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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

透明露出プレイ その6 1


 同じマンションに住む安藤響子ちゃんは、露出に興味がある。
 興味がある……というと少し誤解を生みそうだからより正確にいうと、露出の素養がある、だった。
 というのも私が露出プレイ中に失敗して、響子ちゃんに助けられた日の翌日、彼女が露出プレイについてスマートフォンで調べているのを見たからだ。
 響子ちゃん的にはいままで露出プレイなんて考えもしたことがなかったはずで、それゆえに興味を持って調べたのだろう。彼女は眉をしかめながらも、頬を薄く赤く染めながら、かなり熱心に露出プレイについて調べていた。
 さすがにその場でオナニーをし始めるほどのことはなかったけど、その夜お風呂に入る際、裸になった彼女は一瞬何かを考えて動きを止め、顔を赤くしていたので、露出プレイを意識してしまっていることは間違いなかった。
 その姿を見て、私はかつての私を思い出したのだ。
 きっと彼女も露出プレイにハマる素質がある、と確信した。
 こんな近くに露出ッ子として仲間になれそうな子が、それもずば抜けての美人さんがいることに、私は運命の悪戯を感じずにはいられなかった。
 絶対に彼女をこの道に引き込んでしまおうという断固たる決意を固めていたのだ。


 夕方、響子ちゃんが家に帰る頃を見計らって、私は彼女の家を訪れた。
「こんばんは~。お裾分けしに来ました」
 このために特別に用意したカボチャを、いかにも『実家から送られてきましたよ』と言わんばかりの雑な袋に入れて持っていた。
「……どうも」
 響子ちゃんは好物のかぼちゃに目を輝かせていたけど、同時に料理下手な彼女に丸ごとのカボチャは荷が重すぎる。
 私はすかさず、袋の中に入れておいたメモを取り出した。
「おすすめの調理方法はここに書いておきましたから、作ってみてくださいね」
「……っ。わかった、わ」
 一瞬言葉に詰まったのは、彼女が自分で料理する自信がなく、また頼れる母親や友達もいないからだろう。
 それを透明化の能力を使って知っている私は、いかにもいま気づいたかのように言う。
「……もしかして、安藤さんは一人暮らしなんですか?」
「…………」
 応えないのが答えのようなものだった。
「うーん、ちょっと料理に慣れてない人には難しいかもですね……とっても美味しいんですけど」
 わざとらしいかなとは思いつつ、私は名案を思いついたとばかりに笑顔を浮かべる。
「そうだ、良かったら私が教えましょうか? どうせなら美味しく食べて欲しいですし。覚えてしまえば簡単ですよ? 今後カボチャ料理が作れるようになりますし!」
「……ッ、そ、それは……」
 悩んでる悩んでる。ここでさらに押すか、それとも退くか。
 重要な分岐だった。もっと押そうかと思ったけど、すんでの所で言葉を飲み込む。ここ数日の観察で響子ちゃんが結構プライドの高い子だというのはわかっていた。
 あまりこっちが主導権ばかり握っていると、意固地になって拒否する可能性が高い。
 ここは判断を彼女に任せる意味で、次の言葉を待った方がいいと察した。別にここで失敗しても、また次の手を打てばいいだけだ。最悪なのは彼女に悪印象を与えて、こちらの行動を頭から拒否されること。ここで焦ってはいけない。
 数十秒間の沈黙。
「…………その」
 果たして、彼女が呟いた言葉は。
「……お願い、できるかしら」
 ゆっくりとドアを全開にして、私を家に招き入れるという行為だった。
 思わず声が弾みそうになるのを堪えて、頷く。
「はい。任せてくださいっ」
 こうして私は、響子ちゃんの家に正面から堂々と入ることに成功した。

つづく
[ 2018/06/01 23:11 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)

