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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

露出旅行記 温泉街道編 3


 身体の中に硬くて丸い物がある感覚は、率直に言って気持ち悪いものだった。
 違和感が大きく、排泄物が出かかっているのに出ないような、酷い便秘の時の感覚にも近い。いますぐにでも息んで出したくなる。
「ふふふ……出しちゃだめよ」
 けれど、それは許されない。エミリさんの指が私の肛門に指をあてがって、出ないように出入り口を塞いでいるからだ。
 括約筋にエミリさんの指が触れている感覚と、出ようとする玉を押し戻している感覚がある。そうしているうちに、だんだん違和感にも慣れ、なんとか落ちついてきた。
 エミリさんはそれを確認したあと、肛門から手を離し、剣玉の本体の持ち手を手にした。
 私の身体の中に入れられた玉と、その本体は糸で繋がっている。
 糸が肛門から出ていて、エミリさんが手にしている本体を動かす度に、軽く出入り口が刺激される。
「うふふ。もう少し糸が長ければ、これをリードにするというのもありだったわね」
 とんでもないことを言っているという自覚は、エミリさんにあるんだろうか。
 さすがにそれはやらないつもりでいてくれて助かる。肛門から飛び出た糸をリード代わりに牽かれて歩くとか、想像しただけで死にたくなるほど恥ずかしい。
 でもそれなら、その剣玉の本体はどうするつもりなんだろう。
 そう思った私の疑問はすぐ解消された。
 エミリさんはその剣玉の柄を、私の前の穴に擦りつけてきたからだ。
「え、エミリさん……まさか……」
「柄は細いから、ちゃんと締め付けておかないと、抜け落ちるわ。気をつけてね」
 気をつけろと言われても。
 私がそう抗議する前に、エミリさんの手はその柄を私の中に押し込んでいた。
 普段私たちが使っているバイブとかとはまるで比べものにならないほど細いそれは、確かに意識して締め付けていないとすぐに落ちてしまうだろう。
 私はそこに意識を集中して、柄を離さないように努めた。
「んん……っ、んぅ……ぅ……ッ」
 柄の根元まで押し込むと、エミリさんはあっさりとそれから手を離して、私を解放する。乱れていた浴衣の襟や裾をエミリさんが直してくれた。
 ただ、後ろ手に嵌められたおもちゃのスプリングはそのままだったし、股間には剣玉の本体と玉がそれぞれの穴に突き刺さっている感覚がある。見た目は手を後ろに回しているだけかもしれないけど、あまりにも変態的な状態だった。
 エミリさんはニコニコと笑いながら、そんな私と腕を組む。
「さあ、支えてあげるから安心してね。いきましょ」
「い、いくって……」
 どこに、という疑問の答えは、わかりきっていた。
 エミリさんは私の腕を引いて――温泉街道の、表道に踏み出した。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第七章 1


 それは――真正面から正々堂々と現れた。

 深い深い森の中。
 生い茂る梢によって、本来頭上から差し込むべき光は遮られ、昼間でも鬱蒼としている。
 そんな森の中を、茂みに密かに隠れることもせず、木々を素早く伝うわけでもなく。
 まるでそれが当然のように堂々と。
 森の中に歩むべき道があると言わんばかりの、力強い足取りで前へと進んでくる。

 その異様な光景に、違和感を覚えなかったかと言えば否だろう。

 それが森の中にいること自体がおかしなことなのに、それ以上にその態度は奇妙だった。
 ほんの一時間前、為す術もなく己に押し潰されていた存在と同一個体だとは思えない。
 それの前に立ちはだかりながら――大鹿は違和感を押し殺し、それを観察する。
 現れた大鹿の姿を見て、一枚の白い布を胴体に巻いただけの姿をした人間の女性は、一瞬身体を竦ませ、しかしすぐに背筋を伸ばして彼と対峙した。

 彼女――清澄聖羅の瞳が、確かな意思を持って大鹿を見据える。

 大鹿は聖羅から圧のようなものは一切感じていなかった。
 神々の加護を得ているゆえに、どれほどの魔力を有しているかも感知できない。そういう意味での異様さはあったが、脅威に感じることなど何もない。
 一時間前と同様、地面に叩きつければそれで終わる。
 ゆえに、大鹿は即座に動いた。聖羅が瞬きするほどの間に、蹄が届く位置まで移動し、前脚を振り上げる。
 その段階に至っても、聖羅は反応できていなかった。

 だから、大鹿は彼女が囮であると確信していた。

 森の中で大鹿の知覚能力は森を通じて広がっている。
 例え隠蔽の魔法を使おうと、攻撃のために動けば大鹿には必ずわかるはずだった。
 聖羅を攻撃する隙を狙って、仲間の人間達や死告龍が必ず攻撃してくるはずだと、彼は読んでいた。
 ゆえに、聖羅に向けて蹄を振りかぶりながらも、周囲の警戒は一切怠っていなかった。
 一切の油断なく、いつでも回避行動を取れるように備えていた大鹿。

 だが、蹄を振り下ろし始めても、周囲から敵が跳びだしてくることはなかった。

 反射魔法によって引き延ばされた思考の中で、大鹿は考える。
 どうして他の者が出てこないのか。聖羅は本当に囮なのか。
 何か見落としていることはないか。
 考え、考え、ひたすら考えても答えは出ない。
 森を通じて広がっている感覚に引っかかるものは、依然ない。
 ならば、大鹿が行うことはただひとつ。
 まずは目の前の聖羅を地面に叩き伏せ、埋めて完全に無力化してしまうこと。
 それはとても容易いこと――のはずだった。

 大鹿はとてつもなく重い反発を前脚に受け、思わず仰け反った。

 一時間前と同じく、聖羅の頭部を狙った大鹿の一撃。
 先ほどはその勢いのまま聖羅を砂に埋めることに成功したのが、今回は逆に大鹿の方が凄まじい衝撃を受けて吹き飛ばされそうになった。
 周囲の警戒に幾分かの意識を割いていて、全力でなかったことが功を奏した。
 もし本気で聖羅を殺そうと蹄を振るっていたら、その反発によって大鹿の前脚はへし折れていたことだろう。
 大鹿は接近した時と同様、目にもとまらぬ早さで後退する。
 今度こそ周囲から聖羅の仲間が攻撃してくると思ったためだ。

 しかし、相変わらず周囲から敵が接近してくる様子はない。

 いまの接触の瞬間、大鹿には確かな隙が生まれていた。
 あっさり倒せると思っていた相手からの思い掛けない反撃を受け、いかに大鹿といえど、驚愕に心が染まった。
 もし攻撃を仕掛けるのであれば、千載一遇の好機だったはずである。
 だが現実には攻撃を仕掛けてくる者はおらず、どういう理屈か大鹿の攻撃を防いでみせた聖羅自身も、攻撃を仕掛けて来る様子はない。
 ただ、その場に立ち続けている。否、その口が動いた。

「鹿さん。私の話を聞いていただけませんか?」

 恐怖がないわけではないはずだ。
 大鹿の巨躯は人の身には小山のように見えているはずで、それが友好的ならともかく、相手の命を奪わんと敵意と殺意を撒き散らしている。
 神々の加護があったとしても、本能的な恐怖というものは変わらない。
 それでも、微かに震えていながらも、聖羅はまっすぐに大鹿の瞳を見ていた。
 彼女の瞳には、自分の役割を果たそうとする決意があった。
 そしてそんな瞳を、大鹿はよく知っていた。

 それは――己の瞳と同じだったから。




――少し時間は遡る。

 大鹿の襲撃を受けた五人と一頭。
 激戦を繰り広げたものの、死者は出ずに済んでいた。だが、無傷で退けられたわけでもなく、五人と一頭は大きな損害を被っていた。
 テーナルク、ルレンティア、アーミア、そして死告龍・リュ-。
 戦闘でも平時でも頼れる三人と一頭が負傷、もしくは消耗し、頼れなくなった時、それによってかえって聖羅の覚悟は固まった。
 砂浜に乗り上げた水上拠点の建物の中で、負傷度合いの高いテーナルクとアーミアは横になり、彼女たちの世話をバラノが焼いていた。
 感知能力の高いルレンティアは、痛む身体をおして入り口脇に見張りとして座り込み、そのルレンティアの傍に、消耗して蹲るリューを抱えた聖羅が座っている。

「……いまのところ静かだけど、いつまた来るかわからないにゃ」

 砂浜の向こうに広がる森を見ながら、ルレンティアが呟く。
 その口から小さな息が零れた。傍に座っていた聖羅にしか聞こえない吐息だったが、そこに疲弊感が籠もっていることを感じた聖羅が、心配そうに声をかける。

「ルレンティアさん、休まなくても大丈夫ですか?」

 その質問に対し、ルレンティアは苦笑で応じた。

「正直辛いけどにゃ。ボクは普通の人間よりは丈夫だから平気だにゃ。……せいらんのほうこそ大丈夫なのかにゃ?」

「……私は大丈夫です」

 絶対防御の神々の加護を持つのだから、それは当然のことだった。
 だが、ルレンティアは皮肉気味に笑う。

「にゃはは、なるほどにゃ。せいらんは嘘が吐けるのに嘘が下手なんだにゃ」

「…………」

「さっき雷撃を受けたあと、少し足下がおぼつかなくなってたよにゃ? 完全に防げていたなら、そんなことはないはずにゃ」

「…………はい、そうですね」

 誤魔化せないと判断したのだろう。
 聖羅は素直に認めた。

「でも不思議だにゃ。死告龍様のブレスも防ぐ神々の加護を、あの雷撃程度が貫通したということになるにゃ」

 程度とはいうものの、魔法で防御を固めたテーナルクを瀕死に追い込むほどの威力であり、侮れるものではない。
 あの雷撃程度、というのは単に死告龍のブレスとの比較での話である。
 そのことは聖羅も同意なのか、自分の手を見つめた。

