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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

透明露出プレイ その6 おわり

 ここまでやめておけば、まだだらしがない程度のこと。
 夏の暑い盛りなど、部屋では下着姿で過ごしているという話を、同級生の子たちがしていたのを小耳に挟んだことがある。
 その時私は「だらしないわね」と思いはしたけど、暑い時期のことだったから彼女たちの気持ちが理解できなくはなかった。だから、そこまでその子たちを異常だと思うことはなかったわ。
 けれど、今の私は暑いわけでもなく、むしろ肌寒いくらいなのに、部屋の中で下着姿になっている。あの子たちより、私の方がよほど異常だ。
(……やっぱり、やめよう)
 私はそう思ってこのまま脱衣所に向かおうとした。いまならまだ「お風呂に入ろうとして先走って部屋で服を脱いだだけ」という言い訳が私の中で出来るから。
 それに意味があるのかないのかわからないけど、私自身をごまかせる。
 脱いだ服を手に取り、お風呂場に向かおうとして――電話が鳴った。
 不意打ちにもほどがあって、心臓が止まるかと思った。私の知らない着信音。机の上に置いてある自分の携帯電話を見れば、それは着信を告げていない。
 じゃあこの着信はどこから?
 私が音のする方を探してみると、さっき夢衣奈さんが座っていた椅子に、知らない携帯電話が置かれていた。
「……忘れ物?」
 私の知らない連絡先の表示が出ている。どうしよう。
 勝手に出るわけにはいかない。かといって、放置していていいのだろうか。
 まだ学生の私には良くわからないけど、緊急の仕事の電話だったとしたら、あとで夢衣奈さんがすごく怒られることになるんじゃないかしら。
 着信は鳴り止まない。よほど大事な用事なのかもしれない。
 仕方ない。
 私は意を決して、夢衣奈さんの携帯電話を手に取った。
「はい……もしもし」
『あっ、やっと通じた。夢衣奈? 私よー』
 相手は女の人のようだった。呼び捨てにしているところを見ると、友達だろうか。どことなく、酔っているような気配がする。
 私は夢衣奈さんではないことを伝えようとしたけど、相手の人が間髪入れずに喋り出してしまい、思わず言葉を飲み込んでしまった。この辺り、対人関係の経験の少なさが仇になった。
『いやー、この前は旅館の紹介ありがとね! おかげですっごく充実した温泉街露出を堪能できたわ!』
「……!?」
 聞こえてきた単語に、思わず息を呑む。
 いま、この人はなんていったの?
『でも、色々トラブルも多くてね。一緒に行った子のこともあるし、ドキドキしっぱなしで! でもやっぱり、露出っ子の先輩として余裕は見せ付けたいじゃない? だから、がんばっちゃったわよ私。あの子が一緒だったから心強い面もあったけど、それでも矢面に立つべきは私だしね。ああ、でも男の温泉客に囲まれた時は真面目に怖かったわね……』
「……ッ!」
『でも、なんとか警察沙汰にもならずに、存分に楽しめたわ! やっぱり自然の中の開放感はひとしおよねー。今度夢衣奈も行ってきたらいいわ! あ、それと写真撮影もしたからあとで送るわね。これがまた綺麗な写真が撮れたのよ。あの子も最初は恥ずかしがってたけど、あとの方はノリノリでね-。ほんとあの子の身体綺麗だから夢衣奈もぜひ会ってあげて欲しいわね。もちろん全裸でね! ふふふ。夢衣奈の住んでるところが遠いのが残念よ……近かったら、一緒に露出できるのにね』
「……う、ぅ」
『……? 夢衣奈-? どうしたの?』
「あ、あのっ」
 勇気を振り絞って声をあげると、電話の向こうの声が暫く沈黙した。
『あ、あれ? もしかして……私、間違えた……?』
 明らかに動揺している。声が震えているのがわかる。
「そのっ、夢衣奈さんの携帯であることは、ま、間違いないのだけど……ええと……私の家に、置き忘れてて……」
 どうしよう。取らなければよかった。
『……もしかして、安藤さん?』
 突然私の名前を言い当てられて、驚かざるを得なかった。
「……!? わ、私のことを、知ってるの?」
『…………』
 私の質問に対し、電話先の相手は少しの間沈黙した。
『こほん。安藤さん、はじめまして。私、夢衣奈の友人の水沼エミリと申します』
 急にトーンが変わった。
 いかにも大人の、落ち着きが感じられる声。
「は、はあ……安藤、響子です……」
『驚かせてごめんなさい。あなたのことは夢衣奈から聞いているわ。同じマンションに住んでいる方で、まだ学生なのに独り暮らしをしているのを心配して、夢衣奈が料理とか教えにいっているのよね』
「そ、そうなの……」
『素直で優しくて、とても可愛らしい方だと聞いているわ。妹が出来たみたいで嬉しいって』
「そんなこと……」
 夢衣奈さんが親しみを持って接してくれているのはわかっていた。それでも改めて別の人から聞くと、本当にそうなのだと実感が湧いて嬉しかった。
 こんな形でなければもっと嬉しかったのだろうから、そこは少し残念だけど。
『それで……その、あなたと夢衣奈のなれ初めも聞いてるわ。だから、言ってしまうけど、私と夢衣奈はいわゆる露出プレイ繋がりの友人でね』
「……っ」
『住んでるところが遠いから実際に会うことは少ないのだけど、さっきみたいに、お互いがしたプレイについて電話で話したりもするの。それで、ちょっといま私、お酒入ってて……その、勢い余って聞かせちゃってごめんなさい』
「い、いえ、気にしてないわ……です」
『あなたに迷惑がかからないように、夢衣奈にはちゃんと言っておくから――』