透明露出プレイ その6 2

 このようにして、私は響子ちゃんとじっくりと仲を深めていった。
 カボチャ料理に始まり、様々な料理を教えるという体で何度も彼女の家にお邪魔し、透明化能力もフルに使って把握した彼女の密かな悩みごとをさりげなく解決に導いたりしつつ、「露出狂の変態」から「近所の頼れるお姉さん」くらいの位置取りに成功した。
 彼女は結構気むずかしく、もし透明化の能力がなかったらこうは上手く行ってなかっただろう。けれど透明化の能力があったおかげで、ずいぶんと仲は進展していた。
「響子ちゃん、いま帰り?」
「夢衣奈さん。こんにちは」
 名前で呼び合い、街中で会って自然と挨拶してくれる程度には。
「ちょうど良かった。これからスーパーの特売品を買いに行くんだけど、付き合ってくれない? 限定品を確保したいの」
「ええ、大丈夫。行きましょう」
 名前で呼び合い、普通に接するようになっても、響子ちゃんの調子はあまり変わらなかった。
 こっそり観察してわかっていたことだけど、響子ちゃんは裏表というものがあまりないらしい。学校の先生に対してもこんな調子だから、人によって態度を変えられない不器用な子なのだろう。
 そんな響子ちゃんの話し方の中でも、私は結構柔らかめの口調で接してくれていると思っている。
 最初の頃の、過度にぶっきらぼうな話し方は、私のことが「露出狂の変態」という認識だったのだから仕方なかった。
 いまでは料理を教える立場になったし、あれ以降、私がああいうことをしているところは響子ちゃんは見ていないため、この変化はある意味当然だ。
 私は歳の離れた妹が出来た気分でいたし、彼女にとっても、似たようなところはあると思う。
 響子ちゃんと一緒に買い物に行って、野菜の選び方とか細かなことを教えつつ、私はそろそろ次の段階に進んでもいいと考えていた。
 すなわち、響子ちゃんを露出ッ子の道に引き込むという段階に。


 その日の夕食は、響子ちゃんの家で料理を教えるついでに、一緒に食卓を囲んでいた。
 一緒にご飯を食べるという行為は仲を深める上でとても重要なことだ。最初は料理したものの味見を兼ねて……という建前だったけど、いまでは自然と一緒に食事を取るようになっていた。
 私はいつも通りに世間話をしながら食事を進めつつ、機を見てそのことを切り出す。
「そういえば、響子ちゃんに助けられてから一ヶ月は経つのね……時間が経つのは早いわ」
 何気ない時候の話に合わせて口にしたから、不自然さはなかったはずだ。響子ちゃんはぴくりと反応したように思えたけど、すぐに「そうね」と返してくれた。
 慎重に響子ちゃんの反応を見つつ、さらに続ける。
「あのときは驚かしてごめんね」
「…………いえ」
 響子ちゃんが何か言いたそうにしているのを、私は敏感に察した。すぐに聞き出したかったけど、焦ってはいけない。
 言葉では何も言わずに、視線だけで彼女の言葉の先を促す。
「…………め、夢衣奈さん」
「んー?」
「その……いまも、ああいうことやっているの?」
 想定していた中では良い方の質問だった。私は内心の高揚が伝わらないようにしつつ、平静を意識して答える。
「あそこまで危険なことはしてないから安心して」
 この答えは、あのときほどのことはしていないけど、いまでも露出プレイ自体はしているという意味でもある。
 当然彼女がその意味に気づかないはずがなく。
「……どうして、するの?」
 あれだけ危険な目にあったのに、と彼女の目が言っている。
「どうして、かぁ……そうだねぇ……どうしてかなぁ」
 彼女をこっちの道に引き込もうとしておきながらどうかと思うけど、それは私自身も不思議に思っていることだった。
「強いて言うなら……解放されたい、すべてをさらけ出したい……そういう欲求かな」
「さらけ出したい……」
 ぽつりと響子ちゃんが反芻する。
 彼女が反芻したキーワードに、私は彼女が露出に惹かれている理由がわかった気がした。
「露出プレイにも色々あってね。プレイをする皆が皆、誰かに見てほしい、ってわけじゃないのよ。少なくとも私はそう」
 これは、半分は嘘だ。私自身には「誰かに見て欲しい」という願望もある。
 けれど私が推測するに響子ちゃんはそうではない。いまの響子ちゃんにそのことを正直に言うのは、興味よりも拒否感が勝ると判断した。
 まずは彼女をこちらに引き込むために、彼女の願望に合わせた話から入る。踏み込みすぎてもいけない。かといって退きすぎても、彼女をこちらには引き込めない。
 ある意味、露出プレイをしているときのような綱渡りのドキドキ感を覚えていた。
「人によって露出をする意味は色々だから……例えば、そうね」

