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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

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露出への誘い1

 差しだされたその手は、異様に白かった。

 眩しいほどの日に照らされているのに、その手はまるで幽鬼のように白くて、その手を取れば取り返しのつかないことになることがなんとなくわかっていた。
 それを自覚出来ていたのに、私はその手から目を逸らせなかった。いや、その手から、だけじゃない。
 私は私の前に現れたその人という存在事態から、目が離せなくなっていた。
 もしも幽霊みたいな超常現象だと説明されたのなら、それも納得してしまったかもしれないくらいに、その人は私の目を、視線を、意識を惹きつけていた。

 とても美しい人だった。

 同性である私ですら見とれるほどの、美貌。整い過ぎてて人間味がないというくらいに美しい相貌。
 柔らかく弧を描く口元も、穏やかな光を宿す瞳も、細くて薄い綺麗な眉も、一切の歪みのない鼻筋も。
 どれもが人間離れして整っていて、正直隣に立つのも憚られるレベルだった。
 神様とかが近いのかもしれない。
 けれど、私がその人から目を離せなくなった理由は、その美貌じゃなかった。
 美しいとは思ったけど、それ以上に私の気持ちを惹きつける要素がその人にはあった。
 あった、というのはおかしな言い回しかもしれない。
 だって、それは何か特別なものが『ある』のではなくて、あるべきものが『ない』のだから。

 その人は、その身に纏うべき衣服を一切身につけていなかった。

露出への誘い2

 いまは、ほとんど真上に太陽が来ているほどの真昼間だ。
 そんな時間帯だからこそ、その人は見た目の美しさだけではない浮世離れした存在に感じられた。
 これがもしも闇に包まれている夜だったなら、私はここまで動揺はしていなかっただろう。
 夜中にこんな格好をした人がいたら、不気味さというか、反道徳的な嫌悪感の方が勝っていたかもしれない。
 闇に紛れて悪いことをしているという印象の方が私の中で強くなっていただろうから。
 けれど。
 いま目の前にいる人は、悪びれもせず、堂々と、そうあるのが当然という風に立っていた。
 だから、なぜか私はそれに対して嫌悪感を感じなかった。素直に、綺麗、と思ってしまった。
 そんな私の意識が読まれたのか、人から距離を置くように歩いていたらしいその人は、私に近付いて来たのだ。
 周りには他に誰もいない。たまたま、普段人通りのあるその場所を誰も通りかかっていなかった。
 私は蛇に睨まれた蛙の如く、その人から目を離せなかったし、逃げることも出来なかった。
 その人は私の傍に近付いてくると、少し斜に構えたような、自然体で私を見詰めてきていた。

 そして、自然とその手が差し出されたのだった。

 正直、私はその手にどう反応すればいいのかわからなかった。
 だから暫く私とその人は真正面から見つめ合っていた。
 どれくらいの長い時間そうしていたのかはわからない。私の主観的には何十分のようにも感じられたけど、実際は長くても数分のことだろう。数秒しか経っていなかったかもしれない。
 その人が再び動き出したのは、動きのない状況に飽きたからか、それとも何か理由があるのか。
 いずれにせよ、女の人は差しだしてきていた手を戻し、自分の胸に当てる。柔らかそうな大きな胸が、それによって形を変える。いやらしい感じはしなかった。
「こんにちは」
 その声が女の人の声だということに、気付くのが一瞬遅れる。
 そのせいもあって、咄嗟に私は素直に挨拶を返していた。
「こ、こんにち……は」
 頭の冷静な部分が警報を鳴らしているのがわかった。関わり合いにならない方がいい、と頭のどこかが告げている。
 けれど、私は挨拶を返して、その人と関わり合うことを選んでいた。

