FC2ブログ

黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第二章 1


 ルィテ王国は王城のある首都を、三つの中核都市が囲む形をしている。
 東にはザズグドス帝国の侵攻を防ぐ目的で作られた要塞都市ラドスがあり、西南には海のごとく巨大な湖を往くための港街レーテがある。
 そして北北西には位置的に最も戦火が遠く、文化的にもっとも豊かに成長した、歌と踊りと芸術の街ロアルがあった。
 王族や貴族の本邸や別荘が立ち並ぶ、ルィテ王国の中でも豊かな町並み。
 その一角の豪邸に、王弟にして軍事関係の最高責任者、オルフィルド・ルィテはやって来ていた。
 勝手知ったる家だと言わんばかりに、案内も伴わずに廊下を歩き、とある一室の前で立ち止まった。

「どうぞお入りくださいませ」

 ノックもしないうちに中から促され、オルフィルドは苦笑しながら扉を開く。
 そこは品良く整えられた部屋だった。決して華美ではなく、しかし質素でもなく。部屋の主の趣味の良さを伺わせる。
 その部屋の主は、オルフィルドが現れたというのに立ち上がって出迎えるわけでもなく、優雅に椅子に座ったままティーカップを口元に運んでいた。
 身分的にはオルフィルドは王族であり、ルィテ王国のほぼすべての民が下位に属するはずだというのに、部屋の主は実に不遜な態度だった。
 オルフィルドが身分と作法に厳格な性格だったなら、罰が与えられていてもおかしくない態度だ。

「お久しぶりですわね、オルフィルド叔父様。ようやくわたくしの出番ですの?」

 だがそんな心配は無用だとばかりに、彼女は平然と話を始める。
 オルフィルドがそんな些細なことを気にする性格では無いと熟知しているからだ。
 そして実際、オルフィルドはそんな彼女の態度には言及せず、遠慮せずに部屋に入ると、彼女の対面の椅子に座った。

「ああ。お前の力が必要だ――テーナルク。聖女お披露目の式典と会合の話は知っているな?」

 テーナルクと呼ばれた彼女は、当然だとばかりに軽く頷いて見せた。
 長く丁寧に櫛を通されたらしい波打つ金髪が、その動作に合わせてふわりと揺れる。
 その青色の瞳には落ち着いた光が湛えられ、理知的な輝きを示していた。
 外見からすると十代半ばほどの者が浮かべるには、あまりにも落ち着いたものに感じられる。

「当然ですわ。お父様から連絡がありましたし……なにより、わたくしは常に聖女様の情報を集めておりましたから」

 ちらり、とテーナルクは部屋の壁を見やる。
 オルフィルドが視線に釣られて壁を見ると、そこには『聖女キヨズミセイラ』の肖像画がかけられていた。最初に描かれた本物により近いのか、筆遣いの質感まで伝わってきそうなほどの品だ。
 裸婦画ではあるのだが、元々の作品がもとより芸術性が高いのと、納められた額縁が部屋に合わせて作られた物であることもあって、見事この部屋に飾られていて違和感の無いものになっていた。
 本人が見たら恥ずかしさで悶絶することだろうが、幸いこの場に本人はいなかった。

「むしろ、わたくしは前々から聖女様と交流を行わせてくださいと、再三進言したではありませんか」

 テーナルクは若干非難の意思を込めて、オルフィルドに視線を戻した。
 オルフィルドはそんな彼女の視線に、苦笑を浮かべる。

「悪かった。だが、こちらとしてもキヨズミ嬢の性質を見極めるまでは、重要な者を会わせるわけにいかなかったんだ」

「その見極めのためにも、お父様や伯父様ではなく、同年代の同性であるわたくしが接した方がよいとも言ったでしょう?」

「……返す言葉もないな。だが兄……いや陛下の心境も加味してあげてほし――」

「それも踏まえて申し上げておりますわ。王族があまっちょろいこと言ってんじゃないって話ですの」

「お、おう……」

 若干乱暴な言葉遣いで論破され、オルフィルドは言葉も出なくなる。
 確かに聖羅の相手をするのに、テーナルクほどの適任はいない。
 現国王の実子であり、魑魅魍魎が跋扈する貴族の社交界を渡り歩いて来た実績。
 聖羅と見た目の歳が近く、何より同性だ。
 相手の警戒を解き、心を開かせ、その本質を見極めるには、確かにテーナルクという存在が最も適任であると言えた。
 それなのに今の今まで彼女が聖羅に接触していなかったのは、イージェルドやオルフィルドが取った慎重策のためである。

「それで、叔父様。わたくしに話を持って来たということは……聖女様は危険では無いと判断できたのですか?」

 国の戦力をすべて注いでも勝てない死告龍。
 それを制御する聖羅という存在は、国をあっさり滅ぼしうる存在だった。
 そのため、イージェルドとオルフィルドは極力国の有力者を首都から遠ざけ、万が一の時に最小の被害で済ませるようにしていたのだ。
 聖羅が国に危害を加えない無害な存在だと判断出来たら、すぐにテーナルクに交流してもらうつもりはあったのだ。
 しかしこの世界の者からすると、聖羅の言動は非常に怪しかったのが問題だった。

「まだ見定めきれていないところはある。だが、少なくとも邪悪な存在ではないと判断した。怪しいところは多々あるんだが……」

 体内に魔力を持ち、それが性質に影響する彼らは、基本的に嘘が吐けない存在である。
 ゆえに極力誠実であろうとするし、嘘を吐くというのは文字通り身を切るような覚悟を持ってすべきことだ。
 一方、魔力の無い世界から来た聖羅はそうではない。むしろ人の世の常として嘘、虚構、見栄、裏切りなどは常識だ。
 聖羅自身は、そんな世界でいえば稀なほど誠実で嘘の吐けない人間だったが、この世界ではそれが普通のことであったため、聖羅の向こうの世界を基準とした言動は、有り体にいって胡散臭く感じられてしまうのだ。
 聖羅は聖羅で、周りが誠実に接してくれているのは死告龍という強力な後ろ盾があるからだろう、と考えているために、いまだお互い認識の齟齬に気づいていないのである。

「式典の流れや作法を教える、という名目で接すれば良いのですわね?」

「そうだ。とはいえ、聖女は極力目立つことを嫌っているし、本人の希望もあるから挨拶は最小限に留める。歌や踊りもなしだ。教えることはそう多くないだろう」

「つまり、本命の役割はそれを通じて聖女様と仲良くなること……加えて、式典中彼女の側にいてフォローするということですわね」

「ああ。異世界から来たキヨズミ嬢はこの世界の関係性に疎い。他の国の連中を全く近づかせないわけにはいかないから、その辺はお前が補ってやってくれ」

「承知しましたわ。わたくしにお任せくださいませ。さっそく首都に移動する準備を始めましょう……ところで」

 テーナルクはそこで一度話を区切った。

「なんだ?」

「周辺各国にも招待状は送ったんですの?」

「ああ。北のログアンにも、南のフィルカードにも……東のザズグドスにも、だ」

「ログアンとフィルカードはともかく、東の蛮国にも送ったんですのね……」

 嫌そうな顔をしてテーナルクは呟いた。
 それを聞いたオルフィルドは苦笑を浮かべる。

「お前は本当にザズグドズが嫌いだな」

「敵対国を好きになれるわけがありませんわ。あの国のせいで何度この国に血が流れたか」

「気持ちはわからんでもないが、それを言うならログアンやフィルカードとも戦ったことはあるぞ?」

「あの二国との戦いはこっちが仕掛けた戦争でしたし、その賠償は終わって友好的な交流もありますから。ザズグドズはいつまで経っても侵略政策しか取らない野蛮な国家ですもの」