 その時。

 突然肩に手を置かれて、私は死ぬほど驚いた。
 驚いた拍子に取り落としかけた携帯を、私ではない誰かの手がかすめ取る。
 夢衣奈さんがそこにいた。なぜか額から汗を掻いていて、ものすごく焦った様子で申し訳なさそうに片手で謝る仕草をしている。
「ごめん! 勝手に家にあがってごめん! もしもし、エミリ? ごめんあとでかけ直すから――」
 夢衣奈さんは私に背中を向けながら、電話先の水沼さんに対して話しかけている。
 私は唖然としつつ、ふと、自分のいまの格好を想い出した。
 顔に熱が集中するのがわかる。遮二無二、脱衣所に駆け込んだ。
 中に入ってドアを閉める。全力疾走をしてもこうはならないというほど、心臓が跳ね回っていた。
 しばらく動けなかった私に、脱衣所のドアの外から夢衣奈さんが声をかけてくる。
「響子ちゃん、勝手に入ってごめんなさい! 携帯を忘れたのに気づいて、取りに来たんだけど、中で響子ちゃんがエミリと話してるのが聞こえて来ちゃって、エミリとの関係が関係だから、慌てて入っちゃったの。鍵が締まってなかったから」
「え……?」
(いや、確かに締めた……締めたわよね?)
 私は夢衣奈さんが帰った時のことを思い返す。いつも通り玄関先まで見送ったのは間違いない。鍵を閉めたかどうかは、はっきりと思い出せなかった。
(よりにもよって、こんなタイミングで閉め忘れたのかしら。……最悪だわ)
「ええと、その、タイミング悪くお風呂に入ってる時に鳴っちゃったのよね。ごめんなさい。次から忘れないように気をつけるわ」
「…………あ」
 そうか、夢衣奈さんから見ればそう考えるだろう。まさか部屋の中で服を脱いでいたとは思わないはず。そう考えると、少し気が楽になった。
「私、このまま帰るから。お風呂に入り直す前に玄関の鍵だけ閉めてね。あと、体も冷やさないで」
「……ええ、わかったわ」
 おやすみなさい、という夢衣奈さんがドアの前から離れ、玄関から外に出て行くのがわかった。私は取り急ぎ服を着ようとして、それがリビングに置いたままであることに気づく。
 リビングで服を脱いでいたという証拠が残っていたことに、私は今更ながら気づいた。
(い、いえでも……夢衣奈さんも部屋の中を見渡すような余裕はなかったはずよね……大丈夫……大丈夫……)
 私は自分で自分に言い聞かせながら、バスタオルを身体に巻き、玄関の鍵を施錠しに行った。
 かちゃん、とちゃんと鍵がかかったことを確認する。
(鍵を閉め忘れるなんて……気が緩んでいる証拠ね)
 確かに夢衣奈さんを送るとき、その直前に聞いた話に気を取られていたのは事実だ。だからうっかり忘れてしまったのだろう。
 私はようやく落ち着いてきた気持ちを、務めて鎮めつつ、改めてお風呂に入りに浴室へと向かった。
 ドキドキする胸の鼓動は、驚きによるものだと言い聞かせながら。