「絶対安全な家の中で裸になるというだけでも――興奮する人はいるんだよ」

つづく
[ 2018/06/02 21:39 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)

透明露出プレイ その6 3

 見られている、気がする。
 私は夢衣奈さんが帰って独りになった部屋で、不思議とそう感じていたわ。誰もいないはずなのに、どこかから視線を感じることが増えたの。
 それは私が気にしすぎなのか、それとも夢衣奈さんに教えられたことが関係しているのか。
 私はまず疑念を払拭するため、夢衣奈さんからもらったとある機械を手に取った。
 それはいわゆる監視カメラや盗聴器などを見つけるための機械ね。このマンションはセキュリティがしっかりしているから不在中に忍び込んだり、ましてやその類いのものが設置されていたりするはずもないはず。だから私は正直それまでそういうものを警戒していなかったの。
 けれど夢衣奈さん曰く、悪意のある相手はどこでどう仕掛けてくるかわからないから、定期的に調べた方がいいという。
 納得した私はその機械で定期的に部屋を調べていた。いまのところそういったものが取り付けられていたことはないわ。
 今回、私はそのための機械を自分でも買ってきていた。
 夢衣奈さんのことを疑うわけではないけど……いえ、この行動がすでに疑っているわね。
 今回買ってきた機械は、夢衣奈さんがくれたのとは別の機種のもの。
 私は機械に詳しくないからそういうことが出来るのかもわからないけど、機械に何かしらの細工をして夢衣奈さんが自分で仕掛けた監視カメラや盗聴器には反応しないようにしていたら、これでその存在はわかるはず。
 思い返せば、夢衣奈さんの言動には妙に正しすぎる時があったのよ。
 その時私が抱えている悩みや危惧に正確に答えてくれていた。それは大人の余裕というか、経験値によるものだと思っていたけど、よく考えるとあまりに正確すぎる気がしたのよね。
 もしかすると、カメラや盗聴器とかで私の生活を監視しているのかもしれない。
 なにせ、あんなことをやるような人だ。警戒するに越したことはないはず。
 私はそう思って部屋の中を一通り調べた。二つの機械で調べた結果、特に問題はなさそうだった。
(やっぱり、私が気にしすぎているだけ……なのかしら)
 視線には敏感な方だ。学校でも道を歩いていてもなぜか何かと視線を向けられることは多い。
 好意であれ悪意であれ、視線というのは割と明確に伝わってくる。
(外から直接監視されてる……ということもないはずよね)
 このマンションの向かいにこの部屋を覗けるほど高い建物はない。
 遙か遠くにならあるけど、そんなところからはっきり見えるとは思えないし、そもそもカーテンを引けば視線は遮られる。
(意識しすぎ……なのかしら)
 視線を意識しすぎるあまりの過剰反応ならいいのだけど。
 私は溜息をついてためておいた食器を片付けることにした。スポンジに洗剤を適量つけ、汚れの薄いものから順番に洗っていく。ひとつずつ水で流すのではなく、一端脇において一気に流す。
 この洗剤の量も、洗う順番も、夢衣奈さんに教わったわ。それまでの私はそのことを意識することもなかった。思えば無駄な洗剤を使っていたし、無闇に汚れを拡大させていたわね。
 けれど……仕方ないじゃない。
 本来そういうことを教えてくれる母親は、私にはいなかったのだから。
 野菜の選び方、切り方、料理の手順。そういったものを教えてくれる夢衣奈さんは本当にありがたい存在だった。
 最初の出会いは最悪だったけど、普通に接する限り、夢衣奈さんは普通にいい人、だと思うわ。
 目上の人に対してどう接したらいいのかわからない私は、かなり失礼な態度になっている自覚はある。けれど、夢衣奈さんは特に怒る様子も不快に思う様子もなく、自然体で接してくれていた。かといって放置するでもなく、それとなく敬語の使い方や振る舞いの作法を教えてくれている。
 とても、ありがたい。
 だからこそ、私にはあの人が露出狂の変態だという事実が不思議で仕方なかったわ。
 私のイメージでは、露出狂の変態というのはもっと、周りの迷惑も顧みずに自分の気持ちいいと思っていることをする社会不適合者だったから。
 実際、夢衣奈さんに会ってすぐ、露出狂について調べてみたけど、どれも公共の場所で嬉々として晒しているような変態の情報ばかりで、見ていてかなり恥ずかしくなった。同じ女性とも思いたくなかったくらい。
 きっとあの人たちは頭のおかしなキチガイなのだろうと結論付けた。
 正直なところ、言葉も通じない異常者であると思っていたわね。
 けれど、普段の夢衣奈さんから受ける感じは、そういう人たちとは全然違っていて、私は露出狂というものがいまいちよくわからなくなったの。
 迷惑なのは事実。
 あんなことをしている人が同じマンションに住んでいる、なんてことが知れたら、同じ女である私などは特に変な目で見られるのが想像つく。
 ましてや私の場合、いまでさえ大して関わりのない人に「調子に乗ってる」だの「お高くとまっている」だの陰口を言われることがあるくらいだ。
 そこにそんな噂の種が植えられればどうなるか。
 悪意を持って「安藤響子は露出狂の変態だ」とか、事実と異なる噂を流されるだろうことは目に見えている。
 そんなことになっては転校も考えなければならなくなるかもしれない。
 そしてそうなったとき、私を守ってくれる大人は……親はいない。
 だから出来れば夢衣奈さんには露出行為を止めてもらいたい。それが私の最初に考えていたことだった。
 どう話しを切り出していいのか迷っていたところに、運良く話しの流れで夢衣奈さんがどうして露出行為をするのかを聴けたのは収穫だった。
 けれど聴けた理由は想像していたようなものとは少し違って、夢衣奈さんも好き好んで破滅したいと考えているわけではないようだったわね。
 どうしても私の想像だと、露出狂というのは女の子とか子供の前に立ちふさがって、コートの中の裸を見せ付けて去って行く、というようなステレオタイプの物が浮かんでしまっていたの。
 夢衣奈さんはそうではないという。
 露出狂にも色々あって、その欲望の発露のさせかたも様々だと。
 部屋の中で全裸になるだけで興奮する人もいる、なんていう事実は私の想像の埒外だった。どうしてそれで興奮するのかわからない。脱衣所で裸になるのと何が違うのというの。