 つん、と素っ気なく言い捨てるテーナルク。

「まあ、それもそうなんだがな……」

「式典に参加しにくるのも、きっと獰猛な動物か危険な魔獣みたいな女ですわ。出来れば会いたくありませんわね」

「まあそういうな。いくらザズグドズでも死告龍を敵に回すような真似はするまい。お前はひとまずキヨズミ嬢との交流に集中してくれればいい」

 オルフィルドはテーナルクの手腕を信頼していた。
 かつてこの国で有力貴族達が離反しかけて国の存続が危うくなったとき、数多の貴族を説き伏せ、時に懐柔し、再び王権に力を取り戻させたのがテーナルクという女性の力だ。
 極力誠実であることを強いられるこの世界で、本当の本音を隠し、自分の良いように相手の心情を誘導し、数多の意思ある人間の間で立ち回ることは、下手をすれば魔法飛び交う戦場で活躍するよりも難しい。

 彼女なら、一歩間違えば国が滅びかねない、死告龍を従えた聖女との交流も出来ると、オルフィルドは確信しているのだった。




 ルィテ王国から見て北の国・ログアン。
 首都とされる最重要拠点そのものが巨大な陸亀の上にあり、その移動によって常に首都の位置が変わる国家。
 破城亀・グランドジーグの頭部の上にある王宮の一室で、一人の女性神官が祈りを捧げていた。
 静謐な雰囲気を纏ったその女性は、薄いベールを幾重にも重ねた法衣を身に纏っていた。
 明るいところでは下手をすれば光に透けて、身体が見えてしまいそうな造りの衣服だ。そんな格好で、彼女は一心に祈りを捧げていた。

「……ルィテ王から式典開催の連絡が来た。ログアンからはわたしが参加する」

 淡々とした、感情の窺えない声だった。
 短い赤い髪が彼女のわずかな動きに合わせて揺れる。
 未成熟な体つきといい、この世界の基準に照らし合わせても子供に寄った姿であったが、その落ち着きようは揺るぎなき巨岩を思わせた。

『お主が、行くのか……?』

 そんな彼女に、遠雷のような低い声がかけられる。
 跪く彼女の真下に光り輝く魔方陣が展開され、彼女の身体を照らした。
 結果として、ベールが透けてその下の身体が見えるようになった。彼女は法衣の他に衣服を身に着けておらず、その体が見えるようになってしまう。
 だが、いまこの場には彼女以外の人間がいなかったため、それを見れる者はいなかった。
 女性神官は目を閉じたまま、ゆっくりと口を開く。

「……わたし以外に適任がいない」

『それも、そうか……』

「……グランドジーグ様、国をお願い」

『任されよう……行くが良い、アーミア……』

 必要最低限の、短いやりとりだった。
 アーミアと呼ばれた少女は、その瞼を開く。
 赤銅色をした瞳には、強い意志の光が宿っていた。
 ログアンの守護獣にして、ログアンという国そのものである破城亀グランドジーグとの対話を終えたアーミアは、その部屋から出る。
 その彼女に、駆け寄る者がいた。若い男で、神官服を身につけている。
 満面の笑みで、手を振りながらアーミアに近づく。

「アーミア様! こちらにいらし――へぶあっ!?」

 そして、素早く振るわれたアーミアの蹴りを顔面に叩き込まれた。
 彼が激痛に顔を押さえてのたうち回っている間に、アーミアは素早く薄いベールで出来た法衣を脱ぎ去り、同時に呼び寄せた極普通の神官服を身に纏う。
 一息吐いた後、アーミアはいまだ地面に転がる青年の背中を踏みつけた。その頬が少し赤くなっており、先ほどの格好を見られたことを恥ずかしがっているようだ。

「……ヘルゼン。忠告を聞く気がないの?」

 魔力のあるこの世界において、見た目の非力さなど何も関係が無い。
 アーミアが足に力を込めると、ヘルゼンと呼ばれた青年の背骨が軋んで嫌な音を立てた。

「あいたたたた!! ごめんなさいごめんさい! ここにいるかいないかわからなかったし、もしいるなら愛しいアーミア様のあのお姿が見られるかなってちょっと期待――あだだだだ!!」

「……次やったら背骨を折る」

 最後にヘルゼンの脇腹を蹴って、アーミアは彼から離れた。
 悶絶することもなく、すぐに復活したヘルゼンは、アーミアについて歩きながら話し始める。
 背骨を折られかけても飄々としているあたり、優男に見えてヘルゼンは相当タフだった。

「いやー、一応大事な用事はあったんですよ? だから探してたんだし」

「なに?」

「フィルカードのお姫様からの伝言です。『あーみんと式典と会合で会えることを楽しみにしてるにゃー、にゃはははは!』と。それだけ言って切られました」

 正確に言葉の抑揚まで真似をしてヘルゼンは伝言をアーミアに伝える。
 アーミアはその報告を聞き、なんとも微妙な顔をした。

「あ、嫌そうなお顔で。やっぱりあのお方はお嫌いですか?」

「……嫌い、というか」

「ぶっちゃけ苦手なんですよね。わかりますよ。あのにゃはにゃはお姫様、何も考えてないようでガチで利権取りに来ますもんね。アーミア様は弁の立つ方ではありませんし、あのペースに呑まれそうになりますしね」

「…………」

「個人的な感想を言うなら、あのお姫様はアーミア様を本気で気に入っているようですし、そこまでこちらが不利になるようなことはしないでしょう。同じくアーミア様に惹かれている僕が保証しますよ」

「……だといいんだけど」

「現に、この間などは神聖法衣を着たアーミア様の肖像画がぜひに欲しいとおっしゃって――あっぶなっ!」

 振り返りざまにヘルゼンの顔面に向けて容赦なく放たれたアーミアの拳を、ヘルゼンは紙一重でかわす。
 アーミアの赤銅色の瞳が、怒りで真っ赤に燃えていた。

「……ヘルゼン? なんで神聖法衣のことを……いえ、それを身に着けた時の姿のことを彼女が知ってるの?」

「あ。いや、その、色々とやりとりをしている間に、ついぽろっと……」

「死ね」

「あー! お待ちくださいアーミア様! 魔法はなしで! アーッ!」

 アーミアの放った魔法が、ヘルゼンを軽々と吹き飛ばす。
 自分の頭の上でアーミアとヘルゼンが、いつも通りじゃれ合っていることを感じたグランドジーグは、呆れつつその進路を南に向けるのだった。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第二章 2

 聖女・清澄聖羅は暇である。

 死告龍・リューとの友好的な関係を維持すること以外、これといってやれることがないためだ。
 王城では聖羅に出来るレベルの雑用や用事は、すべて使用人が済ませてしまう。聖羅の身の周りの世話も、クラースがやってくれるので問題は無い。
 ゆえに本人は自由に好きなことが出来るのだが、異世界人である聖羅に出来ることはほとんどなかった。
 本を読む、というのが情報収集の鉄板だが、異世界人である聖羅にとって、この世界の文字は難解すぎた。翻訳魔法は文字までは対応してくれないのだ。