 自分の家に入るなり、私は膝から崩れ落ちた。
「やってしまった……! なんてタイミングが悪いの! エミリの馬鹿! もう!」
 苛立ちを拳にして床にぶつける。この時ばかりは近所迷惑とか考えていられなかった。
 まさか携帯を置き忘れているとは思っていなかった。
 しかもエミリからの電話が、よりにもよってこのタイミングでかかってくるなんて!
 おまけに普段は落ち着いているエミリが酔ってて、相手も確認しないうちから露出プレイの話をし始めるなんて、どんな確率だろう。
 運命の神様を呪わずにいられない。
 なんで私の計画はいつもいつも上手くいかないのか。
 響子ちゃんがどう思ったのか、知るのが怖い。
 ようやく初対面の嫌悪感も打ち消して、ここからじっくりゆっくり露出ッ子に引き込んであげようと画策していたというのに、全部台無しだ。
 さらに、焦っていたから仕方ないとはいえ、透明化の能力がバレかねないことをしてしまった。
「ああするしか透明化を解除できなかったとはいえ……!」
 防犯意識の高い響子ちゃんは鍵を締め忘れてなどいなかった。私が内側から鍵を開けたのだ。
 響子ちゃんがリビングで服を脱ぎ始めた時、私は透明化の能力を使ってリビングにいた。あの話をしたことから、響子ちゃんがリビングで服を脱ぐんじゃないかと考えて。
 そして実際、響子ちゃんは服を脱ぎだした。
 残念ながら下着姿で踏み留まってしまったけど、一歩目を踏み出させることに成功したと喜んでいたのに。
「部屋の外で通話の内容が聞こえるわけないでしょーが! 地獄耳にもほどがありすぎるわ! 仮に聞こえたとしても、チャイムも鳴らさずに家にあがりこむとか、不自然極まりないでしょ!?」
 冷静に考えれば考えるほど、無茶苦茶だ。確実に響子ちゃんに変に思われた。
 まさか、こんなトラブルに見舞われるなんて。
「あー! もー! エミリの奴ー! 絶対許さないんだから!」
 八つ当たりであることは重々承知の上で、私はエミリに対して一言文句を言ってやろうと電話をかける。
 大体、エミリはズルい。
 偶々街中で出くわした女の子を、大した苦労もなく露出っ子に引きこんじゃったんだから。
 それも、一緒に露出旅行に行くほどの仲にまで発展したというんだから。
 響子ちゃんにもそれくらい露出っ子の素質があったら、私はどんなに楽だったか!
『もしもし? 夢衣奈? ……ごめんなさい』
 気まずそうなエミリの声が、電話機の向こうから聞こえてきた。
「エミリーッ!! このおばかーッ!! もー! これで響子ちゃんに嫌われたらどーしてくれんのよー!」
 それからしばらく、エミリに向けて愚痴をぶつけた。
 私のそんな完全八つ当たりの愚痴を、エミリは大人しく受け止めてくれたのだった。


透明露出プレイ その7に続く

[ 2018/06/06 19:12 ] 透明露出プレイ その6 | TB(0) | CM(0)
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