 やってみれば――わかるのかしら?

 私は何気なく自分が考えたことに、背筋が凍る感触を覚える。
 食器の片付けを終え、水道を止めた。音が消え、家の中が静まりかえっていた。
 誰もいないリビングに戻り、私はカーテンもしっかりしまっていて、誰もいないことを確認する。
 それなのに、なぜか誰かに見られている気がした。

つづく
[ 2018/06/03 22:49 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)

透明露出プレイ その6 4

 監視カメラもない、外から見られるわけもない、他に誰もいない。
 だからこの感じる視線は気のせい。その、はず。
 いまからしようとしていることを意識しすぎているのかしら。
 私は一人で暮らすには広すぎるリビング。テレビも何もつけていないから静まりかえっている。
 私が息を吐いて吸う音だけが響いている。普段なら意識もしないようなことが気になる。
 どくん、どくんと心臓の鼓動が早くなっているのがわかった。
 滅多に感じない、頬に熱の集まる感じ。冬場に運動したばかりのような高揚感があった。
「……ふー」
 細く、長く息を吐く。
 確かめてみよう。どんな気持ちなのか。どんな感覚なのか。
 私は自分のシャツのボタンに指をかける。部屋で服を脱ぐのは毎日で、着替えるだけならいつものこと。
 けれど、リビングで服を脱ぐという行為自体、私はしたことがなかった。
 夏場の暑い時は冷房を適切に使っているから薄着になることすらあまりない。
(……本当に、変な感じね)
 胸が高鳴る。これは緊張からくるものなのかしら。
 それとも、非日常的ないまの状況への不安?
 わからない。
 私は全てのボタンを外し、はだけた状態の自分の身体を見下ろす。
 飾り気のない下着に包まれている隆起した胸。普段日にさらすことがないからか、必要以上に白く、部屋の光りを反射して余計に白く見えるお腹。
 ゆっくり肩から袖を抜き取っていく。これでほとんど上半身裸になってしまった。
 寒いわけでもないのに、肩に空気が当たる感触に身体が震える。
(やっぱり、これで開放感を得られるとは思えないのだけど……)
 まだ上半身の服を脱いだだけとはいえ、得られている感触はあまり良くない。どうしてこんなことを、という違和感がやはり強い。
 それでも、ここまでやったのだからと、私は今後は下の服に手をかけた。スカートのホックを外し、ファスナーを下げる。
 思ったより、私は緊張していたみたい。
 ファスナーを下げきったところで、私は勢い余ってそのままスカートから手を離して、スカートが足下に落ちていった。
 足の周りにあった布の壁が消失する感覚。薄布一枚でも全然違うというのを、改めて意識する羽目になったわ。
「……っ」
 思わずあがりそうになった声を堪え、私はスカートを脱ぐために曲げていた身体を伸ばす。その時、私は下着姿でリビングに立っていた。
 十分変な自分の格好。こんなところを人に見られたら、相当だらしない人間だと思われることでしょう。
 見られているはずもないのに、どこからか見られているような感覚がする。
 思わず足をすりあわせ、両腕で胸を庇った。
 あと全裸まで残り二枚。
 私は脱ぐべきか、もうやめておくべきか、強い葛藤を感じていた。