「そう、ですね……魔法や加護の原理を知らない上での推測ですが……テーナルクさんを守ろうとしたから、ではないかと」

 聖羅の推測を聞き、ルレンティアはなるほど、と手を打った。

「てーなるんの負傷度合いが比較的軽くて良かったと思っていたけど、そういうことだったなら納得にゃ。着用者の意思に従って、てーなるんにも少しだけ加護がもたらされたのかもにゃ。ただ……」

 ルレンティアは言うべきか少し迷った後、結局言うことにしたようで、口を開いた。

「あまりそれは使わない方がいいにゃ。特にせいらんは魔法でさえ扱う経験がないにゃ。加減を間違ってしまったら……」

「……そうですね」

 ルレンティアは最後まで言わなかったものの、その結論は聖羅にもわかっていた。
 今回は多少身体が痺れる程度で済んだが、もっと聖羅本人の防御が緩んでいたら。
 魔法に抵抗力を持たない聖羅は、死んでいてもおかしくはなかった。

「神々の加護についてはボクたちにもわかっていないことが多いけど……ある程度の制御が利くというのは知らなかったにゃ。せいらんも無自覚だったんだよにゃ?」

「はい。リューさんやヨウさん……私を守護してくださっている大妖精さんと、このバスタオルの加護がどういうものか、色々と試してはいたんですが……他者に付与できるかということに関しては全く想定もしていませんでした」

「なるほどにゃあ…………その辺は、軍事国家のザズグドズ帝国さんなら、もっと細かく検証しているんじゃないかにゃ?」

 そう揶揄するようにルレンティアが言うと、負傷したふたりの世話を焼きつつも聞き耳を立てていたらしいバラノがふたりの元にやってきた。

「そうですね。我が国にも神々の加護を宿した武具や防具はいくつかありますから。検証していないわけがありません」

「その辺、話せることはせいらんに話しておいてあげた方がいいんじゃないかにゃ?」

 自分は聴かなくてもいい、ということを示すように、ルレンティアは頭の上の猫耳をぺたんと寝かせる。
 そんなルレンティアの気遣いに対し、テーナルクは淡々とその場で話を続けることで応えた。

「残念ですが、セイラさんが持つバスタオルほどの加護を宿した装備は我が国にはありません。ゆえに参考にはならないと思います。ただ……平時の実験と、戦時の実践では加護の効果がまるで違うという事実はあります」

「それはやっぱり、神々の加護には着用者の意思が関わっているということかにゃ?」

「間違いなく関わっているでしょうね。そうでなければ、説明がつかないことが多いですから。ただ、他者に加護を移せるかについては、不明です。参考になりそうな実験としては、両手に剣を持ち、加護を持たない方の剣に、もう片方の剣の加護が乗るかというものがありますが……」

「どうなったんですか?」

「そもそも、両手に剣を持った時点で加護が弱まってしまったのです。もちろん、もう片方の剣に加護が乗ることはありませんでした。二刀流の剣士が持てば加護の減少は抑えられたようですが、加護を別の剣で振るうことはやはりできなかったのだとか」

「その話だけでも、神々の加護に使用者の意思が反映されるっていうのは間違いじゃなさそうだにゃ」

「ただ、武器と防具という違いは大きいですからね。防具に関してはアーミア様の方がお詳しいのでは?」

 バラノが水を向けると、話を聞いていたらしいアーミアが身体を起こして応じる。

「緊急事態だから喚びだしたけど、本来この『神聖法衣』は儀式用のもの。戦闘に使われることはほぼなかったし、実験もほとんどされていない」

「そうなんですか? 服を喚びだして着替えるのに慣れていらっしゃったようですが……てっきり、そういった練習をされているのかと思っていました」

 聖羅は何気なくそう呟いた。
 最初に迷い込んだ森の中で、巨大な花型の魔物に掴まりそうになった際、アーミアは『神聖法衣』を呼び出すと同時に、元々着ていた服を脱ぎ捨てていた。
 それは実に素早い着替えであり、何度もそういったことをしていた経験があったのだろうと聖羅は考えていたのだ。
 聖羅の指摘を受け、アーミアはなんとも形容しがたい微妙な表情をする。

「……それはまた別の理由」

 彼女が服を呼びだして即座に着替える、という動作に慣れている理由は、守護亀グランドジーグと対話する儀式の後、狙ったかのように毎度現れるヘルゼンという青年神官のせいである。
 『神聖法衣』はその性質上、下着の上から半透明の衣服を身につけているのと変わらず、年頃の女性であるアーミアはそれを身に付けた姿を異性に見られることに羞恥心を覚える。ゆえに、素早く服を着替えるという技術を体得する必要があった。
 ただ、そのことを説明するのは身内の恥を広めるようなものだ。
 そのため、アーミアは言いたくないという気持ちを言外に乗せて、言葉を濁して応えた。
 しかしアーミアはふと、何度忠告しても儀式の後に現れることをやめないヘルゼンが、本当に考え無しでそうしていたのかを疑問に感じた。

(まさかヘルゼンは……こういう状況を案じて……? いえ、まさか……ね)

 異界に飲まれた直後、触手型の魔物に不意を突かれた時、アーミアは無防備な状態で身体を締め上げられ、危うく死にかけた。
 そのことからもわかるように、例え『神聖法衣』という切り札を持っていたとしても、喚びだしてすぐ着替えることができなければ、その防御力は発揮されない。
 実際早着替えに慣れていなかったら、巨大花の魔物に襲われた際、『神聖法衣』を身に付けるのは間に合っていなかった。
 ヘルゼンが何度も叱ってもやって来ていた理由は、そういった有事の際のことを考えていたためかもしれない。
 さすがに考えすぎかとアーミアは首を振っておかしな考えを振り払った。

「ともあれ、神々の加護はとても強力ですが不確定要素も多いものですから……それを軸に作戦は考えられませんね」

 話を総括して、戦略家としてバラノはそう告げる。
 それは妥当な結論であり、ルレンティアやアーミアはそれに同意する。
 だが、それに異を唱える者がいた。

「いいえ、バラノさん。私からひとつ、提案があります」

 神々の加護を宿すバスタオルを身に付けただけの存在――清澄聖羅。
 彼女は意外そうに自分を見る三人の視線を感じつつ、端的に自分の考えを告げた。

「私独りで、あの鹿さんと話をして来ようと思います」

つづく

露出旅行記 温泉街道編 2


 エミリさんの舌技に踊らされ、温泉街の裏路地でディープキスを交わした私たち。
 ひとしきり身体の熱と唾液の交換を行った私たちは、絡み合うようにして寄り添っていた。私はエミリさんの身体に寄り掛かるようにして、乱れた呼吸を必死に整える。
 さすがというべきか、エミリさんの方はまだ余裕があるみたいで、ちゃんと周囲にも気を配っているのがわかった。
 だから安心してエミリさんに身体を預けていたのだけど。
 そのエミリさんの脚が私の脚の間に差し込まれ、脚を閉じられないようにされた。
 そして、元々濡れていただろうに、ディープキスの刺激によってより濡れてしまった私の秘所に――エミリさんの指が入り込んでくる。
「はふっ……」
 思わず身体を跳ねさせて反応してしまった私に対し、エミリさんは楽しそうな笑みを浮かべていた。
「うふふ……うん、十分濡れたわね。ルミナちゃんの中……すっごくぬるぬるして……温かいわよ」
 そこを弄りながら、耳元でエミリさんが囁く。熱の籠もった息が耳にかかって、ひどくこそばいというか、背筋にぞくぞくとした快感が走った。
 その感覚に溺れかけたのも、刹那のこと。