 その時に、きっと私の運命は決まってしまったのだと思う。

露出への誘い3

 決して都会というわけではない、私の住む町では珍しい洒落たカフェは、そこそこ人が入っていて賑やかだった。
 そのカフェの一角、店内でも微妙に奥まったところの席をわざわざ選んで、そこに案内してもらった。
 従業員の人が、にこやかな接客スマイルで、私達に頭を下げる。
「それでは、御注文がお決まりになりましたら、及びください」
 去っていく途中、少しだけ不思議そうな顔をしていた。それも無理はないだろう。
 私の方はドキドキしているのに、私をここに連れてきた張本人、女の人は平然とした様子で席に腰掛けた。
「さぁ、そんなところに突っ立ってないで座って?」
 公園で出会った全裸の女の人。
 いま、その人は私の前の席に座っている。もちろん全裸じゃない。
 遭遇したとき、この人は何も手に持っていなかったけど、ちゃんと着る物は公園内に隠してあったのだ。
 ただ、その隠していた服というのが問題だった。

 それは、男の人が着る、男物のコートだった。

 私にとってはお父さんが着るようなコート、というイメージで、冬に道行くサラリーマンの人達がよく着ているような類のコートだった。
 明らかに女性が着るコートとはデザインが違うし、体格も大きく変わって来るから、ちぐはぐな印象を受けてしまう。
 それでも女の人の美貌が凄過ぎて一定以上の何かは保っているというのだから、綺麗な人というのはホントに得するものなんだな、と感じた。
 女の人はそのコートを全裸の上から身につけているだけだから、裾や襟から除く素肌が眩しくて艶っぽく見える。
 周りからはその下に何か着ているのだろうと思われているのだろうけど、私はその下に何も着ていないことを知っている。
 そのせいで、私はその人にろくに視線も向けられなかった。テーブルの上に置かれたお水のコップを手にして、それに視線を向ける。
 私のそんな努力をあざ笑うように、女の人がわざとらしく両肘をテーブルに突き、その身体がなるべく私の視界に入るように身を乗り出して来た。
「ごめんなさいね。付き合わせちゃって。用事とかなかったかしら?」
 その声は非常に優しく、柔らかくて、この時点だけを捉えればその人が露出狂だなんてことはわからない。
 これまで関わって来た大人の中にも、実はこんな風な人がいたんじゃないかと思うと、何とも落ち着かない話だ。

露出への誘い4

「大丈夫……ですけど……」
 なんと言えばいいのかわからない。そもそも、なんでこの人は私をここに連れて来たんだろうか。
 そんな風に私が考えていると、女の人はまたくすりと笑った。
「わたしは水沼エミリっていうの。エミリって呼んでくれていいわ。あなたのことはなんて呼んだらいいかしら?」
 女の人、エミリさんはそんな風に私に問いかけてくる。
「えっと……私は、垣滝るみな……です」
「ルミナちゃん? いい名前ね」
 にこやかな大人の笑みだった。私は意を決して、エミリさんに尋ねてみた。
「あの、エミリさん……その……なんであんな格好で……?」
 何よりまずこれを聞いておかねければならない気がした。どんな答えが返って来るのか、固唾を飲んで待つ。
 エミリさんは少しも考えた様子もなく、すぐに口を開いた。
「わたし、露出ッ子だから。裸で外でいるのが気持ちいいの」
 まるで悪びれることなく、彼女はそう言い切った。どくん、と私の心臓が大きな音を立てる。
「……あ、あんなことが……楽しいんですか?」
 重ねた問いに対しては、エミリさんは首を横に振った。
「楽しいっていうと少し語弊があるわね。楽しくないわけじゃないけど、楽しむのが目的じゃないわ。いま言った通り、気持ち良くなるのが目的だから」
 楽しさを求めていないけど気持ちいいとはどういうことなんだろう。
 エミリさんの言い回しの真意がよくわからず、私は困ってしまう。
 それが伝わったのか、エミリさんは顎に手を当てて考え込む。
「んー、とね。……ルミナちゃんはマッサージをしてもらった経験はある?」
「……何度か、あります。旅行に行った時、とか……」
「じゃあわかると思うけど、マッサージをして貰っている時、気持ちいいでしょ?」
「……そうですね」
「でも、楽しいかって言われると、ちょっと違うわよね?」
「……確かに」
 つまりはそういうことなのだろう。彼女は露出という行為に楽しみではなく、気持ち良さを求めているというわけだ。
「恥ずかしく、ないんですか? その……あんな、格好で……いまだって……」
「恥ずかしいわよ? あの時も、いまもね」
 あっさりとした答えだった。とてもそんな風に感じている風には見えないけど、よくよくみるとその頬が紅潮しているようにも見える。
「だから、いいんじゃない」
 エミリさんは相変わらずの笑顔でそう言い切った。
「恥ずかしいからこそ、気持ちいいの。恥ずかしく思わないようじゃ、露出なんて出来ないわよ」
 言っていることは無茶苦茶のように思えるのに、どこか筋を通った意見に聞こえるのだから、不思議なものだった。

