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黎明媚態

露出系、羞恥系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

姫様の石像 前編

 ある日、レッケンダート王国の中央広場に王の銅像が設置されることになった。
 その銅像は荘厳かつ巨大な造りであり、千年の歴史を誇る王国に相応しい威厳を見る者に自然と感じさせるのに十分なものであった。
 その除幕式を兼ねた祭典は大規模に開かれ、諸外国からも来賓を集めてのものとなった。祭典はかつてない大成功を収め、王国のさらなる繁栄と権威を世界に轟かせたという。

 その国を挙げた祭典から数日後。
 ある像たちの除幕式が行われようとしていた。

 国王の銅像が置かれた中央広場からは、王城に至るまでにメインストリートが敷かれている。外から来た人の流れは中央広場にて合流し、そのメインストリートに流れていくため、メインストリートは非常に重要な役割を果たす国の大動脈と言えた。
 そのメインストリートは馬車が混雑せずに行き来できるように、中央分離帯を挟んで左右に大きな道が作られている。
 中央分離帯は花壇も兼ねており、四季折々の様々な花が咲き乱れ、国を彩っているのだ。
 その中央分離帯に、王位継承権を持つ王子や姫たちの像が設置されようとしていた。
 そこに設置されようとしている像は、国王の銅像と違い、とても小さなものだった。
 中央分離帯という限られたスペースに置くためのものである以上、大きすぎる像はそもそもおけないという事情がある。

 像は等身大で、白い石で出来ていた。
 とても高級感のある見目であることは間違いない。
 だが、兵士たちによって運ばれてきたその白い像を見た時、市民たちは揃って眉をひそめざるを得なかった。
「ねえ、あの像……ちょっと、さあ……」
「……うん、どうしてああいうデザインにしたんだろうな」
「大丈夫なのか、あれ……責任者の首が飛ぶんじゃ……」
 ひそひそと言葉が交わされる。
 運ばれてきた白い石像たち。それらは、非常に精巧な造りをしていた。
 とはいえ、石化魔法で本物の人間が固められたよりは遥かに稚拙な造りであり、作り物の偽物だということは明らかなのだが、それでも一瞬本物の人間と見間違いかねないほどには精巧に作られていた。
 そのこと自体は問題ない。問題があるのは、ただ一点。

 それらの石像が、全て裸であることだった。

 第一王子の立派な男根や、第一王女の豊かな乳房や秘部が忠実に表現されていた。
 男女問わず、思わず赤面しかねないほどに精巧な造りだった。芸術といえばそれまでだが、劣情を刺激される者がいても仕方ない、と思える程度には凝った造形になっている。
 特に王子達は戦場に赴くかのような精悍な姿勢・表情であるのだが、王女達の石像は絶妙に艶めかしく、悩ましげな表情の石像が多い。
 無論、王族の裸など見たことがない市民たちには果たしてそれがたまに見かける王子や王女のそれと一致しているかなどはわからないのだが、そういう身体をしているのかもしれないという想像には容易に結びつく。
 市民達がなんとも形容しがたい顔を見合わせていると、ひとつの噂がその場に流れ始めた。
「……おい、どうやらあの銅像のデザインを決めたのはダジェラス大臣みたいだぜ」
「なんだって? あのエロ大臣かよ……道理で」
「よく国王様が許可だしたなぁ」
「国王様はほら……常人の感覚からはちょっとずれておられるから……」
「ばかっ、不敬だぞ!」
「まあ、国王様的には割と本気でどうでもいいんだろうな……王子や姫様たちは反対しなかったのかな?」
「第一王子はむしろ喜んでそうだな……腕っ節自慢の方だし」
「ベヒーモスと殴り合ってマブダチになったんだっけ?」
「フェンリルじゃなかったか? どっちにしてもやべーけど」
「第一王女は……どうなんだろ」
「あんまり顔出してくれないんだよな。公務の時は大抵ベール被ってらっしゃるし」
「むしろ第一王女がああいう顔してるんだってわかっていいかも」
「身体の方は……うん、想像通りだな」
「ああ。ドレスの上からでもわかるくらいでっかかったもんな」
「おい、ばか、死にたいのか!」
「でもわかるぜ。魅力的だからなぁ」
「……俺は第六王女の未成熟な――いかにも幼女って感じの方が」

「「「兵士さんこいつです!!!」」」

 一時場が騒然とするトラブルもありつつ、石像の設置は手早く終わった。
 終わってみれば、周りに咲き誇る花との相乗効果もあり、市民達が危惧していたほどには卑猥な風景にはならなかった。
 よほどの石工が手がけたのか、見事に花と調和する芸術作品として、風景のひとつとなって溶け込んでいる。
 それなりに時間が経ち、石像がある程度自然に晒されれば、より完全に風景に馴染んで気にならなくなるだろうと皆が感じていた。