 ひやりと冷たいものが、私のあそこに触れてきた。

「ひゃっ!?」
 思わず少し大きな声をあげてしまい、いまいる場所を思い出して慌てて口を噤む。
 自分の股間を見下ろせば、浴衣の裾を開けさせたエミリさんの手に、射的屋さんで取った景品のひとつである剣玉が握られていた。
 エミリさんは糸で本体に繋がっている玉だけを手にしていて、本体は糸でぶら下がっている。
 少し予想していたことだったけど、その持ち方をしていることで、どうするつもりかわかってしまった。
「ま、まさか……その玉を……」
「これだけ濡らせば、十分かしら?」
 私のあそこから零れる愛液を、剣玉の玉に馴染ませているエミリさん。
 そして十分に濡らしたその玉を。
 私の割れ目に押し込んだ。
「ひゃう、ぅ……っ!」
 小さな剣玉とはいえ、玉の直径はそれなりにあったからかなり圧迫感がある。身体の中が押し広げられる感覚が凄まじい。異物感が強く、私は思わず脚の間に差し込まれたエミリさんの脚を強く挟み込んでしまった。
 エミリさんはそんな私の反応を楽しげに眺めている。
「ルミナちゃん、いい反応ね……でも、これだと少し不安かしら」
 言いつつ、エミリさんがぶらさがっていた剣玉の本体の方を手に取った。
 糸を通じて私の身体に入れられた玉が引っ張られて、ずるり、と身体の中から抜けてしまう。糸によって垂れ下がった剣玉の球から、愛液が垂れて地面に落ちる。
「……やっぱり、抜けちゃうわね……こっちの方がいいかしら?」
 そういって再び剣玉の玉を手に取ったエミリさんは、今度はそれをお尻の穴の方に押し当ててきた。
「そ、そっちは……っ」
 プレイの嗜みとして、毎日綺麗にしているとはいえ、綺麗にしてから少し時間が経っている。そんな感じはしないけど、もしかするとすでに便が降りてきているかもしれず、汚いと思った。
 けれど、エミリさんは躊躇鳴く、愛液塗れになった指を私のお尻の穴に差し込む。排泄する場所から何かが入ってくるという感覚に、思わず悲鳴が零れる。
「大丈夫そうね」
 素知らぬ顔でいうエミリさん。
「え、エミリさん……っ」
 さすがに強引すぎる、と軽く睨み付けると、エミリさんは微笑みながら謝った。
「ふふっ、ごめんなさい」
 謝りつつも、エミリさんの行動は止まらず、剣玉の玉が肛門に押しつけられる。
「軽く力んでちょうだい?」
 言われるままに肛門に力を入れてしまうのは、私がエミリさんに甘いからだろうか。
 それとも、エミリさんの指示に思わず従ってしまうように、巧妙に躾けられてしまっているからだろうか。
 どうあれ、私はエミリさんの指示通りに、出す時のように肛門に力を入れ――

 剣玉の玉が、括約筋を押し広げる一瞬の感覚の後、その玉を肛門の中に飲み込んでしまった。

つづく

露出旅行記 温泉街道編 1


 エミリさんの指が、私の中に入ってくる。
 こういうプレイをすることを前提としている私たちは、常に爪を短く切り、ヤスリで丁重に整えている。だからそういう意味での心配はしていなかったのだけど。
「エミリ、さ……っ、こんな、ところで……っ」
 温泉宿街の裏路地は滅多に人がくるようなところではないけど、数メートル離れた表通りにはそれなりにたくさんの人が行き交っている。
 いつこの裏路地に人が迷い込んで来るかわからず、私は気が気でなかった。
 見つかったらどうするつもりなんだろう。
 エミリさんは私の正面に立っているので、エミリさん自身が壁になってはくれているけども、明らかに不自然な状態なのは見てわかるはずだ。
 けれど、エミリさんはそんな私の反応をこそ楽しんでいるようで、浴衣の裾から忍び込ませてきた手で、私のあそこの状態を確かめて来ていた。
「うーん、これ以上ルミナちゃんのここを刺激する必要は無さそうね?」
 悪戯好きの子供のような笑みを浮かべて、エミリさんがそう耳元に囁いてくる。
「うっ……」
 エミリさんに指摘されるまでもなく、私は自分のそこが十分な湿り気を帯びていることに気付いていた。射的屋さんで散々恥ずかしい思いをさせられて、私の身体は反応してしまっていたのだ。
 だからエミリさんが一度指を抜いて、その指の間に糸が引いているのを見せつけられると、その感覚が確かだったことを改めて突きつけられ、顔が赤くなるのが自分でもわかる。
 エミリさんはそんな私の顔を見て、蕩けるような笑顔を浮かべたかと思うと。
「んっ」
「むぅっ!?」
 いきなり唇を合わせてきた。意識を下に向けていたので、ほとんど不意打ちのようなものだ。エミリさんは私の口の中に舌を伸ばしてきて、どろりとした唾液が絡んだそれを私のものに絡めてくる。
 それがとても熱くて、私の脳を痺れさせ、正常な思考力を奪ってくる。
「んんっ……んぁ……」
 いつ人に見られてもおかしくない状況であるというのに、いや、だからこそ興奮は高まり、いつしか私の方からもエミリさんの口内に舌を伸ばしていた。
 しばし戯れたかと思うと、私を弄ぶようにエミリさんの舌が逃げていく。
「あっ……」
 思わず、舌を身体の外まで伸ばし、エミリさんのそれを追いかけてしまう私。
 はしたなくも伸ばした私の舌を、エミリさんは優しく口の中に迎えてくれた。
 どろりとした情欲がエミリさんの瞳の中に見える。

 それはもしかすると、エミリさんの瞳に映った私のものだったのかもしれない。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第六章 おわり


 ルレンティアは獣人である。
 ゆえに、彼女は動物的な直感に優れており、本能的に物事を判断することに長けていた。

 そんな彼女は、現れたその大鹿を一目見て――勝てない、と悟った。

 フィルカードの王族であるルレンティアは、他の国の王族に比べても、様々なことをひとりで出来るように鍛えられている。
 その様々なことの中には、当然戦闘も含まれており、元々肉体的にも優れた獣人であるルレンティアは、下手な戦闘専門の人間よりも強いのは確かだ。

 だが、その彼女をして、大鹿は明らかに勝てない相手だった。

 その研ぎ澄まされた肉体美にうっかり見惚れてしまいそうになるほど、その大鹿の身体能力は明らかに高かった。
 さらにその内包する膨大な魔力量は、少し距離が離れている状況ですら明瞭に感じるほどだった。
 そんな大鹿の巨大な角に、青白い雷光が灯る。

「――ルレンティア!」

 そう叫んだのは、アーミアだった。
 戦力差を誰よりも正確に理解したがゆえに、大鹿の迫力に飲まれていたルレンティアがその叫び声で正気に戻る。
 彼女は大鹿の行動に反応し、五人の足下に魔方陣を展開していた。
 杖を地面に突き刺し、渾身の魔力を注いでいるのがわかる。
 展開された魔方陣が光り輝き、半透明の白いドーム状の結界が五人を覆った。

 その結界に向け、大鹿の角から迸った雷撃が叩きつけられる。

 雷撃は結界にぶち当たり、轟音が生じた。
 一瞬で結界にヒビが入って、伝播した衝撃が術者を襲い、アーミアがその場に膝を突く。
 杖が激しく震動していた。それを抑え込むようにアーミアは杖を握り続ける。
 その掌から血が噴き出した。

「ぐっ……ッ!」

 アーミアの口から押し殺した呻き声が漏れる。その口の端から血が一筋零れた。
 雷撃の嵐は数秒続き、唐突に止んだ。
 それと同時に、アーミアの張った結界が砕け散る。
 大鹿は鼻息荒く、苛立っているのを隠そうともせず、その場で蹄を地面に叩きつけた。
 角に宿っていた雷光は消えている。

「……ッ、さすがに、無尽蔵ではないよにゃ!」

 ルレンティアはそう分析し、斜め前に向かって駆けだした。
 固まっていては再度雷撃を撃たれた時にその一撃で全滅する。まっすぐ走らなかったのは、少しでも大鹿の意識を散らすためだ。
 同時に、攻撃魔法の詠唱を終えたテーナルクが、掌に宿した火球を大鹿に向けて投げつける。
 火球はうなりを上げて空を駆け、大鹿の胸の辺りに着弾した。
 だがテーナルクは悔しげに呻く。

「だめ、ですわ……!」

 大鹿の体表面を多少焦がした程度だった。
 火球の威力は申し分なかったが、大鹿の身体には常に電撃が流れている。
 火球が大鹿の身体に接する前に、その電撃が走って爆発させられていたのである。
 それは、ルレンティアの機動力を活かした突撃も封じていた。

(下手に近づけば電撃の餌食……にゃら!)

 ルレンティアは渾身の力で掬い上げるように腕を振るい、砂浜の砂を盛大に舞い上げた。
 砂浜の細かい砂粒が大鹿へと襲いかかる。身に纏う電撃が砂粒に反応するが、すべてを撃ち落とせるほど、襲いかかった砂粒は少なくない。
 大鹿は視界を遮られるのを嫌ってか、素早くその場から横っ飛びで逃れた。一瞬で十数メートルは跳び、砂粒がかからない位置まで移動する。
 その隙にルレンティアは森の中に身を潜めようと走った。

 だが、森に入る寸前で思いとどまる。

 ルレンティアの侵入を拒むように、植物の蔦が蠢いているのを見てしまったからだ。
 直感に優れたルレンティアでなければ、気付かずそのまま森の中に入り、蔦に脚を取られていたことだろう。

(くっ……! あの触手型の魔物と違って、植物自体に意思があるようには感じにゃい……ということは……!)

 ルレンティアは砂埃の向こうにいる大鹿を睨む。
 大鹿の眼は、砂埃越しでもルレンティアを見据えるように、爛々と光っていた。
 その様子から核心に至ったルレンティアは、絶望的な気持ちになりながらも、情報を共有する。

「あいつ、植物も操るにゃ!」

「なんですって!?」

 テーナルクが絶望的な顔をして叫ぶ。
 それは無理もないことだった。開けた砂浜で遙か格上の相手と対峙するほど、絶望的なことはない。
 森の中に入ることができれば、死角からの強襲を狙うことも出来るが、身を隠すことの出来ない砂浜ではそれも望めない。
 植物を操るのであれば、森の中に逃げるのは自殺行為だ。
 かといって、水上拠点に乗って逃げようにも、射程外に逃げる前に、巨大蜘蛛のように雷撃をお見舞いされてしまうだろう。

(詰んでるにゃ……!)