(五十音表みたいなものすらないと言われてしまっては……もう、お手上げです)

 聖羅は彼女なりにこの世界の言語について解析を進めていたが、わかったことといえば、この世界の言語というものは根本的に聖羅の知るものとは違う、ということだった。
 曲がりなりにも言葉として存在するのだから、聖羅が学習できないはずもないのだが、この世界の言語学習には魔法が用いられているのが問題だった。
 ゆえに、もはや母音や子音というような根本から仕組みが違って出来ていて、聖羅の言語の理解の仕方では習得できない言語になっていた。

(向こうはこっちの言語を覚えられるというのが、地頭の差を示されているようでなんというか哀しいですが……それは言っても仕方ありませんね)

 聖羅は魔法を使えない。
 かけてもらうことは出来るが、肉体を治したり強化したりする効果ではなく、精神に直接作用する魔法は危険を感じてかけてもらうことができなかった。
 この世界では治癒魔法があって、生きたままの解剖や致死ギリギリの人体実験が容易なため、人体の構造の理解は進んでいる。
 肉体の構造に、少なくとも聖羅の見る範囲で違いはない。
 しかし、各臓器が何の役割を果たしているかなど、機能面の差異となると聖羅にはまったくお手上げだった。そこに作用する魔法をかけてもらって無事に済む保証がない。
 そもそも、元いた世界の人体の構造自体、そこまで詳細に覚えているわけではないというのも問題だった。

(スマホかパソコンがあれば調べられるのですけど……)

 文明の利器を恋しく思ったのも、何度目だろうか。
 とはいえ、そう思ったところでそれが都合良く手に入るわけもなく、聖羅は「人に尋ねる」という原始的な方法で情報収集を行う他なかった。
 目下の課題は、式典や会合で何をすればいいかの情報を得ることである。
 ルィテ王国への義理立てとして、式典や会合への参加を許容した聖羅は、マナーやルールを知らなければならない。
 しかし一般的なことならさておき、国家規模の式典や会合でのこととなると、使用人にすぎないクラースでは教えられないことの方が多かった。

(オルフィルドさんはそのあたりの心配は無用とおっしゃってましたが……いくら主催者側が構わないと言っても、何も知らないままというのは不安ですし……)

 マナーや作法にうるさい日本で育った聖羅は、横紙破りは極力避けたいと考えていた。
 そして当然、オルフィルドが心配無用と言ったのは、その対策を取っていたためである。
 ある日のお茶会で、聖羅はオルフィルドからひとりの女性の紹介を受けた。

「キヨズミ嬢。この者は――」

「初めまして、聖女様。私はルィテ王国第一王女、テーナルク・ルィテですわ。以後、お見知りおきを」

 ドレスの裾を摘まんで広げながら、優雅に聖羅に向けて頭を下げるテーナルク。
 突然のお姫様の登場に、聖羅は一瞬「そういうドレスを着た時の挨拶の作法は元の世界と変わりないんですね……」などと思考が散漫になったが、慌てて彼女も頭を下げた。

「は、はじめまして。清澄聖羅、です。お世話になっております……」

 聖羅はテーナルクと同じように裾を摘まんで挨拶するべきか迷ったが、恐らく普通に下着を身につけているであろうテーナルクと違い、聖羅の下半身はバスタオル一枚しか纏っていない。
 そのバスタオルは膝下までを覆ってくれてはいるが、もしテーナルクと同じように裾を摘まんで広げれば、聖羅は改めてバスタオル以外何も身に付けていないことを思い出してしまうだろう。
 ゆえに、両手は前で揃えて頭を下げるだけに済ませた。文化の違いと思ってくれるようにと願いながら。
 幸いにして、テーナルクは聖羅のお辞儀に対して何も言わなかった。

「彼女は社交界を知り尽くしている。キヨズミ嬢は極力何もしなくて済むようにするが、式典や会合に関して不安なことがあれば彼女を頼ってくれ」

「それは……とても助かります」

「では、紹介も済んだし、私は今日はこれで失礼する。会場の警備体制や各国の使節団の受け入れなど、やらなければならないことが多いからな」

 言い訳をするように言って、オルフィルドは部屋から去っていった。
 聖羅にも、それが便宜上の理由で、聖羅とテーナルクを二人きりにするのが目的なのだと気づくことができた。実際に忙しいのも決して嘘ではないのだろうが。

(……お姫様、という存在に会うのは初めてですね……むしろいままで会っていなかったのが不思議なくらいです)

 聖羅は自分と同年代であろうテーナルクを、『お姫様らしいお姫様』だと感じていた。
 豪奢なドレスに、洗練された所作。
 堂々たる態度はまさに王者の貫禄を思わせる。
 イージェルドと似た雰囲気を持っているが、それが血縁によるものなのか、それとも王族が共通して得るものなのかは聖羅にはわからない。

(そういえば、イージェルドさんが王様で、テーナルクさんが第一王女ということは……彼女はイージェルドさんの娘さんってことですよね……?)

 聖羅はイージェルドが子持ちで、それも自分と同年代の子供がいるくらいの年齢だったということに驚きを隠せない。
 自分よりは年上でも、イージェルドは二十代後半だと思っていたからだ。
 聖羅は彼らの正確な年齢を聞いていなかった。

(まだまだ知らないことは多い……ということですね……っと、いけない)

 思考に没頭しそうになった聖羅は、ひとまずテーナルクに座るように提案する。

「ええと。とりあえず座りましょうか……手をお貸しした方が良いですか?」

 座るだけにも関わらず、聖羅が彼女にそう尋ねたのには理由がある。
 テーナルクは、目隠しをしていたのだ。
 分厚い布のようなもので目を覆っており、とても周囲が見えているようには見えない。
 目に怪我をしたのか、それとも生まれつき目が見えないのか。
 理由を尋ねるのは無神経かもしれないと考えたが、全く手を貸さないのも不親切だろうと、苦慮した結果の質問だった。
 テーナルクはそんな聖羅の気遣いに対し、口角を柔らかく持ち上げる。

「ありがとうございます。大丈夫ですわ。魔力による感知で物の輪郭は掴めますので」

 その言葉が嘘でないことを示すように、テーナルクは部屋に置かれた椅子に、迷いなく腰かけた。
 聖羅もその対面に座り、改めてテーナルクと向き合う。

「改めまして。テーナルク・ルィテと申します。聖女様のお好きにお呼びくださいませ」

「あ、はい。どうぞよろしくお願いします。清澄聖羅です……テーナルクさん、とお呼びしてもよろしいですか?」

 聖羅は名前呼びを選んだ。
 普通ならば相応に親しくなってからでなければ名前呼びなどはしないのだが、ルィテと呼ぶとこの国の名前と被る上に、聖羅がよく顔を会わせるイージェルドやオルフィルドとも被ってしまう。
 そのため「テーナルクさん」呼びでいいかと確認したが、呼称としては『王女様』でも良かったか、と言ってから気づく。
 馴れ馴れしい奴と思われたのではないかと、聖羅は内心冷や汗を搔いたが、テーナルクに特に気にした様子はなかった。