 そんなある日、王都で事件が起きた。

「食い逃げだ-! 捕まえてくれ-!」
 メインストリートの一角、繁盛している飯屋で食い逃げが発生したのだ。
 食い逃げ犯はまだ若い女性であった。あまり育ちが良さそうな出で立ちではなく、よく見れば服はつぎはぎだらけだった。スラムの出身であると思われ、その身のこなしは猫のように素早い。人混みを流れるように抜け、店主の追撃をかわす。
 場が騒然となり、人々が混乱する中、食い逃げ犯はメインストリートを横断して、逃走を試みていた。追いかけようとした巡回の兵士たちは、馬車が迫って来ていたので、止まらざるを得ない。
「へへっ、ちょろいちょろい!」
 色々な場所で食い逃げをしているのだろう。手慣れた様子の食い逃げ犯はそう呟き、中央分離帯を越えようとして――目の前に立ち塞がった者に逃走を阻まれた。
「うそっ、どこから――ッ!?」
 唐突な妨害者の登場に慌てた食い逃げ犯は、立ちふさがった『それ』を見てさらに驚愕する。

 それは、裸の女だったからだ。

 思わず硬直した食い逃げ犯の服を、その女の手が掴む。振り払って逃げようとした食い逃げ犯だったが、その女の力は強く、服の方がびりびりと破れてしまった。
「ぎゃー!! なにすんだよこの変態!」
 女性らしからぬ悲鳴をあげ、身体を庇う食い逃げ犯。そんな彼女の背後に素早く回った女が、食い逃げ犯の両手両足に自身の四肢を絡め、そのままその場に倒れ込んだ。
「なんって、重、い……! い、石ぃ!?」
 拘束から逃れようとした食い逃げ犯は、拘束してきている女の身体の感触がおかしなことに気づく。
 女の身体は石で出来ていて、その重量は凄まじく、いくら食い逃げ犯が暴れてもびくともしなかった。
 それは、先日この場所に設置された第一王女の石像であった。その石像がまるで生きているかのように動き出し、食い逃げ犯を絡め取ってしまったのだ。
 暴れていた食い逃げ犯の女は、自分が取らされている格好、服が破れてしまったことによる自分の姿に思い至り、悲鳴を上げた。
「ちょ……っ、いやーッ! はなせっ! はなせよぉ!!」
 彼女が身に纏っていた服は大事なところが破け、乳房が露出していた。さらに、四肢を開いた状態で固定されているため、手で大事なところを隠すこともできない。足も百八十度近く広げられているので、隠すべき場所が衆目に晒されていた。
 悲鳴をあげ、騒いでしまったため、野次馬が集まって来てしまい、食い逃げ犯の女はさらに恥ずかしい思いをする羽目になった。
 無論、第一王女の石像も裸であり、食い逃げ犯の女を四肢に自身の四肢を絡めているため、王女が取るとは思えない凄まじい格好をしているのだが、石像ゆえに羞恥心はないようだった。
 人が集まり、視線が増えるにつれ、食い逃げ犯の女は羞恥心が限界に達してしまった。
「離して……離してよぉ……ごめんなさい……あたしが悪かったからぁ……」
 めそめそと泣き、許しを請う食い逃げ犯だが、石像はそんなことを斟酌しない。ただ無言のまま、確保した状態を維持するのみであった。
 一度は振り切られた兵士達も、すぐに食い逃げ犯に追いついて囲んだ。
 だが、石像を制御する方法がわからず、無理に食い逃げ犯を解放しようとすると石像が食い逃げ犯を絞め殺しかけたため、放置せざるを得なかった。
 結果、王城から王宮魔術師が呼び出されて魔法が解除されるまで、食い逃げ犯は死ぬほど恥ずかしい体勢のまま置かれたのだった。
 片方が石像、ということを除けば、半裸の女と裸の美女が絡み合っている光景である。
 哀れみも同情の目もあったが、元はと言えば食い逃げした女が悪いので、誰も積極的に助けようとはしなかった。
 その光景を目に焼き付けた街の男どもは、夜にその時のことを思い出しながら欲望をぶちまけることになる。

 後に石像には防犯用のゴーレム魔法が仕込まれており、犯罪者が近くに現れた時には自動的に捕獲するように作られていたと判明したのだった。
 この事件で死ぬほど恥ずかしい思いをする羽目になった食い逃げ犯は、あまりのショックに心を入れ替えたように大人しくなり、国が運営する工場で真面目に働くようになったらしい。