露出への誘い5

 気持ちいいから露出する。
 その感覚は私にはわからない……いや、知らないものだった。本当にそれで気持ち良くなれるのか、私は知らない。
 当たり前だ。だってそもそもそんなことをしようとも普通は思わない。思ってもやらない。やろうと思っても出来ない。
 私は思ったことすらなかったのだから……それが気持ちいいことかどうかなんて、知らない。
 その思う通りのことを口にしてみる。
「……そういうの……よくわからないです」
 エミリさんはそんな私の答えに対しても、やっぱり笑顔のままだった。
「そうね。普通の人はよくわからないでいいと思うわ」
 まるで達観しているような調子で、エミリさんはそう言った。
 その応えを、私は不思議に思う。
「じゃ、じゃあ……」
 緊張で少し喉が渇いてた。
 水を飲みたくなったけど、堪えて言葉を発する。

「なんで……私に、そんな……話を……?」

 それが一番気になるところだった。
 もしも私が声を上げていたら。警察に駆け込んでいたら。
 いまだって、私にその気が無くても、何かの拍子で騒ぎだせばこの人の人生は終わる。
 そんな危険を冒してまで、なんでこの人は私に話しかけて……ここに連れて来たんだろう。
 エミリさんは、深い笑みを浮かべた。
「私わね、いままで一人で露出してきたの。パートナーっていなかったのよ」
 だからね、とエミリさんは真っ直ぐな目で、真面目で優しい目で、私を見ていた。

「あなたに私のパートナーになってもらえないかなって思って」

露出への誘い6

 その申し出を、最初私は理解出来なかった。
「ぱ、ぱーと、なー?」
 思わずそう問い返すと、女の人はあくまで穏やかに頷く。
「ええ。パートナーといっても、私が露出するのを助けて欲しいって話ではないの」
 そもそもどういうことかわかっていなかった私は、そういう話ではないと言われてもぴんと来ない。
 けれど、そんな私でもエミリさんが続けた言葉には仰天せざるを得なかった。
「一緒に露出して欲しい、ってこと」
 それは、つまり。

「あなたも露出しない? っていうお誘い」

 ぞくり、と背筋が泡立った。
 その感じた悪寒を意識しないようにしつつ、私はエミリさんに訊く。
「じょ、冗談……ですよ、ね……?」
 言いながら、私はエミリさんが本気であることを悟っていた。
 なぜだかはわからない。けれど、エミリさんの真っ直ぐな目を見ると、自然とそう思えたのだ。

露出への誘い7

 私は勝手に高まる自分の鼓動を聞いていた。
(……露出……する……? この人、みたいに……さっき、みたいに……)
 外で裸になって、他の人に見られるかもしれないところを歩く。
 その自分の姿を想像して、さらに心臓が大きく跳ねた。
「む、無理ですそんなのっ」
 思わず大きくなりそうになる声を絞ってそう口にする。
 エミリさんはそんな私の答えを予想していたと言わんばかりに、優しく微笑んだ。
「あら、どうして?」
「ど、どうしてって……無理に決まってるじゃないですか……私は……」
 私は、普通だ。
 エミリさんとは違う。そう言いたかったけど、エミリさんが異常だとはっきりいえなかった。
 そんな私に対してエミリさんはやっぱり笑顔だ。
「大丈夫。大体あなたが言いたいことはわかるわ。私みたいに外で裸になることなんて出来ない……自分は普通だ……って言いたいんでしょ?」
 当たり前だった。そうでない人間がそうそういるとは思えない。
 けれど、エミリさんは笑みを絶やさない。でもね、と続ける。