「もちろんですわ、聖女様」

「すみません……その、聖女様というのはやめていただいてもいいですか……?」

 聖羅としては自身が聖女であるつもりは欠片もないため、そう呼ばれることに違和感しかなかったのだ。
 テーナルクは即座にその聖羅の求めに応じる。

「わかりましたわ。では――セイラ様とお呼びしても構いませんか?」

 そういうテーナルクの提案に、聖羅は少し迷った。
 友人ではない相手に名前で呼ばれるのも、聖羅にとって違和感のあることではあったが、そこまで嫌悪感があるわけではない。
 同年代の女性ということも良い方向に作用していた。
 加えて、少しの打算も働く。

(テーナルクさんは同じくらいのご年齢みたいですし……今後、色々と相談に乗って欲しいこともあります。出来れば仲良くなりたいですから……名前で呼び合った方がいいですね)

「はい、構いません。……様付けもしなくていいです。仲良くしていただけると嬉しいですから。テーナルクさん」

「それはこちらの台詞ですわ、セイラさん。仲良くしてくださいまし」

 互いに探り探りではあったが、こうして聖羅とテーナルクの邂逅は果たされた。
 クラークにお茶の用意をしてもらった後、クラークを含めた使用人が全員部屋から退出する。
 テーナルクは目隠しをしたまま、正確にカップの位置を把握してそれを手にしていた。

「……テーナルクさん。まず、お聞きしてもいいですか?」

「目が見えないわけではありませんわ。この方がセイラさんがご自身の格好を気にしなくて済むかと思いまして。同性とはいえ、初対面の人間に見られたくない姿というのもございましょう?」

 聞こうとした質問の答えを先に言われてしまい、聖羅は息を呑んだ。
 口に運んでいたカップを置きながらテーナルクjは続ける。

「オルフィルド叔父様も決して無神経な方ではないのですけども、セイラさんのことに関しては警戒が先に立ってしまっておられるようですわ……叔父様に変わって謝罪いたします」

「い、いえ。よくしていただいていますから……」

「わたくしが来たからには、もうセイラさんにお恥ずかしい思いはさせませんわ。なんでも相談してくださいまし」

 自信満々に言い切るテーナルクに、聖羅は確かな自負を感じた。
 少々自信家の気配はあるが、それに似合うだけの実力と実績を有しているのだろう。

「魔力による感知というのは、大まかに人や物の形がわかるだけのものですわ。元から目が見えないなどで、魔力の感覚を極めた者であれば、触れたものが柔らかいか堅いかくらいまではわかるそうですが」

「便利ですね……魔力って」

「セイラさんは魔力のない異世界からいらっしゃったそうですわね」

「そう、ですね。魔法がない分、機械……カラクリや科学、医術は発達していましたけど、こうして魔法のある世界に来ると、高度なんだか原始的なんだかわからなくなります」

 しばしふたりはとりとめもない話を繰り広げた。
 しばらく話し、ほどよくお茶が減ったところで、テーナルクが本題に関係あることを切り出す。

「セイラさんが元いた世界では、今回の式典のような行事はあったのでしょうか?」

「まったくなかったですね……いえ、正確に言えば私には縁がなかったというべきでしょうか。天皇……ええと、こっちでいう王様の誕生日などに国の偉い人が集まってお祝いの式典みたいなのはやってたみたいですが、私の立場では出席なんて出来ませんでしたし、大抵の人は縁がなかったと思います」

「小規模でも、舞踏会や晩餐会に出席した経験もありませんの?」

「ない、ですねぇ……」

 晩餐会と聞いて、聖羅の脳裏に一瞬部活などでの打ち上げの記憶がよみがえったが、現状に則したものではないと判断して打ち消した。
 この場合の晩餐会で当てはまるのは、企業などの創立記念や新店舗オープンの際に行われるレセプションパーティーの方が近いだろう。
 だが一般的な大学生である聖羅に、そういったものに参加した経験はない。
 その後も、二人はとりとめも無い話を交えながら、式典と会合に備えて準備を整えていった。




 その日の夜、イージェルドの居室に、オルフィルドとテーナルクが集まっていた。
 イージェルドは愛娘たるテーナルクを労う。

「よく来てくれたね。それで、テーナルクから見てキヨズミはどうだった?」

 その質問に対し、テーナルクは「まだ初日ですから確実なことは言えませんが」と前置きをしてから言う。

「良くも悪くも平凡、ですわね。確かに邪悪な感じはしませんでしたが、どこか不自然に一線を引いたような物言いが引っかかりますわ」

「やはりお前でもそう思うのかい?」

「少なくとも、聖女というほどの神聖さも潔白さも感じませんわね。言葉は悪いですが、極普通の平民の方を相手しているような感覚です」

「ふむ……そうか。しかし、それなら懐柔策は一応実っているとみるべきかな?」

「それは問題ないでしょうね。食事や住居を提供されていることを、セイラさんはとても感謝している様子ですわ。……まあ、死告龍が一声命じれば出さざるを得ないのですから、本当は恩に感じる必要はないのですけども」

「そのまま勘違いしてくれていればいいのだけどね……オルフィルド。死告龍の様子はどうだい?」

「今のところ動きはない。式典や会合の参加については、テーナルクがキヨズミ嬢と話をしている間に、俺からも確認のために直接話をしてみたんだが――」

 そのオルフィルドの言葉を聞いて、真っ先に反応したのはテーナルクだった。

「オルフィルド叔父様。今後、そんな危険なことはしないでくださいませ。せめてセイラさんが一緒にいるときにしてください」

「いや、しかし――」

「しないでくださいませ」

「……わ、悪かった」

 有無を言わせないテーナルクに、武力派オルフィルドが押し負けて頷かされていた。
 その光景を傍で見ていたイージェルドは、なんとも複雑な表情を浮かべている。
 気を取り直すように咳払いをしたオルフィルドは、報告を続けた。

「死告龍は式典や会合自体、興味がないようだ。キヨズミ嬢が参加するならするし、しないならしないと。特に問題はないだろう」

「キヨズミには、しっかり手綱を握ってもらう必要がありそうだね……会合中に暴れ出されたら大惨事だ。……ああ、胃が痛くなりそうだよ」

「ここのところずっと胃が痛くなるような状況が続いているからな……」

「でしたら、お父様、叔父様。わたくしが特製スープをお作りいたしますわ。疲労回復になかなか評判が良いのですよ? 胃にも優しいですし」

「……テーナルク、お前、そういうことは料理人に任せなさいと言ったじゃないか」

「王族が料理をしてはいけないなんていう法はないはずですわ」

「いや、確かにないけどね……」

「まあまあ。いいじゃないか、兄さん。聞いた話じゃ、キヨズミ嬢も元の世界では自分で料理することもあったようだし、話の種になるだろ」

「オルフィルド叔父様ならそういってくださると思って、準備させておきました! この部屋に持ち込んでも構いませんわね? お父様」

「……ああ、いいよ」

「いや、しかしさすがはテーナルクだな。段取りが早い。こんなことなら、確かに最初からテーナルクにキヨズミ嬢の相手を任せれば良かったな。再三の打診を却下して悪かった」