つづく
[ 2018/06/04 22:47 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)

透明露出プレイ その6 おわり

 ここまでやめておけば、まだだらしがない程度のこと。
 夏の暑い盛りなど、部屋では下着姿で過ごしているという話を、同級生の子たちがしていたのを小耳に挟んだことがある。
 その時私は「だらしないわね」と思いはしたけど、暑い時期のことだったから彼女たちの気持ちが理解できなくはなかった。だから、そこまでその子たちを異常だと思うことはなかったわ。
 けれど、今の私は暑いわけでもなく、むしろ肌寒いくらいなのに、部屋の中で下着姿になっている。あの子たちより、私の方がよほど異常だ。
(……やっぱり、やめよう)
 私はそう思ってこのまま脱衣所に向かおうとした。いまならまだ「お風呂に入ろうとして先走って部屋で服を脱いだだけ」という言い訳が私の中で出来るから。
 それに意味があるのかないのかわからないけど、私自身をごまかせる。
 脱いだ服を手に取り、お風呂場に向かおうとして――電話が鳴った。
 不意打ちにもほどがあって、心臓が止まるかと思った。私の知らない着信音。机の上に置いてある自分の携帯電話を見れば、それは着信を告げていない。
 じゃあこの着信はどこから?
 私が音のする方を探してみると、さっき夢衣奈さんが座っていた椅子に、知らない携帯電話が置かれていた。
「……忘れ物?」
 私の知らない連絡先の表示が出ている。どうしよう。
 勝手に出るわけにはいかない。かといって、放置していていいのだろうか。
 まだ学生の私には良くわからないけど、緊急の仕事の電話だったとしたら、あとで夢衣奈さんがすごく怒られることになるんじゃないかしら。
 着信は鳴り止まない。よほど大事な用事なのかもしれない。
 仕方ない。
 私は意を決して、夢衣奈さんの携帯電話を手に取った。
「はい……もしもし」
『あっ、やっと通じた。夢衣奈? 私よー』
 相手は女の人のようだった。呼び捨てにしているところを見ると、友達だろうか。どことなく、酔っているような気配がする。
 私は夢衣奈さんではないことを伝えようとしたけど、相手の人が間髪入れずに喋り出してしまい、思わず言葉を飲み込んでしまった。この辺り、対人関係の経験の少なさが仇になった。
『いやー、この前は旅館の紹介ありがとね! おかげですっごく充実した温泉街露出を堪能できたわ!』
「……!?」
 聞こえてきた単語に、思わず息を呑む。
 いま、この人はなんていったの?
『でも、色々トラブルも多くてね。一緒に行った子のこともあるし、ドキドキしっぱなしで! でもやっぱり、露出っ子の先輩として余裕は見せ付けたいじゃない? だから、がんばっちゃったわよ私。あの子が一緒だったから心強い面もあったけど、それでも矢面に立つべきは私だしね。ああ、でも男の温泉客に囲まれた時は真面目に怖かったわね……』
「……ッ!」
『でも、なんとか警察沙汰にもならずに、存分に楽しめたわ! やっぱり自然の中の開放感はひとしおよねー。今度夢衣奈も行ってきたらいいわ! あ、それと写真撮影もしたからあとで送るわね。これがまた綺麗な写真が撮れたのよ。あの子も最初は恥ずかしがってたけど、あとの方はノリノリでね-。ほんとあの子の身体綺麗だから夢衣奈もぜひ会ってあげて欲しいわね。もちろん全裸でね! ふふふ。夢衣奈の住んでるところが遠いのが残念よ……近かったら、一緒に露出できるのにね』
「……う、ぅ」
『……? 夢衣奈-? どうしたの?』
「あ、あのっ」
 勇気を振り絞って声をあげると、電話の向こうの声が暫く沈黙した。
『あ、あれ? もしかして……私、間違えた……?』
 明らかに動揺している。声が震えているのがわかる。
「そのっ、夢衣奈さんの携帯であることは、ま、間違いないのだけど……ええと……私の家に、置き忘れてて……」
 どうしよう。取らなければよかった。
『……もしかして、安藤さん?』
 突然私の名前を言い当てられて、驚かざるを得なかった。
「……!? わ、私のことを、知ってるの?」
『…………』
 私の質問に対し、電話先の相手は少しの間沈黙した。
『こほん。安藤さん、はじめまして。私、夢衣奈の友人の水沼エミリと申します』
 急にトーンが変わった。
 いかにも大人の、落ち着きが感じられる声。
「は、はあ……安藤、響子です……」
『驚かせてごめんなさい。あなたのことは夢衣奈から聞いているわ。同じマンションに住んでいる方で、まだ学生なのに独り暮らしをしているのを心配して、夢衣奈が料理とか教えにいっているのよね』
「そ、そうなの……」
『素直で優しくて、とても可愛らしい方だと聞いているわ。妹が出来たみたいで嬉しいって』
「そんなこと……」
 夢衣奈さんが親しみを持って接してくれているのはわかっていた。それでも改めて別の人から聞くと、本当にそうなのだと実感が湧いて嬉しかった。
 こんな形でなければもっと嬉しかったのだろうから、そこは少し残念だけど。
『それで……その、あなたと夢衣奈のなれ初めも聞いてるわ。だから、言ってしまうけど、私と夢衣奈はいわゆる露出プレイ繋がりの友人でね』
「……っ」
『住んでるところが遠いから実際に会うことは少ないのだけど、さっきみたいに、お互いがしたプレイについて電話で話したりもするの。それで、ちょっといま私、お酒入ってて……その、勢い余って聞かせちゃってごめんなさい』
「い、いえ、気にしてないわ……です」
『あなたに迷惑がかからないように、夢衣奈にはちゃんと言っておくから――』

