびりと痺れた。
 なんとか立ち上がり、ふらつく足取りで屋上の縁を歩いていく。フェンスという不純物があっても、その開放感による気持ちよさは尋常なものではなかった。
 屋上の縁を軽く二周する頃には、頭の中が沸騰してしまっているかのような状態だった。もちろん、まともな思考など望むべくもない。
 気持ちよさのあまりその場で倒れてしまいそうになった私は、ふらつく体を支えるためにフェンスを掴む。何気なく視線をあげた先に、いま自分がいるビル並の高さがあるマンションが見えた。もしもそこから誰かがこちらをみていれば、私の姿は丸みえだろう。
 いまのいままで気づかなかった事実。
 人に見られていたかもしれない。いまも見られているかもしれない。その事実に私の理性の箍は簡単に外れてしまった。
 マンションに向けて、見せつけるようにオナニーをする。見られてしまってもかまわない。むしろ気づいて欲しいという思いを込めて私はひたすらオナニーに没頭した。
 何度絶頂に達しても私の興奮は冷めることを知らず、ひたすら立ち上っていくような快感の渦に翻弄され続けた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
 さらに強い快感を求めて、私の体は勝手に動く。
 屋上に来てすぐ脱ぎ捨てていたコートを、私は掴んで、くるくると丸めてしまう。風の方向を見極め、背中から風が当たるような位置のフェンスの前に立った。
 これからやろうとしていることは、まさに一世一代をかけた露出行為だ。決して後戻り出来ない興奮が待っている。耳の奥で心臓の鼓動が反響してとにかくうるさかった。
 ひときわ強い風が吹いた瞬間。

 私は丸めたコートを高く放り投げていた。

 丸めたコートは思ったよりも高く飛び、軽々フェンスを飛び越える。徐々に丸まりが解けながら地面へと向かって落下し始めて。広がって、風に乗って飛んでいく。
 私は素っ裸で屋上に取り残された。
 それを自覚した瞬間、いろんな気持ちが吹き出して、最高の絶頂に達した。膝がガクガク震えて立っていられない。屋上にへたりこんで、私はただただわき上がる快感に身を浸していた。
 その後、私は。




 ふわり、と風に吹かれて地面に向けて落下したコートは、ちょうど裏路地にある非常階段の手摺りに引っかかった。
 パタパタと風にはためきながら暫く揺れていたコートだが、風が収まると同時にその動きもなくなる。
 日が暮れて、コートが夜の闇に包まれつつあった時、その裏路地に現れた人影があった。しきりに周囲を見渡しながら、歩き回るその人影は、明らかに何かを探している風だった。
「おかしいなぁ……たしか……この辺に落ちたと思うんだけど……」
 小さく呟く声は、まだ若い女性のものだった。しきりに周囲を探す彼女は、なにを考えているのか、妙に熱っぽい目をしていた。
 そのとき、何の運命のいたずらか、先ほど上から落ちてきたコートの、ポケットに入れられていたサングラスがそこからこぼれ落ちた。かしゃんという音がして、何かを探していた女性はびくりと肩を竦ませる。サングラスが落ちた音のした方に視線を向け、その目がコートを捉えた。
「……っ」
 声もなく女性がそのコートに走り寄る。手を伸ばせば触れそうな近くで、女性は緊張で喉をならした。
「これ、が……」
 実はこの女性、夕刻にビルの屋上で展開されていた不振な女の痴態の一部始終を見ていた。そのあまりに刺激的で倒錯的なショーに見ていた女性の心臓は高まりっぱなしだった。
 その女は最後に最初着ていたコートを屋上から投げ捨て、その後屋上から消えてしまったが、見ていた彼女にはいつまでもその女の姿が見えているようだった。
 いてもたってもいられなくなった彼女は、あの女が投げ捨てたコートを求めてここに来てしまったのである。
 そしていま。彼女の目の前にはそのコートがある。
(……これをたった一枚着た姿で……あの人は……)
 どくん、と心臓が高鳴る。
 震える指先を、そのコートに伸ばした。
 
 
 
 
~『露出感染』 終わり~
 
 
 
 
[ 2013/07/05 20:00 ] 小説・短編 露出感染 | TB(0) | CM(0)
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Author:夜空さくら (旧HN:黒い月)

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