「ふふふ。お褒めに預かり光栄ですわ。…………同じ年頃の女と聞いて気が気ではありませんでしたが、セイラさんはライバルにはなりそうもないですし、本当に仲良くできそうですわ」

 ぽそりと呟かれた言葉をオルフィルドは聞き逃したが、イージェルドにはハッキリと聞こえてしまった。
 自分の娘ながら欲しいもののためには手段を選ばない姿勢に、なんとも薄ら寒いものを感じるイージェルドであった。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第二章 3

 聖羅がテーナルクと出会った翌日。
 今日も聖羅に与えられた部屋にきたテーナルクは、大妖精・ヨウの前に立っていた。
 当初、聖羅を気遣ってテーナルクがしていた目隠しはすでに外されている。
 テーナルクの人となりを信じ、目を見て話すために聖羅が許可していた。気遣いをしてくれたという点で、聖羅の中でテーナルクの印象は非情に良くなっている。それが円滑な交流に繋がっているのだから、彼女の目論見通りの展開であった。
 そんなテーナルクだが、大妖精のヨウに至近距離から観察され、冷や汗を搔いていた。

「ヨウさん、こちらがこの国の王女様で、テーナルクさんです。今後、彼女もリューさんに挨拶をしいくことがあると思いますので、中庭の他の妖精さんたちに周知をお願いできますか?」

『いいわよ。みんなに伝えておくわね』

 聖羅の要求を快く受けたヨウは、空中にふわりと浮かび、そしてその身体を光る粒子に変えて去って行った。
 聖羅にしてみればヨウはもっとも信頼のおける相手であり、慣れ親しんだ相手だが、テーナルクにとってはそうではない。
 大妖精というのは魔法の扱いに長けた種族で、攻撃的な魔族ではないとわかってはいても、緊張する相手であった。
 ヨウが去っていったあと、テーナルクは深く息を吐く。

「……いまの御方がセイラさんの守護妖精というわけですのね」

「守護妖精、ですか?」

「稀な話ですが、妖精は気に入った人間や魔族と行動を共にすることがありますの。お父様から聞いた覚えはありませんの?」

「イージェルドさんからは、妖精はどこにでもいるものだとは教えられましたけど、守護妖精のお話は伺っていませんね」

「そうですわね……その説明でも間違ってはおりませんわ。守護妖精自体、稀な存在ですし……そもそも、大妖精の守護妖精なんて。わたくしは聞いたことがありませんわ」

「基本的に人間と魔族は敵対関係、なんですよね」

「ですわ。とはいえ、人間と魔族が手を組むということ自体は珍しいことではありませんが……最も有名なところだと、北の国であるログアンですわね。国そのものが守護亀グランドジーグ様との共生関係にありますわ」

「ログアンについては、なんとなくは聞いてますけど……具体的には、どういう関係なんですか?」

「守護亀グランドジーグ様は山のように巨大な亀ですの。なので、身体に寄生してくる魔族に弱いのですわ。ログアンの民はその寄生型の魔族を駆逐する代わりに、背に住まわせてもらっているとか。人間となら契約でほどよい関係を築けるので、グランドジーグ様としてもありがたいですし、グランドジーグ様と戦おうという大型魔族はいませんので、人間にとってもありがたいわけですわね」

「大型魔族……それこそ、ドラゴンとかですか?」

「ですわ。もっとも、死告龍様は能力的にグランドジーグ様の天敵ですので、ログアンがもっとも恐れる相手ですわね。式典と会合にも参加するという連絡が真っ先にありましたわ。死告龍様がグランドジーグ様を攻撃しないよう、何らかの交渉をしてくることでしょう」

 わかっていたことではあるが、様々な思惑が渦巻く戦場になるであろうことを感じ、聖羅は深くため息を吐いた。
 それを近くで聞いていたテーナルクが、聖羅に声をかける。

「不安ですの?」

「それは……まあ、そうですね。国単位の謀略や策略に関わったことなんてないもので」

「あまり気負わずとも大丈夫ですわ。最低限の挨拶さえしていただければ、あとはわたくしがすべて対応いたしますし……それに、あまり乱用していただきたくはないですが、死告龍様に庇護されているセイラさんに何かを強制できる者など、少なくとも人間の中にはいませんわ」

「……そうなんですか? そんなに、リューさん……死告龍という存在は、そこまでどうしようもない存在なんですか?」

 リューのことを強いとは感じている聖羅だが、全く手がつけられないほどの存在ということが、いまいち実感出来ていないというのが本心だった。
 その聖羅のある意味呑気な発現に対し、テーナルクは深く頷く。

「ええ。どうやらセイラさんは死告龍様が『物凄く強いドラゴン』という認識のようですが……それでは不足ですわ。人間の強さというのは、基本的には集団の力なのですの。確かに『勇者』と呼ばれるような、個の極地ともいえる存在が生まれることはありますが、それでも、装備や状況を整えて初めて強力な魔族に対抗できるものなのです」

「なるほど……」

「即死のブレスという範囲攻撃能力を持つ死告龍様は、いわば人類の天敵なのですの。幸いなのは死告龍様が魔界を生み出さないことですわね。もしも死告龍様が魔界を生んで、そこから眷属が発生するようなことがあれば、人類は一環の終わりですの」

「その、即死耐性って、どうやってもあげられないものなんですか?」

「神々の加護じゃないと無理ですわね。……仮にセイラさんの持つバスタオルなる布を用いたとしても……他の装備が一切着けられないというのは、痛すぎる弱点ですわ。自動的に魔法を弾く手甲、動きの素早くなる靴、精神効果を無効化する兜など……有用な装備が身に付けられないということですから」

 聖羅は身に付けているバスタオルが『神々の加護を持つ品』であることを、イージェルドやオルフィルドに伝えていた。
 バスタオルがヨウに奪取される騒動があって、隠しきれないと悟ったからだ。
 そもそも、そのふたりはバスタオルを身に付けていない時の聖羅と会っているので、隠す意味がないと言える。
 限られた者にしかその情報は伝えられていないが、王族であるテーナルクは当然その情報を得られる立場である。

「それなんですけど……見目はともかく、このバスタオルが一枚あれば絶対防御は実現できるんですが、それでもダメですか?」

「そういう戦術に類することは、当然オルフィルド叔父様の方が正確かと思いますが……恐らくダメだと思われますわ。ヨウ様曰く、それを身に付けている間は、自分自身で自分に放った支援魔法すらも弾いてしまうのでしょう? 元々の肉体的能力に劣る人間が、魔法の助け無しに魔族とやり合うのは無理ですわ。支援魔法を完全にしてから身に付けて、その上で絶対防御を発動させると考えても……柔軟に変化出来ないのは厳しいですわね」

「……そうですか」

 聖羅は本当の最後の最終手段として、死告龍たるリューを斃すという方針を取らなければならなくなったときのことも考えていた。
 リューの性格上、可能性は低いと思ってはいたが、もしもリューが暴走して無理矢理子を成そうと迫ってくるかもしれない。
 その時には、そういう対応もしなければならないからだ。
 慕って懐いてくれているリューに対し、そういったことまで考えてしまうあたり、聖羅は自分の性の悪さを自己嫌悪していたが、考えずにはいられないのだから仕方ない。