 メインストリートで起きた騒ぎの報告を受け、レッケンダート王国第一王女カルラァ・バル・レッケンダートは朗らかに笑った。
「そう。その子もこれに懲りて悪いことをしなくなればいいのだけど」
 結果的に自分の石像も痴態を晒したというのに、カルラァは楽しげだった。
 そんな彼女に対し、使用人の女性が諦観の念の籠もった溜息を吐く。
「姫様も楽しめたのであれば、なによりですわ」
「あら? どうして私が楽しんだのかしら?」
「おとぼけにならないでください。あれはゴーレム魔法ではないのでしょう?」
 そう指摘する女性に対し、カルラァは唇の端を吊り上げて笑った。
「そうね。さすが、よくわかってるじゃない。あれはゴーレム魔法じゃなくて、遠隔操作の魔法。一時的に私の意識を石像に載せて操ったの。だから、すごく気持ちよかったわ」
 露出癖のあるカルラァは裸の石像に意識を移し、野外で活動する感覚や、人に見られる感覚を存分に味わっていたのだ。
「危険ではないのですか?」
「ええ、危険はないわ。魂を飛ばしているわけじゃなく、向こうの感覚をこちらで受けて動く指示を出しているだけだもの」
「……騒ぎが起きた時間帯、姫様が妙に上の空になっているとは思いましたが、そういうことでしたか」
 カルラァは微笑んで肯定する。
「ちなみに、あれらの石像にはちゃんと普通のゴーレム魔法『も』仕込んであるわ。私の石像も、意識を乗せることを選択しなければ、そっちで動くし。最低限の警備としては十分働くでしょう」
 ふたつの異なる魔法を重ねていることを、こともなげに口にするカルラァ。
 無論、並大抵の魔法使いには不可能な難題だが、使用人の彼女はカルラァがそれくらいできることはよく理解していた。
「今回の件で石像が動くって国民にも伝わったでしょうし、これで夜のメインストリートの警備は少し緩めても良いわね。あとで衛兵所に通達しておきましょう」
 そうカルラァが呟いたのを受け、使用人の女性が目を見開く。
「まさか姫様、夜にあの石像を使って散歩なさるおつもりですか?」
 露出癖のあるカルラァは、かつてひとりの奴隷のふりをして日中堂々と街中を出歩いたことがある。
 その際、たくさんの人に自身の身体を見られたことには満足したものの、触ってくる者がいないことを不満に感じていた。夜ならばもっと大胆に触れてくる者がいるのではないか、という話をしたのだが、第一王女という立場を踏まえ、それは許容できないと使用人の女性は釘を刺していた。
 その問題を解消するために夜に石像として動き回るつもりではないか、と使用人の女性は思ったのだが、その予想に対して第一王女は静かに首を横に振る。
「違うわ。いくら意識を乗せられると言っても、あくまで疑似体験にすぎないのだし……私はやっぱり自分の身体で感じる開放感が好きだし」
「では、なぜ……?」
「あそこに私たちの裸の石像を配置して、意識を乗せる魔法を仕込んだのはね……私が目論んだことじゃないのよ」
「となると……まさか、ダジェラス大臣の目論見であると?」
 嫌そうな顔をして使用人の女性が口にするのを、カルラァは面白がるように指摘する。
「仮にも我が国の大臣なのだから、そんな顔をしないであげて」
「あまりいい噂を聞く方ではございませんので」
「そうね。実際、税の一部を着服していたこともあるしね」
 さらりと重大事項を口にしたカルラァに対し、使用人の女性は目を見開く。
「……国王様にご報告しなくてよろしいのですか?」
「もうとっくに報告済みだから大丈夫。まあ、お父様は私が言うまでもなく知っていらしたようだけど」
「ではなぜ、まだ罰が与えられていないのでしょうか」
「お父様にはお父様の考えがあるようだけど……私がダジェラス大臣の首を残しておいて欲しい、とお父様にお願いしたからよ」
 だって色々と便利なんですもの、とカルラァは無邪気に笑う。
 使用人の女性は、見慣れているはずの姫の笑顔に、薄ら寒いものを感じた。
「今回の像の件もそうだけど、都合の悪いことは彼のせいにしておけば王族の名誉は守られるし、色々面白いものを持っているのよ。奴隷の競売会の会場とか、倒錯的な性的行為が出来る非合法な娼館とか、各地から集めた怪しげなマジックアイテムとか、ね。でも、大それたことは出来ない小悪党なのよ、あの人。……本当にマズくなったらいつでも首は斬れるし」
 王族の掌で転がされているとも知らず、ダジェラス大臣はこの世の春を謳歌しているつもりなのだろう。
 使用人の女性はそもそもダジェラス大臣のことを嫌っていたが、王族の玩具にされていることに関しては、思わず同情せざるを得なかった。
「それはわかりました。……それでは、一体どなたがあの石像を?」
 再度の質問に対し、カルラァはこの日一番の笑顔を浮かべた。

後編につづく
[ 2018/09/10 22:52 ] 小説・短編 | TB(0) | CM(0)
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