 その時。

 突然肩に手を置かれて、私は死ぬほど驚いた。
 驚いた拍子に取り落としかけた携帯を、私ではない誰かの手がかすめ取る。
 夢衣奈さんがそこにいた。なぜか額から汗を掻いていて、ものすごく焦った様子で申し訳なさそうに片手で謝る仕草をしている。
「ごめん! 勝手に家にあがってごめん! もしもし、エミリ? ごめんあとでかけ直すから――」
 夢衣奈さんは私に背中を向けながら、電話先の水沼さんに対して話しかけている。
 私は唖然としつつ、ふと、自分のいまの格好を想い出した。
 顔に熱が集中するのがわかる。遮二無二、脱衣所に駆け込んだ。
 中に入ってドアを閉める。全力疾走をしてもこうはならないというほど、心臓が跳ね回っていた。
 しばらく動けなかった私に、脱衣所のドアの外から夢衣奈さんが声をかけてくる。
「響子ちゃん、勝手に入ってごめんなさい! 携帯を忘れたのに気づいて、取りに来たんだけど、中で響子ちゃんがエミリと話してるのが聞こえて来ちゃって、エミリとの関係が関係だから、慌てて入っちゃったの。鍵が締まってなかったから」
「え……?」
(いや、確かに締めた……締めたわよね?)
 私は夢衣奈さんが帰った時のことを思い返す。いつも通り玄関先まで見送ったのは間違いない。鍵を閉めたかどうかは、はっきりと思い出せなかった。
(よりにもよって、こんなタイミングで閉め忘れたのかしら。……最悪だわ)
「ええと、その、タイミング悪くお風呂に入ってる時に鳴っちゃったのよね。ごめんなさい。次から忘れないように気をつけるわ」
「…………あ」
 そうか、夢衣奈さんから見ればそう考えるだろう。まさか部屋の中で服を脱いでいたとは思わないはず。そう考えると、少し気が楽になった。
「私、このまま帰るから。お風呂に入り直す前に玄関の鍵だけ閉めてね。あと、体も冷やさないで」
「……ええ、わかったわ」
 おやすみなさい、という夢衣奈さんがドアの前から離れ、玄関から外に出て行くのがわかった。私は取り急ぎ服を着ようとして、それがリビングに置いたままであることに気づく。
 リビングで服を脱いでいたという証拠が残っていたことに、私は今更ながら気づいた。
(い、いえでも……夢衣奈さんも部屋の中を見渡すような余裕はなかったはずよね……大丈夫……大丈夫……)
 私は自分で自分に言い聞かせながら、バスタオルを身体に巻き、玄関の鍵を施錠しに行った。
 かちゃん、とちゃんと鍵がかかったことを確認する。
(鍵を閉め忘れるなんて……気が緩んでいる証拠ね)
 確かに夢衣奈さんを送るとき、その直前に聞いた話に気を取られていたのは事実だ。だからうっかり忘れてしまったのだろう。
 私はようやく落ち着いてきた気持ちを、務めて鎮めつつ、改めてお風呂に入りに浴室へと向かった。
 ドキドキする胸の鼓動は、驚きによるものだと言い聞かせながら。