 ヨウと和解し、リューの本質を理解し、強大な魔族である二体の庇護を得た。
 それでも――聖羅は自分がこの世でもっとも無力な存在であると自覚しているのだから。




 ルィテ王国王城の中庭にて。
 死告龍・リューは身体を丸め、のんびりと休んでいた。
 その傍では大妖精・ヨウが小さな妖精たちを集め、なにやら魔法で映像を見せている。
 映像を見せることが目的だったのか、集まっていた小さな妖精たちはすぐに散らばっていってしまった。

『なにそれ?』

 少し気になったリューが、ヨウに向かって尋ねる。
 ヨウは小さな妖精たちに見せていたものと同じ映像をリューにも見せた。
 そこにはこの国の王女であるテーナルクの姿が映し出されている。

『この国の王女らしいわよ。セイラにこの国の人の規則なんかを色々教えてるみたいね。たぶん近いうちにあなたにも挨拶しに来ると思うわよ?』

『ふぅん……』

 気のない様子でリューはあくびをして再び身体を休める姿勢に戻った。
 そんなリューに対し、ヨウはやれやれとあきれ顔を浮かべる。

『わかってはいたけど、あなたはセイラ以外に全然興味ないのね』

『それはヨウも、じゃないの?』

『わたしはあなたとは違うもの。セイラには恩があるから守るし、できる限り助けになる。けど、あなたにはセイラに固執する理由はないんじゃないの?』

『理由ならあるよ? セイラはリューを怖がらないし、暖かいからすきー』

 早く遊びに来ないかなぁ、と呟くリューは尻尾を振る。尻尾を地面を打つと、十分踏み固められた中庭の地面に亀裂が走る。
 戯れに振るわれた尻尾でさえ、並の人間が喰らえば即死しかねない一撃だった。
 ヨウはリューの尻尾の範囲からさりげなく逃れつつ、再度口を開く。

『例えばの話だけど、セイラみたいにあなたを怖がらずに触れあってくれる人間が、もし他にもいたらどうするの?』

『いたら考えるー』

 あっさりとしたリューに対し、さらに口を開き書けたヨウだが、思い直したように質問するのをやめた。
 いるかいないかもわからない者について考えるのは不毛だからだ。
 ただ、ヨウとしてはリューが聖羅に価値を見いださなくなった時のことを考えずにはいられない。

(むしろ、その方がわたしにとっては都合がいいのだけど……)

 ヨウにしてみれば、リューと森に対する攻撃をしないという約束は交わしているし、絶対防御の加護があった上で負けた自分にリューが執着するとは考えにくい。
 リューが聖羅に対する執着を失ったとしても、ヨウの聖羅への恩義は変わらずある。
 妖精には寿命がないため、聖羅が死ぬまでの間、守ることに何の問題もない。
 死告龍という規格外の化け物と一緒にいるよりは、いっそ聖羅への執着を失って去ってくれた方がヨウとしては都合が良いのだ。

(まあ、強いて誘導するほどのこともないから、流れに身を任せるしかないわね……)

 今後聖羅は様々な交流を広げていくことになるだろう。
 その結果、聖羅とリューの関係がどうなるのかは、ヨウにはあずかり知らぬことだった。




 ヨウがそんなことを考えているとは露知らず、聖羅はテーナルクとの対話を続けていた。
 聖羅はもっとも危惧していることを最初に相談することにした。

「式典や会合での話なんですが……服装、どうしましょう。人前に立たないわけにはいきませんよね……?」

 彼女の本音をいえば、正直それ以外の手順や仕来りなどはどうでもいいとさえ思っている。服装さえまともにどうにか出来るのであれば、それ以外のことはどうにでもなる。
 バスタオルを腰に巻いて胸だけを別の布で隠した、その姿を衆目に晒すことさえなければ、式典であろうと会合であろうとなんでもこなせる。
 聖羅の切実な話し口に対し、テーナルクはなんとも言いがたい表情を浮かべる。

「そう、ですわね……式典では行進を予定していますわ。どちらかといえば死告龍様が大人しく、ある程度わたくしたちの言うことを聞いてくださっていることを示すためのものですから、セイラさんは表に出る必要はないのですが……セイラさんも一緒に行動してくださった方が、聖女の御力によるものだと認識されるので、今後のことを考えれば良いかと思います」

「……ですよねぇ」

 聖羅はわかっていた、とばかりに深くため息を吐く。
 それでもなにかできないかと、足掻き始めた。

「幻術、みたいな手段は取れないんでしょうか。例えば……こう、服を着ているような幻を被せるとか……」

「やりようによっては、出来なくはないと思いますわ。セイラさん本人ではなく、周囲にかけるという形で。……ですが、それをしても魔法抵抗力の高い者たちには見破られてしまいます。それに、何かの拍子に解けてしまう可能性も高く……その、言いにくいのですけど、強力な無効化能力を持つそのバスタオルが触れると幻術は解けてしまいますから」

「……かえって、恥ずかしい思いをすることになりそうですね」

 完全に予定通り進めば問題はないだろう。だが何か不足の事態が起きた時、突然幻術が解けてしまうことを考えると、下手に隠す方が恥ずかしい思いをする可能性がある。
 それならばいっそ、最初からその姿であると示していた方がいいのかもしれない。

「気休めになるかはわかりませんが、行進の際にはセイラさんの格好を真似た儀仗兵を配置する予定ですわ。『そういう様式である』と認識されれば、セイラさん自身の格好もさほど目立たなくなるかと」

「それ、儀仗兵さんに物凄く申し訳がないんですけど……大丈夫ですか?」

「ご安心くださいまし。どうしても少々露出の多い格好にはなりますが、セイラさんの事情とは異なるので、問題ないようにアレンジは加えられますの」

「それなら、まあ……でも、その方々が恥ずかしい思いをしないようにくれぐれもお願いします」

 本当は恥ずかしい思いをするのは自分一人だけで十分だという考えで、聖羅はそうテーナルクに求めた。
 テーナルクはその聖羅の求めに応じ、力強く請け負いつつも、どこか見定めるような視線を聖羅に向けていた。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第二章 おわり

 清澄聖羅は寝る際、バスタオル一枚の格好になっていた。

 バスタオルに宿った「神々の加護」はバスタオル一枚のみを身体に巻き付けた状態の時にもっとも効果を発揮し、それ以外の身に付け方だと加護が緩んでしまう。
 起きている時ならば、胸に巻いている布を外すなどして、ほんの数秒で加護を最大に発揮させることが出来る状態に持って行くことが出来るのだが、寝ている間はそういうわけにもいかない。
 もっとも無防備な時にはもっとも加護を発揮している状態にするのは、当然の備えだった。その格好で寝ていると寝相でバスタオルがはだけてしまい、朝恥ずかしい思いをすることになるのだが、身の安全には替えられない。
 ただ、聖羅にはその状態では出来ないことがあった。

(月夜の国の王様……アハサさんとまた話しておきたい気はするのですが……)

