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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

バスタオル一枚で異世界転移 第一部 最終章(エピローグ)

 ルィテ王国が死告龍の襲撃を受けて滅亡の危機に瀕した時、異界から現れし聖女が死告龍を鎮め、国を救った。そんな噂が世界を駆け巡った。
 いまにも城を襲わんとする凶悪なドラゴンの前に、生まれたままの姿で何の武器も持たずに立ち塞がる黒髪の乙女。
 その儚くも凜々しい姿が描かれた肖像画が噂と共に世界中に出回り、『キヨズミセイラ』という聖女の姿と名前は世界に知らしめられたのである。

 噂の聖女――清澄聖羅その人は、自身の裸体が描かれた肖像画が名前付きで全世界に拡散されている、という恥ずかしい事実にひたすら悶えていたのだが、それは噂にはならなかった。




 城内をぺたぺたと音を立てながら歩きます。
 その途中、修復された塔が窓から見えました。あれだけ大破したにも関わらず、数日で直せてしまうのですから、魔法のある世界はいいですね。
 ただ、イージェルドさん曰く「魔法で修復することは出来るが、あまり繰り返していると劣化も早くなるからね。出来ればこれ以上壊れないで欲しいものだよ」とのことでした。
 あれは遠回しに「死告龍や大妖精の手綱をしっかり握っておいてくれ」ということなのでしょう。

(私としても、あんなのは二度とごめんです)

 直った、といえば私の身体の傷もすっかり治っていました。毎日少しずつ回復魔法をかけてもらった結果、いまでは傷ひとつ残っていません。魔法がなければ確実に傷が残っていたでしょう。そういう意味では、魔法様々というところでしょうか。
 ただ、魔法があたりまえに存在する世界だからこその、不利益もありましたが。
 連想して例の肖像画のことを思い出してしまい、私は頬に熱が集中するのを自覚します。

(まさか城下町からでも見られていたなんて……この世界の人たちのスペックを甘く見てましたね……)

 魔法による身体能力の強化が当たり前のこの世界の人たちは、当然視力も強化することが出来るのです。
 一キロ先においてある硬貨の絵柄もわかるというレベルに強化することができるらしく、それを使えば塔の上での私とリューさんのやりとりは舞台の上でやってるのと変わらなかったのでしょう。
 あの全裸での立ち回りを色んな人に見られていたのだと考えるだけでも恥ずかしいのに、それが肖像画として出回っていると聞かされた時の羞恥と来たら。
 しかもその肖像画というのが、無駄に現実に忠実なのも最悪でした。
 いっそめちゃくちゃ美化してくれていれば私っぽくなくなったのに、私らしさはそのままに、構図などの臨場感はたっぷりと盛ってくれていました。そのために目は惹くわ、私の姿はハッキリわかるわ、最悪にもほどがあります。

(だいたい、聖女ってなんですか聖女って……)

 勇者、もしくは聖女として異世界に召還されて云々、というのは異世界転移ものの鉄板ですが、自分が聖女ではなく、そういった能力も一切持っていないことは、私が一番よく知っています。自分が聖女と呼ばれることに違和感しかありません。
 名前には確かに聖羅と聖の字が入っていますが、このときほど聖羅と名付けた親を恨んだことはありませんでした。
 でもイージェルドさんやオルフィルドさん曰く「そう思わせておいた方が都合がいい」とのことなので、今後私は聖女として行動しなければなりませんでした。
 憂鬱すぎてため息を吐いていると、側についてきてくれていたヨウさんが、怪訝な顔をして私の顔を覗き込んで来ます。

『聖羅、どうかした?』

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 あの騒動があってから色々と試行錯誤し、私はヨウさんやリューさんとしっかり意思疎通が出来るようになっていました。
 それに伴い、私の格好もバスタオル一枚から大きく改善されています。
 腰にバスタオルを巻き、胸をチューブトップの白い布で覆っているという格好です。露出は多いですし、相変わらず下着は身につけられていないのですが、その安心度は全く違います。
 バスタオル本来の身に付け方からは少し外れているために『神々の加護』は緩んでいるものの、それが逆にヨウさんやリューさんとの意思疎通を可能にしていました。
 ヨウさんやリューさんと色々試した結果、バスタオルの強力な加護が「魔力の籠もった声」まで弾いてしまっていたことがわかったのです。
 ドラゴンや妖精の声は魔力によるものなので、バスタオルの加護が弾く対象になってしまっていた、というわけです。
 そこで、ふたりは翻訳魔法をさらに改良して、緩んだ加護を貫通し、強制的に声を伝える魔法に昇華してくださいました。
 多少耳鳴りはしますが、無視できるレベルです。

(魔法をぽんぽん改良してくれていますけど、そんな簡単なことじゃないですよね……)

 さすがは大妖精とドラゴンと言ったところでしょうか。
 そんなヨウさんとリューさんが味方でいてくれるのは、心強いことではあります。
 中庭にたどり着くと、ヨウさんは私の側から離れていってしまいました。
 一度は本気でリューさんを殺しにかかったヨウさんですが、私を挟んでリューさんと話し合った結果、リューさんに「即死のブレスを森に向かって使わない」という約束を取りつけました。
 元々ヨウさんがリューさんを殺しにかかったのは、森を即死のブレスで薙ぎ払ったからであり、それさえ二度としないという約束が取りつけられれば、その恨みは水に流すことにしてくれたようです。
 代わりに、リューさんはヨウさんに「自分と聖羅のために尽くすこと」を改めて誓わせていました。
 そういう形でヨウさんを縛り付けるのはどうかとは思ったのですが、必ず味方をしてくれる存在は必要だったので、ありがたく恩恵を享受することにしました。
 そんなわけでヨウさんとリューさんはちゃんと和解しているのですが、今回は私があらかじめ頼んでいて、中庭についた段階で離れてもらいました。