 自分の家に入るなり、私は膝から崩れ落ちた。
「やってしまった……! なんてタイミングが悪いの! エミリの馬鹿! もう!」
 苛立ちを拳にして床にぶつける。この時ばかりは近所迷惑とか考えていられなかった。
 まさか携帯を置き忘れているとは思っていなかった。
 しかもエミリからの電話が、よりにもよってこのタイミングでかかってくるなんて!
 おまけに普段は落ち着いているエミリが酔ってて、相手も確認しないうちから露出プレイの話をし始めるなんて、どんな確率だろう。
 運命の神様を呪わずにいられない。
 なんで私の計画はいつもいつも上手くいかないのか。
 響子ちゃんがどう思ったのか、知るのが怖い。
 ようやく初対面の嫌悪感も打ち消して、ここからじっくりゆっくり露出ッ子に引き込んであげようと画策していたというのに、全部台無しだ。
 さらに、焦っていたから仕方ないとはいえ、透明化の能力がバレかねないことをしてしまった。
「ああするしか透明化を解除できなかったとはいえ……!」
 防犯意識の高い響子ちゃんは鍵を締め忘れてなどいなかった。私が内側から鍵を開けたのだ。
 響子ちゃんがリビングで服を脱ぎ始めた時、私は透明化の能力を使ってリビングにいた。あの話をしたことから、響子ちゃんがリビングで服を脱ぐんじゃないかと考えて。
 そして実際、響子ちゃんは服を脱ぎだした。
 残念ながら下着姿で踏み留まってしまったけど、一歩目を踏み出させることに成功したと喜んでいたのに。
「部屋の外で通話の内容が聞こえるわけないでしょーが! 地獄耳にもほどがありすぎるわ! 仮に聞こえたとしても、チャイムも鳴らさずに家にあがりこむとか、不自然極まりないでしょ!?」
 冷静に考えれば考えるほど、無茶苦茶だ。確実に響子ちゃんに変に思われた。
 まさか、こんなトラブルに見舞われるなんて。
「あー! もー! エミリの奴ー! 絶対許さないんだから!」
 八つ当たりであることは重々承知の上で、私はエミリに対して一言文句を言ってやろうと電話をかける。
 大体、エミリはズルい。
 偶々街中で出くわした女の子を、大した苦労もなく露出っ子に引きこんじゃったんだから。
 それも、一緒に露出旅行に行くほどの仲にまで発展したというんだから。
 響子ちゃんにもそれくらい露出っ子の素質があったら、私はどんなに楽だったか!
『もしもし? 夢衣奈? ……ごめんなさい』
 気まずそうなエミリの声が、電話機の向こうから聞こえてきた。
「エミリーッ!! このおばかーッ!! もー! これで響子ちゃんに嫌われたらどーしてくれんのよー!」
 それからしばらく、エミリに向けて愚痴をぶつけた。
 私のそんな完全八つ当たりの愚痴を、エミリは大人しく受け止めてくれたのだった。


透明露出プレイ その7に続く

[ 2018/06/06 19:12 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)
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