 聖羅が夢を見ている間に、二度ほど干渉してきた『月夜の国』の王・アハサ。
 その助言はいまのところ的確であり、ルィテ王国の者達が、その立場から教えてくれなかった情報を提供してくれたこともあった。
 聖羅はそのアハサと夢の中で対話したことを、いまのところルィテ王国の者にも、ヨウやリューといった存在にも伝えていない。
 本当は『月夜の国』という国がどこにあるのか、どういう性質を持つ国なのか、その王はどういう人物なのか調べたかったのだが、聖羅としてはアハサは別方面からの情報源として出来ればルィテ王国の者たちには秘匿しておきたかったのだ。

(本が読めれば……こっそり調べることも出来たんですけどね……)

 アハサ曰く、『自分のことは人間なら誰でも知っている』とのことだったので、使用人レベルでも聞けば知っていることを教えてくれるだろう。
 しかしその使用人はルィテ王国から与えられている世話役であって、聖羅を最優先してくれるわけではない。『月夜の国』について調べているということがイージェルドやオルフィルドにも伝わってしまう。
 それは避けたいが、かといってアハサという存在が善良な存在なのかどうかもわからないまま、与えられる情報を信じすぎるのも問題だ。

(ああ、もう……あっちもこっちも警戒しなきゃいけないことだらけです……)

 もしも、聖羅がもう少し子供であったなら。
 何も考えずにルィテ王国の者達を信用して全てを任せ、身を委ねていたかもしれない。
 あるいは、バスタオルの加護がなくても生きていける世界であったなら。
 バスタオルを提供し、生命だけでも保証してもらうことを決められたかもしれない。
 だが聖羅は大人の女性で、善良ではあっても邪悪を知らないわけではない。
 なまじ人を信じることの危うさを知ってしまっている分、身動きが取れなくなってしまっているのだった。

(とはいえ、です。このまま状況が動くことに対応してばかりでは、いつか無理が来てしまうでしょう……私から状況を動かさなければなりません)

 そう聖羅は考えていた。
 いまのところはギリギリなんとか対応出来ていたが、それには限度がある。与えられるばかりではなく、自分の居場所は自分で確保しなければ安心できない。
 これまでの経緯を踏まえて、ヨウとは完全に信用しても問題ない関係になれたと考えられる。リューは目的が目的なため、信用は出来ても頼りすぎるわけにいかない。 

(リューさんには手も足も出なかったとはいえ、大妖精であるヨウさんも決して弱いわけではないですから……心苦しいですが、それを利用させてもらうしかないですね……)

 周辺諸国に声をかけて行われる式典や会合には、準備に時間がかかるため、開催はまだ先の話だ。
 その間に出来る限りの状況を整えようと、聖羅は決心して眠りについた。
 そして翌朝、目を覚ました聖羅は、自分がバスタオル一枚の格好でベッドの上に寝転がっていることを自覚し、いまだ異世界にいることを知る。
 大きく伸びをして身体を解し、寝乱れたバスタオルの裾を整えながらベッドから降りた。
 寝癖などが着いていないか、軽く確認した後、身支度を調える。
 寝汗や目やになど、元の世界であれば気になっていたことは、ここでは気にする必要がなかった。

(恥ずかしいということさえ除けば、最高の加護なんですけどね……)

 バスタオルに宿った加護は外敵からの刺激を弾く以外にも、身体的に可能な限り清潔・健康を維持してくれるという効果があった。暑さ寒さを無効化するのもそうだが、聖羅の身体は考え得る限り清潔かつ健康な状態を保ち続けている。
 それは元の世界でさえあり得なかったことで、聖羅の身体は元の世界にいた頃よりもずいぶん綺麗になっていた。精神的に相当なストレスがあるはずだが、いまのところ肌荒れや体調不良が表出したことはない。
 聖羅はまだ二十歳になったばかりであり、そこまで肌の衰えを感じたことはなかったが、そんな彼女でさえ、最近の肌の張りはまるで高校時代に戻ったようだと感じていた。

(いえ、下手したらその頃より肌の艶やハリはいいかもしれませんね……)

 この世界に来て、唯一確実に良かったと言える点である。
 状態がいいおかげで、この世界の美形に囲まれてもそこまでの劣等感を抱かずに済んでいるということはある。
 それでも、生真面目な性格の聖羅としては、顔を水で洗う習慣はやめられなかった。これは実際に清潔かどうかというよりは、気分的な問題だ。
 本当は入れるなら風呂にも入りたいところだが、それはこの世界の事情で不可能だった。

(この世界に入浴の文化がないのは残念ですね……)

 魔法で清潔な状態を維持できるため、入浴の文化は根付いていないのである。
 正確には全く存在しないわけではなく、例えば森や山の奥などに自然に湧いている温泉に浸かることはある。
 それは元の世界でいうところの海水浴のようなもので、日常的に行うものではないのだ。
 雑談の際に入浴が文化として存在すると話した際、オルフィルドはこの王城に入浴施設を作ってもいいと提案したが、聖羅はそれを全力で固辞した。
 入浴しないことで不都合が生じているのならばともかく、バスタオルのおかげで身体を清潔に保てる以上、自分の精神的な充足のためだけにそんな施設を用意させるのは忍びなかった。

(まあ、入浴の際もタオルは外せませんから……あまり効果はないかもしれませんが)

 暑さ寒さを無効化し、常に最適の感覚を保ってくれる加護があるっため、お風呂のお湯をどう感じるのかは聖羅にもわからなかった。
 害がないレベルに抑えられるのか、それとも全く無効化してしまうのか。
 ご飯などは普通に温かいか冷たいかを感じられるため、風呂もそういう最適な温度で感じられるのではないかと推測しているが、全身を水に浸けたことがない以上、確実なことはわからない。

(……いえ、そういえば、最初に浅い水場に落ちましたっけ)

 魔王が封印されていたと思われる場所で、小島を浮かべていた不思議な水のことを聖羅は思い出していた。
 後にそれ自体が動いて攻撃してきたため、ただの水ではなかったが、そのとき聖羅は水浸しになっていた。

(あのときは、さほど冷たくはなかったですけど……あれだけ地下にある空洞だったのですから、実際は非常に冷たかったと考えるべきですが……そうすると、やはり水やお湯に浸かっても、それなりの感覚で済むということでしょうか……)

 そんなことをつらつらと考えつつ、聖羅はバスタオルを腰までずりさげ、トップレスの姿になる。
 ブラジャーを着けずに過ごして数週間経つが、いまのところ聖羅の胸の形が崩れてくるような気配はなかった。
 それも加護のうちなのか、聖羅の体質的なものかはわからない。
 わからないが、聖羅は女性の端くれとして、その事実をありがたく受け取っていた。

(ええと……今日は、と……)

 胸に巻く用の布には、いくつかの種類が用意されている。種類があるとはいえ、それはささやかな違いであり、基本的には白一色だった。
 バスタオルに色を合わせるとそうならざるを得ないため仕方ないのだ。
 適当に手に取ったそれを身体に巻き付けていく。万が一にも腰のバスタオルに被さらないよう、かなり余裕を持って巻いているため、へそや一番下の肋骨あたりまで見えてしまうのだが、バスタオルには替えられない。
 かなり心もとない格好ではあるが、バスタオル一枚に比べれば雲泥の差だ。
 乳房を支えるように布で持ち上げ、くるりと二、三周胸に巻き付け、最後に余った部分の布端を首の後ろで結ぶ。
 本当は固結びにしたいところだが、万が一の際はすぐに外さなければならないので、引っ張ればほどける結び方にしてあった。
 改めて鏡の中の自分の姿を確認する聖羅。