(ここ数日忙しくて後回しにしてしまっていましたが……あのことを訊かないといけませんからね)

 ひとまず状況も落ち着いて来たところで、いよいよこの世界に来て最大の謎――リューさんの目的について、聞きに来たのです。
 一体どんな目的があって、バスタオルの加護以外何の取り柄もない私を助けてくれているのか。
 それがとても気になります。
 この数日の間に、私はヨウさんにお願いして私自身のことを調べてもらっていました。
 イージェルドさんに使ってもらったときには弾いてしまった【探査】の魔法をかけてもらったのです。

 その結果、私自身には魔力も能力も加護も、何もないことが判明しました。

 強いていえば、この世界ではどんな小さな生物でも持つ魔力すら持たないため、大規模な魔法をかけられると『魔力中毒』で死ぬ、という点は特別です。
 この世界で生きて行くにはあまりにも重いハンデでした。
 一応、長く魔力に触れていると、多少は慣れるようですが、そうなっても魔力を生み出すことはできないので、根本的な解決にはならないだろうとされています。

(せっかく魔法のある世界に来たのに、魔法が一切使えないというのは哀しいですね……)

 剣も魔法もあるのに、夢も希望もありません。
 ですが、ないものねだりをしていても仕方ないので、それはあきらめるとして。
 この世界では虫以下の存在である私を、リューさんはどうして気にかけているのか。
 気にはなっていても、内容が怖くて聞けなかった謎をいよいよ明らかにするときが来たのです。
 私は深呼吸をして気持ちを落ち着けてから、リューさんの待つ中庭の中央へと進んでいきました。
 中庭はあれからヨウさんが手を加え、巨大な蔦のドームが作られていました。それは私がリューさんと交流する際に目隠しとして活躍してくれます。合図ひとつで天井が開くようになっていて、リューさん的にもなかなか居心地がいいようです。
 その蔦ドームの側に行き、ドームに向かって声をかけます。

「すみません。開けていただけますか?」

 すると、蔦の壁の隙間からひょっこりと小さな妖精さんが顔を覗かせ、私を見てにっこり笑顔を浮かべたかと思うと、蔦の壁がほどけて私が通れるだけの穴を作ってくれます。
 お礼をいってその穴を潜ると、すぐにその穴は塞がりました。
 彼女たちは元々この中庭にいた妖精たちで、ヨウさんに命じられてこの蔦のドームの管理を行っています。
 ヨウさんのような大妖精に比べると自我が薄く、個体の区別もほとんどないような方々でした。なので私はすべてを指して「妖精さん」と呼んでいます。
 私の言葉を理解しているというよりは、来た方向や挙動を見て判断しているようですが、そこは特に重要では無いので構いません。

『あ、セイラ! やっと来た!』

 ドームの中に入った私を、嬉しげに尻尾を振るリューさんが出迎えてくれました。
 小型犬ならひたすら可愛いだけの行動ですが、像の鼻より太いリューさんの尻尾はドシンドシンと地面を叩き、凹ませる威力があるので、冷や汗ものでした。
 加護のない状態であれに巻き込まれたら、全身複雑骨折では済まないでしょう。

「お待たせしました、リューさん。おはようございます」

 幸い、今日は落ち着いているのか、リューさんは突っ込んで来ませんでした。
 言葉がちゃんと交わせるようになった今でも、リューさんは感極まって突っ込んでくることがあります。
 バスタオルの加護があるので死にはしないのですが、相当びっくりすることに違いはありませんし、何より加護が緩んでいる状態では完全な即死耐性があるわけでもないので、肝も冷えます。
 もっとも、緩んでいるところを調べてもらってみたところ、即死が通る確率は千回に一度あるかないかくらいの確率だそうなので、さほど気にしなくても大丈夫なようですが。

(でも幸運はすでに使っちゃってますからね……気をつけないと)

 あれから色々と話を聞いたのですが、通常リューさんの即死が通る確率というのは、一般的な魔力持つ人間で十回中九回、つまり約九十パーセントだそうです。
 魔力が多ければ確率は下がり、逆に少なければ確率はあがるので、私だと九十九パーセントは死んでいただろうと推測されています。
 つまり塔の上でうっかり即死攻撃を入れられた際は、残り1パーセントを引き当てて生き残った、ということになるらしいです。

(運が悪いと思っていましたが……そういうところの運は良かったんですね)

 バスタオルが破格の加護を受けたのは、こちらとの製造技術の違いが生み出した必然のようなものですが、即死を避けられたのは純粋な運です。
 本当に運がいい人はそもそもこんな異世界転移なんかしないでしょうから、その分の揺り返しということなのかもしれません。
 と、いう益体の無い思考は一端切り替えましょう。
 私はリューさんの側に行き、改めて口を開きました。

「触れ合いの時間の前に……リューさんにお聞きしておきたいことがあります」

『どうしてリューがセイラを気にかけているのかってこと?』

 後回しにしてきていましたが、ちゃんと覚えていたようです。
 少し緊張しつつも、頷きました。

「はい。色々あって遅くなってしまいましたが……その理由をお聞かせ願えますか?」

 果たしてどんな理由があって私を助けてくれているのか。
 私は緊張で喉が渇くのを感じつつ、リューさんの返答を待ちます。
 リューさんは何でもないことのように、すぐに教えてくれました。

 私にとっては、非常にとんでもないことを。さらりと。

『リューはね――セイラにツガイになって欲しいんだ!』


バスタオル一枚で異世界転移 第二部につづく
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