 改めて絶望的な状況を実感し、ルレンティアが思考を止めたのは一瞬。
 その一瞬で、大鹿が彼女の目の前まで迫っていた。
 近づかれたことで、大鹿の身に纏う電撃が走り、ルレンティアの身体を硬直させる。
 大鹿の振り上げた前脚の蹄が、逃げられない彼女に振り下ろされようとしていた。

(しまっ――)

 死を悟ったルレンティアの眼に、大鹿の振り下ろす蹄がスローモーションに映る。
 その彼女の身体を、真横から飛んできた空気の塊が突き飛ばす。わずかに位置がずれたことにより、大鹿の振り下ろした蹄は外れ、砂浜に巨大なクレーターを作りながら衝撃波を周囲にまき散らした。
 ルレンティアはそれに巻きこまれ、きりもみ状態で吹き飛んだが、負傷度合いは軽い。

 見れば、バラノが肩で息をしながら、手を翳していた。

 バラノは戦闘員ではなく、魔法も得意な方であるとは言いがたい。しかし使えないわけではない。
 彼女が翳した手には小さな魔石があり、それが砕け散っていた。
 彼女自身の魔法は弱いものだが、魔石の力を使って増幅させ、ルレンティアを突き飛ばすほどの威力にしたのだ。
 万が一の切り札として、バラノが密かに持っていたものだ。
 素の対応力に劣る彼女が、そういった仕込みをするのは当然である。

(助かったにゃ! ――けど!)

 ルレンティアの命は助かったが、大鹿に影響を与えられたわけではない。
 大鹿は砂浜に埋まった蹄をこともなげに抜き、ぐるりと身体を反転させてバラノたちのいる方向を見る。
 その四肢に力が籠もり、バラノもろとも蹴散らそうとしているのがわかった。

「まずい……っ! こっちだにゃ!」

 咄嗟にルレンティアは魔法を用いて、拳大の石を生成し、いくつか大鹿に向けて放った。
 だが、相手をするに値しないと判断されたのか、大鹿が身体に纏う電撃が自動的にそれらを迎撃し、大鹿自体はバラノたちの方へ向いたままだ。
 同様に少し移動していたテーナルクも攻撃魔法を放つが、自動迎撃されて大鹿の気すら引けなかった。
 止められない、とふたりが思うのと、ほぼ同時に。

「鹿さん! 待ってください!」

 聖羅がバラノよりも前に出ながら、彼女を庇うように両手を広げ、そう声を張り上げた。抱えていたリューは先ほどまで立っていた場所に降ろしている。
 彼女は神々の加護が宿ったバスタオル一枚で、絶対防御の効果こそあるが、攻撃手段はない。
 ゆえに声をかけることしか出来ないのだ。
 そして大鹿は、そんな彼女の呼びかけを聞き――

 一瞬で距離を詰め、その身体に向けて前脚の蹄を振り下ろした。

 蹄は聖羅の後頭部を抑え、そのまま真下に降ろされたため、聖羅は上半身を砂浜に埋めることになった。
 容赦のない一撃であり、普通の人間ならば熟れた果実の如く頭の中身をぶちまけていたところだ。
 加護を持つ聖羅ゆえに、頭が潰れることはなく、負傷することもなかった。
 ただ、彼女自身はただの人間であるため、上半身が砂浜に埋められ、呼吸が出来なくなったために下半身をばたつかせて暴れる。

 あられもない姿ではあるが、そんなことを気にしている余裕は、本人にも他の四人にもなかった。

 一方、大鹿は大鹿で、潰すつもりで蹄を叩きつけたにも関わらず、聖羅が潰れていないのに戸惑っているようだった。
 再度蹄を振り上げるべきか、そのまま砂の中に埋めてしまうか考えているようだ。

 その巨体が、横薙ぎに吹き飛ばされる。

 一瞬で距離を詰めたリューが尾で大鹿を吹き飛ばしたのだ。大鹿はもんどり打って砂浜に倒れ込み、水柱ならぬ砂柱を立てる。
 リューは小さな身体からは想像できないほど、激しい威嚇の咆哮をあげて大鹿に追撃を行う。
 口内が黒い光に溢れ、即死のブレスが大鹿へと放たれた。

 だが大鹿もさるもの。

 即座に体勢を立て直し、砂浜を蹴ってブレスの範囲外へと逃れる。
 大鹿が後退しながら角を振ると、雷光が丸まって出来たような球体がいくつも中空に発生し、その球体からトゲが伸びるように雷撃が発生した。
 襲いかかる雷撃を、リューは紙一重で避け、大鹿へと再度ブレスを放った。
 大鹿は胴体と同じくらい大きな角を用いて、砂浜の砂をひっくり返すように巻き上げる。ブレスは巻きあげられた砂を物ともせず貫いたが、その先に大鹿はいなかった。
 一瞬、相手を見失ったリューが視線を巡らせる。

 そのリューの頭上から、大鹿は降ってきた。

 巻きあげた砂に紛れて跳んだのだ。
 巨体であることを逆手に取った、意識の外からの攻撃。
 直前で気付いたリューが、振り下ろされた大鹿の蹄を角で受けとめる。
 轟音が周囲に響き渡り、衝撃派が砂を押しのけながら、二頭を中心に広がった。
 怪物同士の戦い。人が巻きこまれればただではすまない攻防の嵐の中、テーナルクが砂に埋もれた聖羅を救出する。

「セイラさん! しっかりですの!」

 砂に埋もれて呼吸が出来ていなかった聖羅は、激しく咳き込み、口の中に入った砂を吐き出した。

「げほっ、げほっ! な、なんとか大丈夫です……」

 テーナルクが聖羅に手を貸し、立ち上がらせている間も、戦いは続いていた。
 広範囲に広げられた雷雲が渦巻き、そこから無作為に雷撃が落ちて砂浜の至るところにクレーターを生じさせる。リューのブレス並みの広範囲攻撃だった。
 聖羅はそのうちの一本が、自分たちの頭上で渦巻いているのを見てしまう。

(まずい……! 私はともかく、テーナルクさんが!)

 聖羅は咄嗟に、テーナルクの腕を引き、胸に抱き締めるようにして彼女を庇った。
 守らなければと感じたがゆえの、咄嗟の行動。
 その聖羅の背に、雷が直撃した。
 衝撃が彼女の身体を通じて足下に抜け、ふたりの立っていた場所の砂を舞い上げる。

「せいらん! てーなるん!」

 青ざめたルレンティアが悲鳴をあげる間にも、大鹿とリューの激闘は続く。
 リューが大鹿の胸元に蹴りを入れ、大きく吹き飛ばす。そこに追撃のブレスを吐いた。
 大鹿はそれを素早く後退することで回避する。
 本来のリューの体格であれば回避が難しいほどに極太なブレスとなるのだが、現状のリューの体格では十分回避可能なブレスしか放てないのだ。

 だが、それでも即死範囲攻撃が連発可能という事実は変わらない。

 連続でブレスを放ち、徐々に大鹿の逃げ道を塞いでいく。
 いよいよブレスが大鹿を捉える、というところで、溜まらず大鹿が森の中へと退いた。
 木々という遮蔽物が多い場所ならばさらに回避の目はあがるのだから、判断は間違っていない。
 それでもリューのブレスならば、木程度の遮蔽物など関係なく穿つことが出来ただろう。

 だが、リューはブレスを撃たなかった。

 大鹿はこれ幸いとばかりに森の奥へと逃れていく。
 もう少しで大鹿を仕留められるところだったはずのリューは悔しげに唸り、ゆっくりとその場に降りて蹲る。
 今のリューにとって、大鹿はかなりの強敵であったようだ。かなりの体力を消耗してしまったらしい。
 ともあれ、大鹿の脅威は一端去った。
 ルレンティアは電撃を喰らって痺れの残る身体を奮い立たせ、現状を見渡す。

「みんな、生きてるよにゃ……?」

 最初にその呼びかけに答えたのは、バラノだ。
 地面に伏せ、砂を被ってしまったらしく、砂まみれになった頭を払いながら立ち上がる。

「こちらはなんとか……ルレンティア様、先ほどは乱暴に申し訳ありませんでした」

 咄嗟に風の魔法で突き飛ばしたことに対する謝罪だと理解したルレンティアは、軽く手を振って答える。

「気にしないでいいにゃ。あれがなかったら死んでたしにゃ」

 緊急回避というには乱暴だったが、魔法の扱いに長けているわけでもないバラノの精一杯だったのはルレンティアもよくわかっている。
 次に動いたのは、杖を抱えて蹲っていたアーミアだった。

「わたしは、少し、きつい……」

 一撃目の極大雷撃を結界で防いだアーミアは、その代償に体内器官にダメージを負っていた。
 その献身がなければ、聖羅とリュー以外は全滅していたかもしれず、またリューにも多少のダメージが入って大鹿を撤退させられなかったかもしれない。
 ある意味最大の功労者な彼女に、文句のある者がいようはずもない。

「命があればいいにゃ。問題は……」

 ルレンティアは急いで聖羅とテーナルクの元に駆け寄る。
 聖羅が庇ったとはいえ、大鹿の雷撃をまともに受けたのだ。絶対防御の加護がある聖羅と違い、テーナルクは致命傷の可能性がある。
 テーナルクを抱きかかえた聖羅は、近づいてきたルレンティアに潤んだ目を向けた。

「ルレンティア、さん……! テーナルク、さんが……っ」

 ルレンティアは聖羅の傍にしゃがみ、テーナルクの様子を見る。テーナルクは眠っているように目を閉じている。
 ルレンティアが最悪の覚悟をして触れようとすると、その目が少し開かれた。