(……うん。まあ、水着……といえなくはない……ですね)

 腰に巻いているのがバスタオル、というのがなんとも不格好ではあるが、パレオと思えばいい。見た目だけなら、人に全く見せられない姿というわけでもない。
 この格好ができて、本当に助かったと聖羅は思っていた。
 下着は身に付けられていないので、股間がスースーするというのが悩ましいところではあるのだが。

(贅沢をいったら罰が当たりますよね)

 なるべく足を大きく動かさないようにしつつ、聖羅は隣の部屋に移動し、待機していた使用人のクラースにお願いして、いつもの身支度をしてもらう。
 いつも通りに朝食を部屋に用意してもらい、完全な和食というわけではないが、十分和風な朝食をとって、人心地ついた頃。

 それは――嵐のようにやってきた。

 そろそろテーナルクとの対話を約束していた時間になるかという頃、なんとなく城内がざわついているのを、聖羅は感じ取った。

「……? どうしたんでしょう?」

 聖羅の部屋は最初に用意された部屋がヨウとリューの小競り合いのために吹き飛んで以降、より見晴らしのいい――要するに同じようなことが起きても被害の少ない――上層部に移されていた。
 その部屋からだと、窓から城内の様子が窺えるのだ。
 なにやらいつもは整然と移動している兵士や使用人たちが、慌てふためいて右往左往しているように見えた。
 聖羅の住む部屋から中庭に至るまでの通路は基本的に人の立ち入りが禁止されているため、部屋の外が騒がしくなっているわけではなかったが、明らかにいつもと様子が違った。
 不安に思った聖羅を慮ってか、部屋の隅に控えていたクラースが動き出した。

「セイラ様、私が様子を見て参ります」

「お願いします。もし、私……あるいはリューさんたちの関係であればすぐに呼んでください」

「かしこまりました」

 そう言ってクラースが出て行った後、聖羅はもう一度城内の様子を窓から伺う。
 兵士や使用人の表情を見る限り、せっぱ詰まった状況というよりは、突然の事態に慌てている、という様子だった。
 例えるなら、事故などが起きて危険が迫っているという雰囲気ではなく、突然思いもかけない来客が来て、対応に奔走しているというような――

 聖羅がそう思った時、廊下側の扉の向こうが騒がしくなった。

 先ほど出て行ったばかりの、クラースらしき声もその喧噪の中に混じっている。
 聖羅は思わず身構えたが、さりとて他に何が出来るわけでもなく、ただ騒いでいる存在たちが近づいてくるのを黙って見ていることしか出来なかった。
 喧噪が扉の前まで来たかと思うと、扉がノックもなく勢いよく開かれる。

 そして、同時にいくつものことが起きた。

「どぉーもぉー! はじめましてにゃっ、聖女さまっ!」

 聖羅の知らない快活そうなひとりの女性が、ドアを開けながら元気に挨拶し、

「ちょっ……まっ……ばっ……!」

 その女性に手を牽かれ、赤い顔をしたひとりの少女が引き摺られて部屋に入って来て、

「あああ! なんてことしてくれるんですの! このお馬鹿姫っ! も、申し訳ありません、セイラさんっ!」

 聖羅が昨日顔を会わせたテーナルクが、蒼い顔をしてその二人に続いて入ってきた。
 なお、その後ろにはクラースをはじめとした多数の使用人や兵士もいたようだが、機転を利かせたクラースが部屋の中を覗けない位置で、止まるように抑えてくれたようだ。
 部屋に入ってきた三人は、それぞれがそれぞれ、属性は違えども絶世の美女、あるいは美少女であり、同性の聖羅でさえ、思わず見惚れる美しさを有していた。
 その先頭に立つ、褐色肌の元気な女性が、輝かんばかりの笑顔で聖羅に向けて口を開く。

「あなたが聖女様ですにゃー? ボクはルィテ王国南のフィルカードからやってきた、ルレンティナ・フィルカードにゃー。仲良くしてくれたら嬉しいのにゃ!」

 奇妙な語尾で、いまだかつてこの世界に来てからはされてないような、フレンドリーな態度で挨拶をされ、唖然とするしかない聖羅であった。
 そんな彼女に構わず、女性――ルレンティナは手を引いていた少女を、聖羅の前に押し出す。そして「こちらはあーみんですにゃ!」と彼女を紹介して「自分で名乗りますから貴女は黙っていてください!」と、本人に怒られた。
 ルレンティナに比べれば、華奢で病弱そうな印象を受けるが、『姫』と言えばどちらかといえば彼女のような存在を思い浮かべるだろう。
 その姫らしい彼女は、静かに聖羅に向けて頭を下げる。

「お初にお目にかかります、キヨズミセイラ様。わたしはルィテ王国の北の国、ログアンから参りましたアーミアと申します。このような初対面となってしまい、誠に申し訳ありません……」

 恐縮して頭を下げ続ける彼女に、聖羅はなんといえばいいのか迷っていたが、そんな彼女にフォローを入れたのは、テーナルクだった。

「セイラさん。アーミア様は被害者ですわ。……そこのお馬鹿さんがわたくしたちの制止を振り切って……ルレンティア様、いくら友好国とはいえ……場合によっては国際問題に発展しかねない不作法ですわよ」

「てーなるんはお堅いにゃー。ボクと、てーなるんの仲じゃにゃいか!」

「わたくしと貴女との関係がいくら良好だったとしても、こんな不作法は通りませんわ!」

 激しい言葉を交わし始める二人に対し、アーミアは深々と溜息を吐いている。
 どうやらそれが日常のようで、セイラとしては唖然とする他ない。
 ただ、聖羅としては、それ以上に問題にするべきことがあったため、そのやりとりを気にしている余裕はなかった。
 二人の格好を見て、頭を抱えたくなるようなことがあったのだ。

(絶対にやめてください、って言ったじゃないですか……っ!)

 突如現れたふたつの国の姫。
 その彼女たちは、腰に一枚の布を巻き、胸を別の布で覆うという、極めて露出度の高い――現在の聖羅の格好を模したようなドレスを着ていたからだ。

つづく
カウンター
プロフィール

夜空さくら (旧HN:黒い月)

Author:夜空さくら (旧HN:黒い月)

はじめに
当ブログは露出・羞恥系の18禁小説ブログです。関連の同人誌・版権物のレビュー、個人的な語りなども書きます。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

『このブログについて』
・当ブログについてです。

『twitter』
・管理人のツイッターです。取りとめのないことを呟いています。

管理人運営の姉妹ブログ一覧
『黄昏睡蓮』(猟奇・グロ系)
『白日陰影』(箱詰・拘束系)
『夕刻限界』(時間制御系)
『極夜天蓋』(催眠・改変系)
『東雲水域』(性転換交換系)
『星霜雪形』(状態変化系)
『異種祭祀』(異種姦系)

『pixiv』
・イラストは全て3Dカスタム少女を使用し作成して投稿しています。基本は小説の投稿です。

『ノクターンノベルズ』
・一部の小説をこちらでも掲載しております。
カテゴリ