「あなたは私と同じよ」

 私にとっては衝撃的でしかない発言を、エミリさんはする。
「私と同じ、外で裸になることで快感を得られる……ちょっと変わった性癖を持っているわ」
 まるでそれが真実のように。
 今日初めて私に会ったはずのエミリさんは断言するのだった。

露出への誘い8

「どうして――」
 やっとの想いで搾り出した声は、我ながら掠れていた。
「どうして、私がそうだって言い切れるんですか?」
 なるべく冷静を装い、私はエミリさんにそう問いかける。エミリさんは微かに首を傾げた。
 私はそんなエミリさんに向けて、再度聞く。
「だって。おかしいじゃないですか。エミリさんとは……さっき会ったばかりですよ? 私の人となりも、性格も、人生も……性癖だって、知らないじゃないですか」
 これで仮に私がすでに露出プレイをしたことがあるのなら、話は違うかもしれない。知らないところで見られていたとか、そういう理由が推測できるからだ。
 けれど、もちろん私はそんなことをした覚えはない。だから、エミリさんがそんなことを断言出来るわけがないのだ。
 それでも、エミリさんは揺らがなかった。
「確かに、私はあなたのことを……ルミナちゃんのことを何も知らないわ」
「……目を見ればわかる、とか言いませんよね」
 そう機先を制していったつもりが、エミリさんには笑われてしまった。
「もちろんそんなことは言わないわ。まず、一つ」
 そう言ってエミリさんが私を指さす。一つということは複数理由があるのか、と少し戦慄した。
「あなたは逃げなかった。普通、私みたいな露出狂を目にしたら関わり合いにならないように逃げるわ。握手に応じるなんてもっての他ね」
「……驚いて逃げそびれただけです」
「次に」
 私のささやかな反抗は無視された。
「あなたは私の顔ではなく、体を見てた。これが二つ目」
「どういう、ことですか?」
「私としてはむしろ不本意なのだけど……私が露出してても、ほとんどの人は身体じゃなくて顔を見るの。自分でいうと嫌な感じになるんだけど、『こんな美人が露出?』みたいな感じね。私は体を見て欲しいのに、顔ばかり見られるから、あなたみたいに体の方を凝視しないの。男性ならともかく、女性ならなおさら、軽蔑した視線を顔に向けてくる」
「……単に、体の方を見てただけじゃないですか」
「そうかしら? 仮にそうだとしても……ここにこうして来て、話を聞いてくれる時点で、あなたは普通じゃないわよ」
 どくん、と心臓が高まった。逃げるのが正解なんだろう。実際、それが正解なのだということは私もわかっていた。

 私はこの人から逃げていない。それが答えのようなものだと。

 それでも、私は十数年かけて積み重ねてきた常識と言う名の柵から、それを手放しで認めるわけにはいかなかった。荷物を手に、帰ろうと試みる。
「帰ります」
 その私の手を、エミリさんが掴む。
「まあ、お座りなさい。別にすぐに露出しましょうって言うわけじゃないし。そういう気持ちがなくて、単なる好奇心で話を聞いてくれたのなら……それはそれで頼みたいことがあるの」
「……なんですか?」
 私の目を真っ直ぐ見て、エミリさんは言う。

「私が露出するところを、見ていて欲しいの。それだけでいいから」
 
 そうしてくれれば、もう二度と付き纏わない、そうエミリさんは断じた。
 私は少し考える。考えた時間はそんなに長くなかった。
「……一度だけ、ですからね」
 そう言いながら再び席に腰を下ろした私を、エミリさんは笑顔で見つめている。
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夜空さくら (旧HN:黒い月)

Author:夜空さくら (旧HN:黒い月)

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・イラストは全て3Dカスタム少女を使用し作成して投稿しています。黎明媚態の系統の絵も多少ありますが、基本は小説の方のみになる予定です。

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