「てーなるん!」

「テーナルクさん!」

「だい、じょうぶ、ですわ……しびれて……うごけ、ませんけども……」

 ひとまず生きて喋れる程度ではあることがわかり、聖羅とルレンティアはほっと胸をなで下ろす。

「喋れるなら、ひとまずは安心にゃ……せいらん、こっちは任せて欲しいにゃ」

 ルレンティアはそういって、聖羅からテーナルクを預かる。
 聖羅はその意味をすぐに理解し、立ち上がった。その足下は少しおぼつかなかったが、すぐに安定する。
 そして、地面に降りて蹲っているリューの元へと急いだ。
 リューは聖羅が近づいてきたことを感じ取ったのか、首だけを持ち上げて、聖羅の方へ顔を向ける。

「くるる……」

「リューさん、皆さんを助けてくださってありがとうございます」

 力無く鳴くリューを、聖羅は抱え上げて抱きしめる。
 リューが戦ったのは聖羅を助けるためであり、他の面子を助けようとしたわけではないのだろう。
 だが、結果として全員が助かったことは事実であり、聖羅はその思いをそのまま言葉にした。
 リューは内容よりも聖羅に褒められたことが嬉しいのか、聖羅の首筋に擦り寄る。
 聖羅はこのときばかりはリューの好きなようにさせた。
 そんな聖羅とリューの様子を窺いつつ、バラノは状況を見定めていた。

「これは……大変厳しい状況ですね」

 聖羅とバラノにはほとんどダメージはない。だが、この二人は率先して前線を張れる能力を持たない。
 防御の要であるアーミアは、結界を強引に突破されたことによる反動で体内外にダメージを負っており、回復に時間を有する。
 攻撃と探索を引き受けられるルレンティアは比較的軽傷だが、ダメージがないわけではない。電撃によって受けた体の痺れは、彼女の最大の長所である機動力を削いでいる。
 魔法を扱いこなし、補助に長けたテーナルクは雷の直撃を受け、一番深刻な状態だ。聖羅が庇ったことで即死こそ免れたが、しばらくは動くこともできないだろう。
 そして最大の戦力である死告龍・リュー。大鹿を退けるほどの力を持つが、激戦による消耗が激しい。再度大鹿が襲撃してきた際には、凌げるかも怪しい。
 大鹿も無傷ではなく、その回復には時間がかかるだろうが、敵が大鹿だけではない可能性もあり、楽観は出来ない。

 極めて危険な状況に、彼女たちは立たされていた。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第六章 3


 清澄聖羅は、自分のことを平々凡々の一般庶民だと考えている。

 実際、この場にいる他の四人の女性に比べれば、特別秀でた能力はなく、こちらの世界にとっての異世界出身であること以上の、特別な出自であるわけでもない。
 だが、そんな聖羅でも――あるいはだからこそ――アーミアの問いかけを聞いて、自分と相手とで、前提とする常識に齟齬がある事に気付いた。
 聖羅のいた世界が「嘘や偽りが当たり前に存在する世界なのかどうか」を訊くということは、それはつまりこちらの世界では「嘘や偽りが当たり前ではない」ということだ。
 その事実を認識した聖羅は、いままでうっすらと感じていた違和感の正体がそれだということを、ようやく明確に認識することが出来た。

(そういうことだったんですね……理解できました)

 聖羅は平凡ではあっても愚鈍ではない。
 アーミアの質問からこちらの世界では嘘や偽りが普通に存在しないことを理解した。
 そして同時に、そんな世界で『平然と嘘や偽りを告げることが出来る自分』が、相当な優位に立てることにも考えが至っていた。
 相手が嘘を吐けないのなら、情報戦において優位に立つことは容易だ。対して自分の側は虚偽のし放題となれば、そのアドバンテージは計り知れない。
 ゆえに聖羅はここでアーミアの問いに対し、「そうではない」と答えるべきだったのかもしれない。
 嘘や偽りを自然と口に出来るということを知られるのは、マイナスの印象を抱かれる可能性も高く、今後自分の言動を信じて貰いにくくなるということも考えられる。
 だが。

「そう、ですね。私の元いた世界では……悪徳ではありましたが、嘘や偽りは当然のように行われていました。約束したことを直前になって平然と覆す人がいたり、聞こえのいい嘘の話で人を騙し、金銭などを不当に奪い取る犯罪が横行していたり……しました」

 聖羅は真実をそのまま告げていた。それが自分の立場を悪くすると知っていても、真実をそのまま口にすることを選んだ。
 聖羅は平凡ではあっても、悪辣ではない。
 絶対的な優位を捨て、不利な立場に甘んじることを躊躇いはしなかった。
 それは愚かな行いであるともいえ、一歩間違えば完全に孤立した立場に置かれかねない選択だった。

 だが、そんな選択をしてしまう聖羅だからこそ――最悪の展開は回避出来た。

 聖羅とアーミアのやり取りを聞いて、最初に動いたのはテーナルクだった。
 彼女はアーミアを睨むように見て、口を開く。

「アーミア様、どういうことですの? どうしてそういう話になったのか、説明していただけますか」

「魔界に呑まれる直前、セイラさんと雑談をした。その内容は好きなもの、嫌いなものについて。嫌いなものについて語る際、セイラさんは『約束を守らない人が嫌い』と言った」

 アーミアから端的に示された経緯を聞いて、テーナルクを含むその場にいた全員が、納得したと言わんばかりの反応をする。
 この世界において、『約束を守らない人が嫌い』というのは、聖羅の世界で『殺人鬼が嫌い』というのと変わらない。
 殺人鬼は忌避されるものだが、好き嫌いの基準で語られる存在ではないだろう。ゆえに、アーミアは自分と聖羅とで前提とする常識に齟齬があることに気づけたのである。
 経緯を理解したテーナルクは、深々と溜息を吐く。

「だからといって、何もこの場で……いえ、この場だからこそ、ですわね……」

 テーナルクがちらりと見たのは、バラノの方だった。
 ルィテのテーナルク、ログアンのアーミア、フィルカードのルレンティア。それぞれ国での立場はあれど、三国は友好関係にあり、この三人は基本的には味方である。
 もし「三人が結託して自分を騙そうとしている」と、嘘や偽りに慣れた聖羅に判断されてしまえば、今後の交流に悪影響が生じかねない。それは避けねばならなかった。

 だが、この場には敵対国家であるザズグドズ帝国のバラノがいる。

 バラノは唯一、三人と立場を異にする存在であり、いわば第三勢力だった。
 三人と足並みの合わないことが、この場合は良い方向に働くのだ。

「……ログアンの姫御子様はこういった搦め手は苦手だと思っておりましたが」

「実際苦手。だから、共有したかった」

 聖羅が「嘘や偽りを普通に口に出来る世界から来た」ということにアーミアが気付けたのは偶然だ。
 他の三人が気付くかどうかは運次第であり、うまく立ち回ればアーミアだけがその情報を握ることは出来ただろう。
 さらにその上で、自らとのみ共謀できるように聖羅を説得できれば、情報戦においてアーミアは他の三国を完全に出し抜き、状況を思い通りに操作できる可能性もあった。
 ルレンティアはまた性質が違うが、政治や交渉に長けたテーナルクやバラノであれば、当然その道を模索したはずだ。
 アーミアがそうしなかったのは、彼女自身がそういった交渉戦に特化していないということを自覚しているためである。
 さらに加えて。

「それに――セイラさんに謀略は無理だと思った。それは皆も感じたはず」

 アーミアがこの段階まで気付いた事実を口にしなかったのは、それ自体が聖羅の仕掛けた罠ではないかと考えていたからだ。
 テーナルクやルレンティアも同席した場で行われた、最初の顔合わせの際、三人は聖羅のことを「底の知れない存在」だと感じた。本人が言うような一般人には思えなかったのである。
 そのために育てられ、教育を受けた自分たちと対等に駆け引きをし合える存在なのではないかと考えたのだ。
 それは世界そのものの前提が違うことによる差であったわけだが、聖羅の背後に控える死告龍という最悪のカードが切られた時のことを考えると、聖羅を警戒しすぎるに越したことはなかった。
 ゆえに、いまのタイミングまでアーミアは「聖羅のいた世界が虚偽を前提とする世界」である可能性を黙っていたのだが。

「セイラさんは本人の言うとおり――極普通の、人間」

 奇しくも、死告龍たるリューに向けた無防備な笑顔がアーミアの警戒を解いた。
 聖羅が、真実を隠し、人を騙し、利を得ようとする、そんな悪辣な人物ではないと。
 そのことをアーミアは読み取り、自分が――ひいてはログアンだけがアドバンテージを得る道を放棄した。
 聖羅の性質も考えれば、もし聖羅を取り込むことに成功したとしても、その謀略が良くないタイミングで他の三国に露見する危険性の方が高かったためだ。
 そのアーミアの説明に、他の三人も納得したようだった。

「あーみんらしい判断だと思うにゃ」

「そうですわね……こうなってみると、セイラさんとの交流開始が遅くなったのは、かえって良かったかも知れませんわね」

「……テーナルク様だけがこの情報を握っていた時のことを考えると、震えが来ますよ」

 バラノはそう言って息を吐く。
 もしテーナルクがもっと早くから聖羅と交流を持っていたらどうなっていただろうか。
 話す回数が増えれば増えるほど、仲が進展すればするほど、聖羅の世界の真実に、聖羅の持つ特質に気付く可能性は高まっていただろう。
 一対一で交流している間にそのことに気付いたのなら、当然テーナルクは聖羅の特質をルィテ王国の利益のために秘する道を選んだだろう。
 そうなっていた場合、他の三国はかなり不利な立場に立たされることになっていたはずだった。

「理想をいえば、第三者視点の立場には死告龍様や大妖精様がいてくれればよかったんだけど。死告龍様はその状態だし……ともあれ、セイラさん。わたしたちの言葉が信じられなければ、そのお二方に訊いてみるといい。お二方は、わたしたちの立場を斟酌しはしない」

「アーミアさん……大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 聖羅はアーミアに気を遣われている事に気づいていた。
 なるべく聖羅が不安に思わないように、立場の違う存在からそれぞれの話を聞くように促されているのだと。

(それにしても……基にする常識が違うと気付いたからといって……それにすぐ対応できるあたり、この人たちは、本当に……)

 いまだに元の世界の常識を引き摺る聖羅とは、やはり出来が違うのだ。
 それはそれ相応の教育を受けているかどうかの違いではあるのだが、聖羅は改めてこの四人と腹の探り合い、駆け引きのし合いをするには自身が力不足であることを自覚する。

(幸い、この人達は善良な方達のようですし……ここまで気を遣ってもらいましたしね)

 彼女たちを信じて任せるべきかもしれないと聖羅は考えていた。
 国を背負っている立場にある以上、彼女たち本人の善良さは必ずしも絶対ではないが、そもそも本気で策謀の張り合いになったら聖羅に勝ち目はないのだ。
 最低限の警戒心を持っておくことは忘れられなかったが、聖羅は彼女たちを信用すると決め、少し心が軽くなったことを感じる。

「聖羅さんの特性については、この五人の間での秘密ということにいたしましょう。皆さんも、それでよろしいですわね?」

 テーナルクがそう口にすると、全員が躊躇なく頷いた。

「外に漏らしてもいいことないからにゃあ」

「不要な疑心を生むだけ」

「セイラさんは善良な方ですし、問題ないと思います」

(……言われているほど、私は善良ってわけでもないと思いますけど)

 聖羅は善良ではあっても、平凡な存在である。
 なるべく誠実であろうとは努めているものの、彼女はそれを死ぬまで貫き通せはしないとも考えていた。
 いざというとき、自己保身に走ることがないとは言えないのだ。
 とはいえ、少なくともリューやこの場にいる四人の助けがあるうちは、強いて保身に走る必要が生じることがそうそうあるとも思えない。
 聖羅にも人並みの欲はあるものの、かといって溢れんばかりの金銀財宝を差し出されると困ってしまう庶民でもあるのだ。
 衣はさておき、食と住が最低限保証されているいまの状態で、全く困ることはなかった。

「せいらんのことはひとまずそれでいくにゃ。さしあたっても、この魔界からどう脱出するかを考えないとにゃ」

 聖羅の特質がわかっても、彼女たちが現在やるべきことは変わらない。
 ルレンティアがそう締めくくり、全員が意識を切り替える。

「ほい、せいらん。まずはご飯を食べるにゃ」

 そういって、ルレンティアが石を削り出して作ったお椀に注いだスープを聖羅に向けて差し出す。
 目に見える言動こそいままでと変わらなかったが、聖羅はルレンティアたちの気配がどことなく柔らかくなったのを感じていた。
 いままでが刺々しかったわけではないが、どこか一線を引いている感覚があった。
 しかし、真実が明らかになった今、彼女たちは聖羅を必要以上に警戒することがなくなっていた。
 その柔らかな気配は、聖羅を不要な気負いから解放する。

「ありがとうございます、ルーさん。……いつのまに作ってたんですか?」

「話を聞いている間にちょちょいっとにゃ」

 得意げにいうルレンティアから、聖羅はスープを受け取る。
 石の器は見た目重そうに思えたが、相当薄く切り出しているのか、思ったよりは軽い。女性の聖羅が片手で支えられる程度だ。さらに魔法を用いて強度や熱伝導まで調整しているのか、不安な感じは全くしなかった。
 中身は柔らかく煮込まれた魚と海藻らしきもののスープだ。
 器と同じように石から作られた匙を用いて、聖羅がそれを口に運ぶ。魚は柔らかく煮込まれており、海藻の味がよくしみ出したスープは、聖羅の身体を内側から暖めてくれた。

「美味しいです。……この魚、しっかり処理されているようですが、刃物はどうやって……あ、いえ、なんでもないです」

 聖羅が質問を途中でやめたのは、ルレンティアがその手をひらひらと翳したためだ。
 彼女は、植物型の魔物を切断できるほど鋭い爪を持つ。
 それを上手く使えば、魚の調理くらいは容易いことだと言われなくてもわかったのだ。

「爪がなくても魔法で切断できるけどにゃ。食材を魔法で調理すると、なぜだか美味しくならにゃいんだよにゃあ」

「魔法で処理をすると、その者の魔力が食材に移ってしまうからだと言われていますね。地域によってはその方が好まれる場合もあるようですが。……確か、ログアンにそういう料理がありませんでしたか?」

「捧食のこと? あれはグランドジーグ様への感謝の気持ちを伝え、今後も共に生きていくことを誓う祭典の時に作られるもので、どちらかといえば儀式」

「色んな風習があるんですね……」

 様々な人が生きている世界である以上、色々な風習や慣習が生まれるのは当然だったが、聖羅は改めて知的好奇心を刺激されるのを感じていた。
 相互理解が進み、妙な警戒や気負いがなくなったことで、そういったことに意識を向ける余裕ができてきていた。

(リューさんのお気に入りの狩り場に連れて行ってもらう約束をしていましたっけ)

 息抜きに出かける提案をされていたことを聖羅は思い出す。
 思い出した流れで、腕の中のリューを見ると、リューは聖羅の顔をじっと見つめていた。
 観察されていることに気付いた聖羅は、少し気恥ずかしくなり、スープを飲むついでにその器で顔を隠す。
 その際、スープの中で海藻のような具がゆらめているのが見えた。

「そういえば、海藻……みたいなものも生えてたんですね」

 周りの水が塩水ではないのは、確認済みだ。
 風景だけを見れば完全に大海原だが、環境的にはどちらかといえば地底湖に近いらしい。
 そんな場所で海藻のようにしか見えない水草が採れたことは、よく考えれば不思議なことだ。
 その認識は間違っていなかったらしく、ルレンティアが溜息交じりに答える。

「水底に普通に生えてたにゃ。食べられる種類のもので良かったけどにゃ……なんで生えてたんだかにゃあ」

「いくら水草の成長が早いとはいえ、半日やそこらで生えていていい規模ではなかったんですよね」

 そうバラノが確認すると、ルレンティアは頷いて肯定した。

「そうだにゃ。かといって何年も前から生えていた感じでもなくて……わけがわからないにゃ」

「元々、魔界という中では方向感覚や時間が狂うことがままありますが……この魔界はまた別格ですね……中と外で時間の流れが大きく変わっている可能性も出てきました」

 バラノは真剣な表情で分析を続けている。

「流れる時間が遅くなっているならまだしも、早くなっていたとしたら困りますわね……」

 テーナルクはそうぼやく。王城が魔界に呑まれているという状況は、極めて深刻な事態であり、それが長期化すればそれだけでルィテの国力の低下は免れない。できる限り早く事態を解決したいのが本音であった。
 五人が真剣に話し合っているうちに、遠くに見えていた何かの影の姿が霧の向こうに見えてくる。

「みんな、念のために戦闘態勢を取るにゃ」

「言われなくとも」

「バラノ様とセイラさんは後方に下がっていてくださいませ」

 戦える三人が前に出て警戒をし、残るふたりは並んで後方に退いた。
 聖羅は絶対防御を持つ自分は最前線に立つべきではないかと思ったが、リューを抱えているため、大人しく後方に下がる。
 仮に戦いに巻きこまれても、リューならば平気な可能性も高いが、いまのリューがどれほどの防御力を持っているかはわからない。
 いざとなれば自分の身で守ることも考えつつ、聖羅は近づいてきたその影をしっかりと見据えた。

「これは……島……でしょうか?」

「大きな島ですね……全景が視界に収まりません」

 それはかなり大きな島のように見えた。
 木々が生い茂り、中央には小高い山らしき岩肌も見える。
 聖羅が持つイメージでいえば、冒険物の物語で登場人物がよく漂着する無人島、というべき島だ。
 山を囲むように森が周囲を覆っていて、島の形は今ひとつ判別できない。

「砂浜が見えるにゃ。あそこに船を接岸するにゃ」

 ルレンティアが上陸できそうな砂浜を見いだし、その砂浜へ水上拠点を押しあげた。
 碇はなかったが、浮力を与えていた魔法を切ってしまえば、自然と水上拠点の重さで砂浜に拠点が埋まり、波の力程度では流されないようになる。
 水上拠点から五人と一頭が降りた時、先頭に立って島の奥を警戒していたルレンティアが声をあげる。

「全員警戒! 何かくるにゃ!」

 ルレンティアが砂浜の中央まで後退し、警戒を促す。
 その段階で、他の四人の耳にも森の奥から騒音が聞こえてきた。
 木々がなぎ倒される騒音と、何かが争っているような激しい擦過音。
 その正体は、すぐに知れた。
 森の奥から砂埃を巻き上げつつ、巨大な何かが飛んで来たからだ。

 複数の脚を持つそれは、テーナルクとバラノの見覚えのある、あの巨大蜘蛛であった。

 ただ、その八本あったはずの脚はいくつかが半ばから千切れており、それだけではなく全身に深い傷が刻まれていた。
 蜘蛛は飛んできた勢いそのまま、砂浜で何度かバウンドした後、水の中へと落下し、大きな水柱をあげる。

「何と戦って……? ――ッ! 伏せるにゃ!」

 ルレンティアがそう叫び、他の三人が反応して地面に伏せる。
 反応しきれなかった聖羅は、近くに立っていたバラノが抱えるようにして、一緒に砂浜に伏せた。
 そんな五人の頭上を、複数かつ極太の雷が走り、浮かび上がりかけていた巨大蜘蛛に殺到した。
 雷は凄まじい轟音を立てて蜘蛛の身体を焼き、一部は水面を走り回って水しぶきをあげ続けた。

 そして――最終的に爆発した。

 巨大蜘蛛の身体が内部から爆散し、破片が周囲に飛び散る。
 ほとんどは水中に沈んだが、脚のうちの一本が、砂浜に伏せていた五人の近くに落ちてきた。
 深々と砂浜に突き刺さったその脚部は焼き焦げており、先ほどの雷にどれほどの威力があったのかは一目瞭然だ。

 そんな雷を放ったと思われる存在が、五人の前に姿を現す。

 それは、巨大な牡鹿であった。
 全身を覆う黄金色に輝く体毛だけでも神々しいが、それ以上に神々しいのは、その頭部に生えた立派な角だった。
 ただでさえ見上げるほど大きな体格なのに、その身体に匹敵するくらい角も大きく、雷を宿し、危険な音を立てて光り輝いている。
 結果として全体から感じる威圧感が倍増していた。
 明らかにただの牡鹿ではないその大鹿は――

 聖羅たちにも、その殺意を向けていた。

つづく

バスタオル一枚で異世界転移 第二部 第六章 2

 廊下が入り組んだ迷宮にいた聖羅たち。
 水と食べ物のある場所に行きたい、と聖羅がリューに向かって口にしたところ、突如流れてきた大量の水によって、大海原のような場所に移動させられてしまった。
 現在、五人と一頭はアーミアの張った結界を船のようにして水面に浮かんでいる。
 周囲に敵らしきものの姿はなく、一安心したところで、バラノが聖羅に向かって言う。

「セイラさん、死告龍様に『魔界の外に出たい』とはおっしゃらないでください」

 他の三人もバラノに同意なのか、何も言わなかった。
 それを見た聖羅はおそらくなにかしらの妥当な理由があるのだろうとは思ったが、その理由に思い至ることはできなかった。
 なので、直接聞いてみることにする。

「どうして、ですか?」

「ここに至る過程を考えてください。もし死告龍様が完全にこの空間を制御出来ているとしたら、大量の水で物理的に押し流す、という移動方法は取らないはずです」

「そうですわね。空間と空間を繋げればいいだけですわ。それこそ、扉のようなものを用意して」

「もしセイラさんが魔界の外に出たいと口にすれば、おそらくですがここにある大量の水も一緒に外に噴き出すでしょう」

「魔界が発生したのは王城……ルィテ王国の中心地」

「まー、たいへんなことになるよにゃあ」

 王城で魔界が発生している以上、周辺住民の避難は始まっているだろうが、家屋や家財道具を持って逃げることは出来ない。
 魔法がある世界であるために、人が死ぬことと違って物が壊れることは取り返しがつきやすいが、洪水が起きて街全体に被害が出れば、ルィテ王国の国力の低下は避けられない。
 それが起きないよう、聖羅がリューに頼んで魔界の外に出してもらうという手段は取れないのだ。

「……それをバラノ様が最初に言うとは思いませんでしたが」

 ルィテ王国の国力の低下は、侵略を目論むザズグドズ帝国のバラノからすれば歓迎するべきことのはずだった。
 例え直接軍隊に被害が出なくとも、それを支えるルィテ王国自体が疲弊すればそれだけ侵略しやすくなるのだから。
 そして今回のようなケースでは、バラノが積極的にそれを画策したとは言えない。あくまでバラノは魔界から脱出するため、という体であれば「ルィテ王国に危害を加えない」という契約に引っかかることはないはずだった。

「確かに放っておく手がないわけではありませんでしたが……それを選ぶには賭けの要素が強すぎます。私自身が本当に気付いていないならともかく、大きな被害が出るのを予測してしまいましたから、契約に抵触する恐れもありますし」

 それでも黙っていればいいことではあったが、気付いてしまった以上は指摘してしまった方が確実に安全なのだ。
 契約とは、表面的な文面も大事だが、要は心のありようを誓うということであり、自ら手を下さないなら大丈夫、とは言いきれない。
 バラノが国に殉じて死ぬ覚悟も決めた上で、この場に立っていることは確かだが、別に彼女は死にたがりというわけではなかった。
 可能な限り自分も生き残る道を模索するのは当然だ。
 聖羅は自分の考えの及ばないところで駆け引きが成されていることを改めて感じ、ひとまず彼女たちの言うとおりにしようと頷く。

「わかりました……あ、でもそもそもリューさん、また寝てしまいましたね……」

 聖羅が抱えるリューは、また目を閉じて眠りについていた。
 その自由奔放な様子に五人の女性たちは溜息を吐く。
 話している間に、ルレンティアとアーミアが周囲の水や魚の状態を調べ終わっていた。

「水は魔法で出来たものじゃないから、飲み水に使えそうだにゃ。魚も、普通に食べられるものみたいだにゃ。遠くの水場と空間を接続したのかにゃ?」

「あるいは、元々城の地下にあった地底湖や地下水を流用しているのかもしれない。どうなの、テーナルク?」

「王城の地下にこれほど大規模な水源はなかったはずですわ」

「だとすると空間を接続したのが濃厚?」

「まあ、ともあれ、これなら水と食料は確保できるにゃ。あーみん、結界はどれくらい持つかにゃ?」

「あと数時間は余裕。けど、早めの拠点確保は必要」

「了解だにゃ。じゃあちょっと行ってくるにゃ」

 ルレンティアはそういうと、いきなり胸を隠していた布を脱ぎ捨てた。
 あっけにとられる聖羅の目の前で、ルレンティアがアーミアの張った結界をすり抜け、水の中へと飛び込んでいく。
 そのあまりの自然な動きに聖羅は何も言えず、テーナルクやバラノは動じていなかったので、聞くことも出来なかった。
 だが、その聖羅の動揺を察してか、テーナルクが柔らかく笑みを浮かべてみせる。

「大丈夫ですわ。水中はルレンティア様の慣れ親しんだ環境ですから」

「……猫なのに、水が嫌いなわけじゃないんですね。私の世界では一般的に猫は水を嫌がるものですので、ちょっと意外でした」

 とはいえ、湖の上に存在する国の代表なのだから、全く泳げないわけがないとも聖羅は思っていたが。
 頭でわかっていたのと、実際に目にしたときの衝撃は違う。

「猫が水が嫌いというのは、間違っていませんけどね。セイラさんの認識と同じく、基本的には猫は水が嫌いです」

「ルレンティアの場合、生まれた時から湖の上だったということもあるし、猫の獣人とはいえ、人の要素の方が多いから」

「獣人の力もあって、ルレンティア様はフィルカードでも屈指の泳ぎ手なのですわ」

 そんな会話を残された四人がしている間に、潜っていっていたルレンティアが水面に浮上してきた。何気なくそちらを向いた聖羅は、ルレンティアが手にしているものに驚く。
 それは、石で出来た船だった。
 手こぎボートくらいの小さなものだが、沈まずに水上へと浮かび、内側から水を排出すると水面でぷかぷかと安定する。

「まず一隻だにゃ。水深は案外浅いところもあるみたいで助かったにゃ」

「海底の石を切り取って来たんですか!?」

 聖羅は驚きのあまり声をあげ、足下を見る。
 結界は半透明なため、水中が見えているが、その底は見えない。結構な深さがあるのは間違いなさそうだった。
 そんなところから石を船の形に切り取り、手に持って浮かんで来たのだという。
 ルレンティアは水面に浮かびつつ、えへん、と自慢げにその豊かな胸を張った。

「フィルカードの民は水の民にゃ。水場で苦労はさせないから、安心してほしいにゃ。この船には魔法がかけてあるから、皆が乗っても沈まないにゃ」

「ありがとうございます、ルレンティア様。……やはり、フィルカードと水場で競うのは自殺行為ですね」

「にゃはは! 水際での戦いなら、ボクひとりで千の軍勢だって壊滅させてみせるにゃ!」

 バラノは礼を言いつつも、フィルカードを攻略するときのことを考えているようだった。それに対し、ルレンティアも勝ち気な台詞で返す。
 傍でそれを聞いてしまった聖羅は、堂々と口にするバラノもどうかと思ったが、それを笑って受けとめているルレンティアも剛気だと感じるのだった。

 その後、ルレンティアは何度か水中に潜り、瞬く間にそれなりの広さの水上拠点を作り上げてしまった。

 いくつかの船を浮かべ、それらを上手く結合することで、広いスペースの確保に成功している。
 湖上にあるというフィルカードがどういう国か、聖羅は少しだけ理解できたような気がした。

(形状などを工夫すれば、石だって水に浮かぶのはわかりますが……この規模の石材が壊れずに建てられるのは、技術と魔法あってのことですよね……)

 聖羅の認識でいうと、古代ギリシャの石造りの建物が水の上に浮いている、というほどに奇妙な感覚だった。
 そういう意味では魔法のある世界ならではの光景であるといえ、楽しんでばかりもいられないとは思いつつ、彼女はこういった光景を見に、いつかフィルカードにも訪れてみたいと思うのだった。

「それにしても……ルーさんは王族の方なのに、建築技術も納めていらっしゃるんですね」

 建築技師を軽んじるつもりはないが、王族がやることかと言えばそうではないだろう。
 その聖羅の疑問は、この世界の基準に合わせてもおかしくないことだったらしく、ルレンティアが特に妙な顔をすることはなかった。

「もちろん、本職には敵わないけどにゃ。ゼロから水上に拠点を作るのはフィルカードの民の嗜みにゃ。今回は材料が石だからちょっと難しいけど、普通の木材を使えるにゃら、子供でもこれくらいの拠点は作れるにゃ」

 水上に上がってきたルレンティアは、ぶるぶる、とそれこそ獣のように体を震わせて髪の毛などから水気を払いながらこともなげに言う。

「特にフィルカードは王が模範を示さなければならない国だからにゃ。一通りのことはやれるように教育されるにゃ。王族の慣習として、十歳になると全裸で国の庇護下から放り出されるし、覚えておかないとその時死ぬにゃ」

「ぜ、ぜんっ!? き、厳しすぎませんか……?」

 獅子は我が子を千尋の谷に落とす。
 可愛い我が子にわざと試練を与え、その器量を試して一人前へと育て上げるとは言うが、人間が全裸で放り出されるのは厳しいというレベルではない。
 フィルカードは湖の国であるのだから、放り出される先は水上であるはずで、仮に聖羅のいた世界の者ならそんなことをされて生き残れる者は皆無であろう。
 しかし、魔法のあるこの世界ではその認識は当てはまらないものらしく、ルレンティアは平然と続けた。

「それで生き残れないようじゃ、王族としての資質不足ってことだにゃ。生き残るのは大前提。一年間は国に戻れにゃい決まりなんだけど、その間にいかに立派な拠点を築くかが問われるにゃ」

 ルレンティアからフィルカードの王族の風習について話を聞いていると、事情を知っているらしいアーミアが深く溜息を吐いた。

「その話は聞いてる……ルレンティアは湖の魚達を手懐けて、湖底に拠点を築いたって。一年間ほとんど姿を見せずに過ごしてたから、死亡したって言われたけど、一年経ったその日に、フィルカードのど真ん中に巨大な拠点を浮上させて、当時の王の側近たちの度肝を抜いたとか」

「む~。でもパパはボクならそれくらい出来るはずとか言って、全く驚いてくれなかったにゃ~。それが心残りだにゃ」

「いえ、普通は度肝を抜かれますわ。フィルカード王の感覚がおかしいのです」

「同じ試練で、当時のフィルカードと同程度の規模の拠点を築き上げてくるような方ですからね。確か湖に点在する無法者たちを探し出しては腕っ節で叩きのめして従え、人手を確保したんでしたっけ?」

「ですわね。普通は十歳の子供がやることじゃないでしょうに。一度だけお会いしたことがありますが、噂に違わぬ豪傑ぶりでしたわね。わたくしの世代では敵対関係が終わっていて良かったと思いますわ」

「うちはそれを今後攻略していかないといけないのですよ……はぁ」

 しみじみとテーナルクとバラノも呟く。
 そんなとんでもないエピソードを聞かされた聖羅は、改めて一緒に行動している彼女たちが、この世界の基準でもとんでもない存在なのだということを思い知らされる。
 ルレンティアはいつの間にか食料の魚まで人数分採って来ていて、そつがない。

(……この人たちは、本当に特別な存在なんですよね)

 異世界から来た、というだけの存在である聖羅は、彼女たちの存在の価値の高さを知るにつれ、ますます自分との間に隔たりを感じてしまう。
 本来であれば、自分が触れあうこともできなかったであろう高みの存在。
 それが、偶然たまたま異世界に召還され、なおかつ希有な加護をバスタオルに宿すに至ったが故に、同格のように扱われている。

(この人たちはその立場に似合うだけの努力を、実績を積み上げている……)

 自分はただ幸運でここにいて、生きているだけだというのに、だ。
 それを意識する度に、聖羅はいたたまれない気持ちになるのだ。
 そして、その感情こそ、聖羅がこの世界の存在たちと完全に打ち解けられない最大の理由であった。

「さて、魚を焼いていくにゃ。もう少し待っててにゃ、せいらん」

 そのルレンティアの、聖羅を優先する気遣いが、平々凡々を自覚する彼女の心にトゲを残す。
 聖羅は、微笑んで礼を言う形で応えるしかない。

 そんな聖羅の様子を、じっと見つめている者がいた。




 翌朝。
 ルレンティアが築いた水上拠点の上で、聖羅たちは無事目を覚ました。
 魔法を一切用いることが出来ず、暗闇では目が見えない聖羅を除き、四人は後退で見張りを行っていたが、特に魔物に襲われることはなかった。
 寝床として用意されたのは、ルレンティアが水底から回収した海藻を乾燥させ、敷き詰めただけのものだ。
 普通ならばそんなところで寝れば体が痛くなって仕方ないだろうが、聖羅はいつもと変わらぬ睡眠を取れていた。
 無論、バスタオルの効果である。
 他の四人も、それぞれ魔法などで対策は取れたらしく、疲れた様子を見せる者はひとりもいなかった。

「少し視界が晴れて来たにゃ」

「見渡す限り水、ですけどね……」

「死告龍様の魔界は、本当に広すぎますわね」

「あちらの方向に、何か見える」

 そうアーミアが指し示した方向に、全員が注目する。
 所々に霧がかかっているため、視界は悪かったが、確かに何らかのシルエットのようなものが他の者達にも見えた。

「島……でしょうか?」

「かにゃあ? 結構大きなもののように思えるにゃ」

「この状況を打破する手がかりが、なにかしらあるかもしれませんわね」

「……行ってみよう」

「幸い拠点や食料は確保できましたが、いつまでもこのままというわけにはいきませんものね」

 五人と一頭を乗せた水上拠点が、大きな影のようなものに向かって動き出す。
 ルレンティアの創った水上拠点は船を基盤としているため、少し風の魔法を使えば移動することが出来る。
 移動しながら朝食の魚を焼いていると、聖羅が抱いていたリューが目覚めた。

「あ、リューさん。目が覚めましたか。おはようございます」

 リューは大きくあくびをした後、聖羅の体に自らの体を擦りつけ――ふと、胸元から聖羅の顔を見上げて首を傾げた。

「くるる?」

 その表情が少し心配しているように感じた聖羅は、内心どきりとする。
 リューに聖羅の複雑な心境が理解出来たとは思えないが、どこか元気がないのを察されたのだろう。

「なんでもありませんよ、リューさん。リューさんもお魚、食べますか?」

 笑顔を浮かべてリューにそう問いかける聖羅。
 その魚を準備をするのは自分ではないため、申し訳なく思うところはあったが、死告龍たるリューを大人しくするためならば、必要なことだと理解してくれるという想いもあった。
 そして実際、ルレンティアは聖羅の言葉を聞いて即座にリュー用の魚を焼き始め、焼けたものを聖羅に渡してくれた。

「ありがとうございます。ルーさん」

 お礼を言いつつ、聖羅は美味しそうに焼けている魚をリューの口元に翳す。
 リューはそれに美味しそうに食らいつき強靱な顎の力で噛み千切り、いまは小さな前脚で残りの焼き魚を聖羅の方へと押しやる。
 その行動を見た聖羅は、かつてリューと出会ったばかりの頃、リューが仕留めたグリフォンらしきものを自分に向けて押しやってくれたことを思い出す。
 当然、生のグリフォンを聖羅が食べることは出来なかったし、その頃はまだリューの真意がわからなかったが、いまならわかる。
 リューの気持ちを理解した聖羅は、ふっと優しい笑顔を浮かべた。

「私はあとでいただきますから、これはどうぞリューさんが食べてください」

 そういって再びリューに焼き魚を向けた聖羅だが、リューが動かないのを不思議に思った。トカゲのようなドラゴンの表情は掴みづらいのだが、目を見開いて驚いているような気がした。
 不思議に思って首を傾げていると、同じように周りの者達も驚いているのがわかった。
 聖羅としては特にそれほど驚きを与えることをした覚えがなかったので、困惑する。

「あ、あの? 皆さん、何か……?」

 そう聖羅が問いかけると、最初に応えたのはルレンティアだった。

「いや……ちょっと驚いただけにゃ。それが――本当のせいらんの笑顔なんだにゃ」

「でも、考えてみれば、そうですわよね……セイラさんは、王族でも、貴族でも、ましてや本当は聖女でもないのですから」

「テーナルク様……それは、立場上聞き逃せない発言ですが、大体事情は理解しました」

「本当に聡い人ですこと。忌々しいですわ」

「それはお互い様でしょう」

 聡い彼女たちは、何かに納得が出来たらしかった。
 聖羅としては困惑するしかない状況である。
 そんな聖羅に対し、唯一言葉を発していなかったアーミアが口を開く。
 そして、聖羅に向けて核心の問いを発した。

「セイラさん、もしわたしの勘違いであれば謝る。ひとつ答えて欲しい」

 王城が魔界に変質する前に、交わしていた会話の続きを。
 彼女たちの前提を覆してしまう内容を。

「セイラさんの元いた世界は――嘘や偽りがあって当たり前の世界だった?」

つづく
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